最近のトピックといえば平昌五輪ですが、先週、男子シングルの競技が行われ、羽生選手が金メダル、宇野選手が銀メダルに輝きました。フリーの演技時間には、人出がかなり少なくなっていたと聞きます。テレビ観戦でしたが、圧倒されましたので、今回はフィギュアスケートについて書くことにします。

 

フィギュアスケートは、自分の演技を披露するもので、対戦相手のある競技と違い、相手に関係なく自分のベストを尽くせばいいはずですが、今回の男子シングルを見ればそのように言えないことが分かります。

前に滑った選手の演技も影響しますし、観客の雰囲気も明らかにメンタルに影響します。今回、日本から応援団が参加して、アウェイではなくホームの戦いになった点は大きく、両選手の好演技をアシストすることになったと思います。

 

そして今大会で、まさにフィギュアスケートが格闘技だと思わせる場面を見ました。

ショートプログラムでの羽生選手の演技は圧巻で、まさに絶対王者の帰還でした。冒頭の4回転サルコーの成功から、全てを自分の支配下に置き、見る者全てを制圧する演技となり、111点台の高い得点を出しました。

 

おかげで羽生選手の直後の滑走だったネイサン・チェン選手は、王者に飲まれてしまったのか、金メダル有力候補といわれていたにもかかわらず、3つのジャンプを全て失敗し、羽生選手から約30点離れた82点台の演技となってしまいました。アナウンサーは、「どうした、ネイサン!」と絶叫し、まるで格闘技の実況のようでした。

 

続くコリヤダも王者に飲み込まれてしまったような感じで、こじんまりした演技になってしまいました。その後の宇野、フェルナンデス、金の3選手は、宇野選手が王者にひれ伏すことなく自分の演技をしてくれたおかげで、きちんとジャンプを決め、100点を超える演技となり、金メダル争いはこの4人に絞られました。

 

一夜明けてフリー。羽生選手は、直前の練習での4回転サルコーは、好調とはいえなかったのですが、いざ演技となると、冒頭の4回転サルコーを見事に決めると、前半のジャンプを綺麗に決めていきます。ただ心配は、体力が演技の最後まで持つかどうかでした。後半で再び4回転サルコーのコンビネーションを成功させた後、続く4本目の4回転ジャンプ、4回転トウループは着氷が乱れコンビネーションになりませんでした。

 

しかし続くトリプルアクセルを3連続にしたことで再び波に乗り、力強さを取り戻していよいよラストの3回転ルッツ。このジャンプはシニアに上がった頃は、しばしば体力が尽きて転倒していましたが、今回は着氷が乱れても絶対に立つんだというものすごい執念で、見事に立ってみせました。その後のステップは嵐のようで、最後のポーズを決めた瞬間、金メダルの可能性を確実なものとしました。

 

宇野選手は最終滑走で逆転のチャンスもあったため緊張したようですが、冒頭で転倒したことで、逆に落ちついた演技ができて銀メダル。素晴らしいことです。

 

メダルを取った選手以外で印象に残ったのはネイサン・チェン選手のフリー。

ショートプログラムでは羽生選手の王者の咆吼に倒されてしまった感がありましたが、フリーでは打って変わって伸び伸びとした演技で、次々と高難度の4回転ジャンプを決め、何とフリーでは羽生選手を上回る215点台で1位。見事な巻き返しに、ソチでの浅田真央選手みたい、という声も多かったのですが、フリーの曲がMao's Last Dancerということを知ると、なるほどと思います。

 

また個性的なダンスを披露したのが、アメリカのアダム・リッポンとカナダのキーガン・メッシングの両選手。リッポンはダンサーの体型でコンテンポラリーダンスの表現が見事で、特にフリーの、傷付いた鳥が飛び立つさまを表現する世界観は素晴らしい。一方のメッシングは、ショートプログラムが「雨に歌えば」、フリーがチャップリンという、古き良きミュージカルの世界を見事に表現していました。

 

このように、男子シングルは熱のこもった素晴らしい戦いでした。さあ今週は女子シングルです。また全部見てしまうことになると思います。

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