大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

大阪刑務所の被収容者が裁判所の召喚に基づいて他の刑事収容施設に移送される場合に、当該被収容者が携行せずに残置する私物がどのように処置されるのかにつき明確に手続を定め、当該被収容者の私物を輸送する際の費用を自己負担させないよう定めるとともに、それらの手続内容を当該被収容者に説明するよう勧告した事例

2021年(令和3年)12月24日

【執行の概要】

1 申立人は、大阪刑務所服役中に、他者の裁判手続の証人として東京地方裁判所から召喚され、出廷に備えて、東京拘置所へ新幹線で移送されることになった。
大阪刑務所では、被収容者が別の刑事施設に移管される場合に、当該被収容者が私物を携行せずに残置したとき、廃棄するかどうかを個別の事情に応じて判断している。
本件において、申立人には私物を保管しておくという説明もなく、保管私物等を外部に交付すること(宅下げ)も求められなかった。
その上で、申立人は、私物輸送費を自己の領置金から支出することに同意する文書を作成した。
大阪刑務所は当時申立人が所持・保管していた一切の私物の輸送費として、6,561円を申立人の領置金から徴収した。

2 大阪刑務所では申立人からの上記輸送費徴収当時、本件のような場合の私物の輸送費を一律に被収容者に負担させていた。また、私物輸送費の負担に関する基準は存在していなかった。
ただし、現在はこれまでの運用を見直し、国費で負担する運用をしている。

3 申立人が、裁判所の召喚によって東京拘置所への移送を余儀なくされ、携行せずに残置した私物の輸送費について、申立人の真の同意や法律上の根拠規定がないにもかかわらず、自己負担させられたことは、申立人の財産権に対する侵害となる。 現在は上記のとおり運用を変更しているとはいえ、本件のような財産権侵害を再発させないためには、上記運用にとどめるべきではない。
したがって、被収容者が裁判所の召喚に基づいて他の刑事収容施設に移送される場合に、当該被収容者が携行せずに残置する私物がどのように処置されるのかにつき明確に手続を定め、当該被収容者の私物を輸送する際の費用を自己負担させないよう定めるとともに、それらの手続内容を当該被収容者に説明するよう勧告する。

大阪刑務所の被収容者が裁判所の召喚に基づいて他の刑事収容施設に移送される場合に、当該被収容者が携行せずに残置する私物がどのように処置されるのかにつき明確に手続を定め、当該被収容者の私物を輸送する際の費用を自己負担させないよう定めるとともに、それらの手続内容を当該被収容者に説明するよう勧告した事例

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