大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

女性被拘禁者の収容区画の巡回と監視カメラに関する事例

2017年(平成29年)7月31日

  1. 拘置所内男区単独室に収容された女性から、構造上鉄格子を通して、巡回職員(男性職員が女性職員を同行して行う場合がある。)から居室内の様子(居室内には腰の高さくらいの衝立てのあるトイレが設けられている。)が窺えること、居室内に撮影範囲が不明な監視カメラが設置されており、そのため、常時監視されている不安から落ち着いて過ごすことができないという申立てがなされた。
  2. 女性被拘禁者の処遇について、「女子用区画は、責任ある地位の女子職員の管理の下に置かれ、この区画の鍵は全て、この職員が保管しなければならない。」、「男子職員は、女子職員の同伴がなければ、女子用区画に入ってはならない。」や「女子の被拘禁者を世話、監督するのは、女子職員のみとする。」とする国際規範があり、国内法上も特別の配慮が必要されていること等に鑑みると、看守長以上の監督職員は全て男子職員しかおらず、職務上の理由により、男子監督者が女子職員同行の上で巡回視察を行っているとの拘置所側の回答によって正当化できるものといえず、女性が収容区を男性職員が巡回することは申立人の人格権を侵害するものである。
  3. 同じく、もともと男区だった場所を改修して女区とした経過から女子職員が常時配置されていないことによる動静把握の不備を補うためとするカメラ設置の理由は、施設管理・秩序維持等の観点から必要最低限度のものと認めがたい。
     映像を監視する職員の性別、撮影範囲について回答はなく、監視者を女性に限定する、撮影範囲を限定する等の配慮がなされていない点も重視すると、自殺・自傷行為をするおそれが高い場合等被収容者に対するプライバシー侵害の程度がより低いその他の方法では被収容者の生命身体に対する安全の確保ができない特別の事情があるともいえない。
     申立人を監視カメラのある居室に収容した措置は、申立人のプライバシーを侵害し、その程度は、男性職員による巡回視察に比べても大きい。

女性被拘禁者の収容区画の巡回と監視カメラに関する事例

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