大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

退去強制令書に基づく長期の収容が人身の自由や家庭生活を送る権利を侵害するおそれがあるものとして、仮放免許可を行うよう勧告した事例

2018年(平成30年)6月12日

外国籍を有する申立人は、「定住者」の在留資格で本邦に入国した後、「永住者」の在留資格を有する外国籍者と婚姻し、子どもをもうけた。ところが、申立人は、子どもの生まれる前である平成25年7月17日に逮捕され、刑事裁判を経て服役することとなった。申立人の配偶者は、就労のために子どもを養育することが困難であり、子どもを母国にいる自身の母親に預けて育ててもらっている状況である(正確には、子どもは、半年ほど本邦外で配偶者の母親(祖母)と生活し、残りの半年について短期滞在で本邦に入国して配偶者と生活している)。
申立人は、平成27年9月15日に退去強制令書を発付され、同年9月24日に出所に続き大阪入国管理局に収容された。
申立人は、家族3人で生活するために、断続的に合計8回の仮放免許可申請を行い(いずれも平成22年9月9日付け日本弁護士連合会と法務省入国管理局との合意に基づく協力申出書を提出した)、退去強制令書発付処分の取消訴訟をも提起したが、仮放免許可申請はいずれも不許可となり、入国者収容所大村入国管理センターに移送されてからも仮放免は許可されず、現在まで身体拘束が継続したままである。
このような長期にわたる身体拘束は、申立人の人身の自由を侵害するおそれがあるだけでなく、子どもの最善の利益を考慮せず、家庭生活を送る権利をいたずらに侵害するおそれがあるものとして、仮放免許可をするよう勧告した。

退去強制令書に基づく長期の収容が人身の自由や家庭生活を送る権利を侵害するおそれがあるものとして、仮放免許可を行うよう勧告した事例

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