知財に関する大阪弁護士会の取り組み

大阪弁護士会・日本弁理士会近畿支部合同研修「知的財産訴訟における弁護士・弁理士の役割」が開催されました

 2010年12月6日(月)18時より,大阪弁護士会館2階ホールにて標題の研修が開催されました。知的財産訴訟の訴訟代理人経験が比較的浅い弁護士・弁理士を対象として想定し,知的財産訴訟の経験が豊富なベテランの弁護士・弁理士より,弁護士・弁理士が共同して訴訟活動を行う場合の様々なノウハウについて2部構成で紹介されました。

 第1部では,大阪弁護士会知的財産委員会委員長の溝上哲也弁護士と,日本弁理士会近畿支部所属の奥村茂樹弁理士より,それぞれの観点からの基調報告が行われました。溝上哲也弁護士・奥村茂樹弁理士より,知的財産訴訟における弁護士・弁理士の関与,共同訴訟代理のメリット・デメリット,分担の望ましいあり方,共同訴訟代理の現状等につき報告がありました。

 第2部のパネルディスカッションでは,基調報告の報告者2名に対し,日本弁理士会近畿支部所属の岩井將晃弁理士及び大阪弁護士会知的財産委員会委員の室谷和彦弁護士が質問役となり,具体的な場面設定を前提により詳細な紹介と議論がなされました。内容の一部を,以下に要約します。

共同代理人の弁護士・弁理士の探し方:
例えば権利者側が訴訟を提起する場合,出願代理人の弁理士が研究会等で知り合った知的財産訴訟の経験がある弁護士等に打診し,特に依頼者が考えている着手金等の条件でOKかどうかを調整しつつ決める場合が少なくない。
弁護士と弁理士の役割分担:
技術的分野は弁理士,法律的分野は弁護士との役割分担があっても,結局は技術的分野・法律的分野のいずれにも弁護士・弁理士双方が全体的に関与し理解して進めることが望ましい。具体的には,無効の主張等について,弁理士が主になるとしても,弁護士も積極的に検討し関与することが有益。
訴状・準備書面等の作成:
最終的には弁護士が仕上げるものの,弁理士も物件目録や技術面を中心に積極的な関与が望ましい。
技術説明会:
会社の技術者ないし弁理士が担当することが比較的多いが,裁判官に分かるようにとの趣旨,あるいは話してはいけない点のチェックの趣旨などから,弁護士も積極的に関わることが必要。
訂正審判・無効審判等:
主に弁理士が担当するが,無効判断は侵害訴訟での主要論点であることからすれば,積極的に弁護士も関与し理解することが望ましい。

 弁護士41名,弁理士75名の参加者が熱心に聞き入り,盛会の下に終了しました。