2017年8月28日 (月)

灼熱の当番弁護士

当番弁護士という制度は、みなさんもうご存知だと思いますが、名簿に登録された弁護士に、年に何回か当番の割当があり、その日に指示された警察や留置施設に出動するシステムになっています。

 

当番になっていても出動しない日もあれば、2件以上出動する日もあります(最近はほとんどの場合1件だけになっています)。

 

7月にも当番に当たっていた日があり、その時には出動要請がなかったのですが、8月11日の当番の日には、港警察と平野警察の2件出動要請がありました。

 

まあ2件とも大阪市内だし何とかなるか、と思って被疑者国選を受任したのですが、この2つの警察は難波から西と天王寺から東という方向で西と東に離れており、同じ日に2件回ると3時間以上かかるのでありました。

 

弁護士の仕事はいろいろありますが、典型的なものとして法律相談があります。依頼者から話を聞いて、法律的なアドバイスするわけですが、プロセスとしては大きく二つの部分に分けることができます。

 

一つ目は、依頼者の話を聞いて、こちらが要点を把握し、どういう点に問題があるのかを理解することです。

以前から知っている方から相談を受ける場合、その人の立場や家族構成など、ある程度の情報を知っているので、比較的問題点を把握しやすいのですが、弁護士会の法律相談などのように、初対面で話を聞く場合は問題点の把握はかなり難しい場合があります。しかも時間が限られている場合も多いとあってはなおさらです。

 

よくあるパターンとして、相談者が、登場人物の紹介を長々とされることがあります。これは聞かされる側にとっては結構大変で、もうちょっと端的に登場人物が何人でそれぞれどういう立場なのかを説明してもらえないかな、と思うことがあります。

 

弁護士が刑事事件に関わることはよくあります。一番多いのは被疑者・被告人の弁護人となることですが、その反対に、被害者から相談を受けて被害届を出す、という関与の仕方もあります。

 

しかしこの被害届ですが、実は受理してもらうのが難しい。傷害罪など分かりやすい犯罪はすぐに受理してくれますが、犯罪の種類によってはなかなか受理してもらえないこともあります。

 

かなり前の話ですが、以前付き合っていた男性に、自分が署名していない婚姻届を出されたという事件がありました。つまり文書偽造ですが、被害届を受理してもらうため警察に行った際に、「うーん、文書偽造はなかなか難しいですねえ」と言われました。一緒に住んでいた時には殴られたこともあったらしい、と言ったところ、係の方から、「それならすぐに立件できるのですが」と言われたのには、苦笑せざるを得ませんでした。

 

最近、相談を受けた事件は、いわゆる「手形パクリ屋」のケースで、「手形を割り引く」と言って、手形を振出させ、振出人には金を支払わず持って行き、手形を第三者に譲り渡し、振出人に損害を与えたという事案です。

 

2016年12月7日 (水)

今年の出来事

大久保です。今年も12月になり、突然寒くなりました。

今回は今年の出来事を振り返ってみることにしますが、とりあえず思いついたものだけ書くことにします。

 

まずは6月のUK国民投票。

直前の世論調査では残留派がやや優勢かと思われていましたが、何と離脱派が上回り、仰天しました。

結果はともかく、投票前に離脱派が主張していたことをあっさり撤回していたのには呆れました。

たまたま離脱派の有力者だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が書いた「チャーチル・ファクター」という本が邦訳されていたので読みましたが、

なかなか面白い本でした。ただ日本人のノーベル賞受賞者に「前衛的な劇作家」がいるというのは、多分安部公房のことかと思いますが違いますね。

 

そして下半期に仰天させられたのがUSAの大統領選。

これも事前の予想を覆すものでした。ただ得票数自体はヒラリーが上回っていたようで、そのレベルでは当っていたかもしれませんが、

大方の予想を裏切りました。まさかトランプ氏が大統領になるとは。

 

大久保です。

 

    先日、ある研修における設問に対し、対応の仕方について意見が分かれる、ということがあったので、ここで書いてみたいと思います。

 

    設問は、修理代金30万円の請求をされている方が相談に来られ、支払わないと裁判をすると言われた、自分としてはある程度は支払わないといけないことは理解しているが、30万円は高すぎる、20万円なら支払うつもりでいると言っている、どのようにアドバイスすべきか、というものです。

 

    この設問に対し、私は、裁判を提起されても、別に怖がることもないし、言い分があるなら裁判所で言えばいいのだから、裁判所で決着をつけたらいいのではないか、という意見を述べましたが、裁判の前に解決した方が面倒がないし安あがりではないか、という意見の方も結構おられました。