大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

未決死刑囚が上告趣意書を作成するために死刑に関連する書籍等の閲読を希望したが、これが不許可となった事例

2015年(平成27年)1月15日

地裁、高裁で死刑判決が出た申立人(当時未決死刑囚、最高裁において2011年(平成23年)3月25日上告棄却)が、青木理著『絞首刑』と題する書籍を、何らの抹消なしに入手し、本書籍を参考に、「死刑は憲法36条、31条、9条違反である」との主張を含む上告趣意書を作成し、2009年(平成21年)4月24日付けで、最高裁に提出した。

2010年(平成22年)10月、上告趣意書作成の参考にしようと、東京都港区所在の「死刑廃止FORUM」に対し、2009年(平成21年)10月16日付けの写真週刊誌「フライデー」に掲載された青木理の署名入りの「千葉景子法相の『慎重発言』で102人の確定死刑囚の処遇は変わるのか 東京拘置所死刑執行部屋の見取り図を独占入手!」と題する記事の閲読を希望して同所より借り受け、さらに同年11月25日、「年報・死刑廃止2010 日本のイノセンス・プロジェクトをめざして」と題する年報の購読を申し入れた。
しかし、申立人はこれらの一部末梢に同意しなければ閲読を許可されなかった。

そこで、内容の一部を抹消した上でなければ閲読を許可しなかったことは著しい人権侵害であるので、死刑判決を受けた未決囚が、死刑に関連する書籍等の閲読を希望した場合、その閲読の目的を確認した上で、当該目的が上告趣意書作成等の刑事手続上の防御権の行使にあり、かつ、当該書籍等の内容が防御権行使とはおよそ無関係と認められるような特段の事情がない限り、抹消を行わずに閲読させる運用に改めるよう、警告した。

未決死刑囚が上告趣意書を作成するために死刑に関連する書籍等の閲読を希望したが、これが不許可となった事例(警告書)

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