知財に関する大阪弁護士会の取り組み

講演会「JASRAC無罪審決取消の衝撃」を開催いたしました

平成25年11月1日、東京高等裁判所第3特別部(飯村敏明裁判長)が、公正取引委員会の審決を取消して注目されたJASRAC事件をテーマに、原告代理人である越知保見弁護士(第一東京弁護士会所属)をお招きして、平成26年1月24日、講演会を開催いたしました。

JASRACが各放送局との間で締結する管理楽曲の利用許諾の実施料は、楽曲の利用割合に従量せず一定額での包括徴収契約が主流です。著作権管理事業者と放送局との間でこのようなライセンス契約が支配的となった場合、他の業者が新規に市場に参入しようとしても利用者側にコスト削減効果がないまま追加費用が発生するため、市場への参入を排除しているのではとの競争阻害の疑義がありました。JASRAC事件は、平成21年には公正取引委員会が包括徴収契約等を排除型私的独占に該当するとして排除措置命令を出したものの、平成24年の審決で同命令が取り消されていたところ、このたび、東京高等裁判所が当該審決を取消した事件で(平成26年2月現在、最高裁判所に係属中)、知財ライセンスと独占禁止法とがクロスする事案です。

講演会では、越知弁護士より、排除措置命令を取り消す審決に対して、市場参入が排除された音楽著作権管理事業者にこそ取消判決を求める原告適格を認めるべき必然性や、審決段階でその証拠価値が否定された競争排除効を明らかにすべき統計証拠、東京高等裁判所が独占禁止法に特有の実質的証拠法則を排除して競争排除効を認めた理由、あるべき事実認定と法適用に関して、原告代理人でなければ話せない実務での苦労や事件の今後の見通し等も含めた熱いご講義を頂きました。あわせて、海外の比較及び実務経験に沿って、限られた時間の中、越知弁護士より理論面も含め盛りだくさんの話を伺いました。

当日は、40名を超える会員にご参加いただけたうえ、当会松本司会員からも同判決に対するご意見を頂き、大変有意義な講演会になりました。