こんにちは,弁護士の禿祥子です。はじめての投稿です。宜しくお願い致します。

 さて,本日は,司法修習生(※)と保活(※)という,ちょっと意外な取り合わせのお話です。

 

 司法修習生(以下「修習生」と言います。)は、弁護士、裁判官、検察官の卵。その生活を学生生活に重ねる読者もいらっしゃるかもしれませんね。ですが,これが案外ハードなのです。

 

昔は2年かけてやっていた研修を,「大人の事情」で現在は1年に短縮しているので,平日の午前9時20分前後から午後5時まで,カリキュラムはギュウギュウに詰まっています。講義形式の座学ばかりでなく,裁判所,検察庁,法律事務所等の各現場でも研修しながら,修習生は最終試験に備えて日々猛勉強をしています。

 

 乳幼児を育てる修習生はもちろん日中に子どもの面倒を見ることはできません。残念ながら,自分の親や配偶者に子どもを見てもらえる修習生ばかりでもありません。こうしたとき,修習生が頼りたいと思うのは保育所です。でも,待機児童が多数いる市町村では,これもかなりハードルが高いのです。というのも,修習生は,現在は無給で研修を受ける身分なので,「労働者」とは扱われず,入所の優先順位が「労働者」よりも下位になってしまうことが多いからです。司法試験に合格して喜びを味わったのもつかの間,「子どもをどこに預ければよいの!」と死にものぐるいで保活に突入したという修習生の切実な体験談を私も先日聞きました。

 

 待機児童問題の中でも,修習生の保活問題は非常に特殊かもしれません。しかし,給与が支給されていた古き時代の修習生だった私は,現在の修習生が置かれている精神的にも経済的にも厳しい状況を目の当たりにし,社会の縮図を見たような気がしました。

 

 なお,大阪弁護士会では,子育て中・妊娠中の修習生及び司法試験合格者の方をできる限りサポートします。保活の進め方,子育てと修習生活の両立など,諸先輩方の体験談を踏まえたアドバイスもできます。ひとりで思い悩む前にぜひ一度ご相談ください。

 

大阪弁護士会内相談 窓口(人権課・男女共同参画推進本部担当:06-6364-1227)

 

~「司法修習生」と「保活」を知らない方へ~

 

※司法修習生

 司法試験に合格した後,法律実務家になるため,最高裁判所の定めた研修を受けている国家公務員に準ずる身分の者。2011年より以前は,給与も支給されていたが,現在は無給。修習専念義務があるため,兼業は原則として禁止されているが,生活費の貸与を受けることもできる。

 

※保活

 子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動。待機児童が多数いる市町村において,子どもを保育所に入れるための必須の活動。

保活のハードルの高さ

保活に悩む修習生がいる・・・言われてみると、確かに修習しながら子育てというのは、さらにハードルが高そうです。注目するべき課題ですね。

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