先に映画を観るか、先に原作を読むか。

  小説好きの私としては、2時間程度の映像は物足りないと思っていましたが、大昔、『ドグラ・マグラ』(原作・夢野久作)をどうやって映像化するんだと思いながら観たところ、故桂枝雀さんの演技などにすっかりやられてしまい、それからは小説とは別に、映画は映画なりのおもしろさがあると思うようになりました。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(原作・P・K・ディック)の映画版『ブレードランナー』も、映画だからこそのカッコ良さがあります。

  ちょっと前の『紙の月』(原作・角田光代)も、原作で繊細に描かれていた夫に対する主婦のわだかまりがどこまで出るかと思ったけれど、宮沢りえさん、良かったです。でも、結末はちょっと違う。なので、全体を通しても、映画と原作とは、ちょっと、違う。だいたい、札束が舞う中の宮沢りえさんという宣伝画像がステキ。私としては、小説には出てこない小林聡美さんの役柄がとても良かった。

  これもちょっと前ですが、『嗤う分身』という不思議な映画があり、原作の『二重人格』(原作・ドストエフスキー)を読んだところ、本当にまぁ、あの不気味な両極端な人格を、1人の役者さんが上手く演じてたよなぁと改めて感心しました。

  もっともっと昔の『太陽がいっぱい』(原作・P・ハイスミス)は、最近、小説を読んだのですが、基本的なラインは同じでも、映画と全然、違う。同じ作家の『キャロル』が映画化されて、少し前に話題になりましたが、この作品と同じく、『太陽がいっぱい』の原作にはそこはかとなくLGBTの「雰囲気」が漂う。映画『太陽がいっぱい』は、セクシャリティの部分をあまり出していないけれど、名作ですよね。

  そして『沈黙』(遠藤周作)です。映画がすごく良かった。チョイ役だけど片桐はいりさん、かわいい。宣教師役も良かった。出演者も結構、そうそうたるメンバーなんですよね。でも、何と言ってもキチジロー役、窪塚洋介さんですね。
そこで、中学時代に読んだ原作を、久々に読み返してみました。そうすると、へー、あのシーンも原作にあったのかぁというのが多く、いかに映画が原作に忠実に作られているかがよくわかります。もっとも、最後のシーンは監督が加えたものらしいですが。
ただ、漢文の素養のない私は、中学時代も今回も、最後の最後の文献が読みこなせなかった。どなたか、あのキチジローがどうなったのか、教えていただけませんか?

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