大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

受刑者の保護室収容・保護室収容中の受刑者との面会等に関連する事例

2016年(平成28年)1月12日

  1. 申立人は、2009年(平成21年)2月23日に大阪刑務所へ入所し、刑の満期は2014年(平成26年)8月26日である。
     申立人は、受刑中、刑務官の制止に従わず大声を発したことを理由に、2011年(平成23年)7月19日から同月21日まで保護室に収容され(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第79条第1項第2号イ)、さらに、同日から同月26日まで、また、同年10月26日から11月5日までの間も、同じ理由で保護室に収容された。
     この点、申立人は、いずれも大声を発していないと主張しており、申立人と大阪刑務所との言い分が全く異なっている。
     もっとも、同法第79条第3項は、原則の期間として72時間とするが、申立人に対する3度にわたる保護室収容の期間は、合算すると8日間及び11日間と長期にわたり、大幅に超過している。
     また、同法第29条第4項は、「刑事施設の長は、前項の期間中であっても、保護室への収容の必要がなくなったときは、直ちにその収容を中止させなければならない。」と定める。
     本件では、申立人はいずれも刑務官の制止に従わず大声を発したとの理由で保護室に収容されているが、上記の全収容期間にわたってこのような理由が存続し続けた(すなわち、申立人が刑務官の制止に従わず大声を発し続けた)とまでは、にわかに考えにくいところ、それを積極的に裏付ける資料等も大阪刑務所からは提出されていない。同法第79条第4項の規定が遵守されていない疑いが強いといわざるを得ない。
     したがって、受刑者を保護室に収容するにあたっては、同法の規定を遵守し、保護室収容期間中であっても保護室収容の必要がなくなったときは直ちに収容を中止する運用を徹底するよう要望した。
  2. 申立人が上記保護室収容中である同年11月2日、本件人権調査の担当委員が申立人に面会するために大阪刑務所を訪れたが、刑務官は「申立人は、保護室に収容されているのと、大声のため、面会できない。」として申立人との面会を拒否したが、これに合理的理由はない。閉居罰の場合ですら「権利の保護に必要と認められる場合」には面会を停止されない(同法第152条第1項第5号)ことに鑑みると、保護室への収容が事実上の懲罰あるいはそれ以上の収容者に対する権利の制約として利用されている懸念がある。
     したがって、保護室に収容されている受刑者に対しても、受刑者に対して面会しようとする者がある場合は、その旨を受刑者に対し、面会の申出がある旨を確実に伝えるよう勧告した。

受刑者の保護室収容・保護室収容中の受刑者との面会等に関連する事例

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