大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

大阪拘置所に対し、死刑確定者が発受する信書の内容のうち、民事訴訟の遂行に関する相談や協議に関する部分は、その差止め及び削除をしないよう勧告した事例

2019年(令和元年)12月23日

申立人は大阪拘置所に収容されている死刑確定者であるところ、その支援者から届いた信書に、国を被告とする訴訟を提起することの提案と、申立人が既に提起した訴訟を取り下げることの要請が記載されていた。

大阪拘置所は、その記載が、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項各号に該当しないものと判断して削除して本件信書を申立人に交付した。

しかし、同法139条1項は、その2号に「婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持その他の死刑確定者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため発受する信書」を挙げて、その信書の発受を許可することを明記している。

これは、死刑確定者の幸福追求権(憲法13条)と表現の自由(憲法21条)を保障するとともに、裁判を受ける権利(憲法32条)を実現するために必要な法的利益を保護するためのものである。

従って、当会は、大阪拘置所の行なった本件削除が、申立人の幸福追求権と表現の自由、そして、裁判を受ける権利を実現するために必要な法的利益を侵害したとして、死刑確定者が発受する信書の内容が民事訴訟の遂行に関する相談や協議に関するものである場合は、その部分の発受の差止め及び削除をしないよう勧告した。

大阪拘置所に対し、死刑確定者が発受する信書の内容のうち、民事訴訟の遂行に関する相談や協議に関する部分は、その差止め及び削除をしないよう勧告した事例

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