2016年6月11日 (土)

質問思考と心の三角柱

はじめまして、今年度ブロガーにならせていただいた辻村幸宏と申します。

私、弁護士14年目の39歳、3人の子どもの父親であります。

どうぞよろしくお願いします。

 

好きなものは、70年代日本のフォークソングですが、ギターは弾けません(Fで挫折しています)。

これまで全く楽器とは無縁でしたが、現在、娘のピアノの発表会での家族セッションに向けてウクレレを猛練習中です(この歳で初心者ですから1曲をものにするのも大変です。夜中にひっそりポロロンと鳴らしております。)。

 

また、当会所属の角田龍平弁護士に巻き込まれ、「角田龍平のオールナイトニッポンポッドキャスト」大阪収録の協力をしたり、弁護士3名で弁護士会非公認のポッドキャスト番組『ベントーク』をひっそり配信させていただいております。

少々くだけ過ぎた内容かもしれませんが、よかったら聴いてみてください。

 

長たらしい自己紹介はこれくらいにしまして(でも最初が肝腎ですよね。お前誰やねんというところから読むわけですからね。すんません、このフォローも長いですね。)、初投稿のテーマに入ります。

 

題して「質問思考と心の三角柱」です。

 

私、弁護士3年目あたりで所属事務所に後輩が入ることになり、兄弁としてきちんと指導してあげたいなと思い「コーチング」を学び始めたのですが、単純にやってて面白くなってしまい、勢い余って文科省所管の生涯学習開発財団というところが認可する「認定コーチ」という資格を取りました。

今もコーチングの知識を事務局とのコミュニケーションの他いろんな場面で活かしたり、ときどき研修とか自主勉強会みたいなものもやっています。

 

で、そのコーチング関連の書籍には、心理やコミュニケーションを扱う面白いものが多いのですが、特におすすめなのが

 

「すべては「前向き質問」でうまくいく 質問思考の技術/クエスチョン・シンキング」(マリリーGアダムス著 中西真雄美訳/ディスカヴァートゥエンティワン)

 

です。

 

ヘッドハンティングされて鳴り物入りで入った会社で思うような成果を出せず、部下との関係も最悪、妻との関係まで台無しになりかけていた悲劇の主人公ベンが、「質問好きなコーチ」ジョセフとの対話を通じて、質問思考を身につけていくという胸のすくストーリーです。結構泣けるシーンもあるので、とにかく読んでみてください。

 

さて、このストーリーの中でキーワードとなるのが、「批判者」と「学習者」です。

 

批判者は、問題にぶつかったときに、思考・感情・環境に習慣的に反応し、

「なにが悪いのだろう?」

「誰のせいだろう?」

「どうして私が嫌な目に遭うのだろう?」

という質問を無意識にしてしまい、ネガティブな意見を述べるだけで解決のための行動を起こしません。

 

一方、学習者は、問題にぶつかったときに、このような反応をせず、頭の中で

「なにが機能するだろう?」

「私はなにに責任を持つべきだろう?」

「私はなにを学べるだろう?」

という質問をし、問題解決のための行動を起こしていきます。

その根底には、人はどんな状況でも選択できる、という考えがあります。

 

もちろん、学習者になろう、ということになるわけですが、とはいえ学習者も常に学習者でいられるわけではなく、やはり、ついついいろんなことに反応して批判者になってしまいます。それはもう、仕方ないことです。

でも、そんな場合でも、落ち着いて

「私は今批判者になってはいないだろうか?」

というスイッチングクエスチョンを唱え、いつでも学習者の道を選択し直すことができます。

そして、あらためて頭の中のネガティブな質問を学習者の質問に変えて、学習者の道に戻ることができるのです。

 

この本では、上に書いた方法論を、「選択の地図」というシンプルな一枚の絵で表し、トライしやすいように工夫されています。

物語の中でも、ベンが家に「選択の地図」を持って帰って冷蔵庫に貼っておくと、妻のアレクサの方が(ジョセフから何も教えを受けていないのに)先に質問思考に開眼してしまうシーンがあります。

 

こういうのを聞くと、「こんなのきれいごとに過ぎないよ」とか、「学習者って、そんな聖人君子みたいなポジティブな考え方俺にはできないよ」とかいろいろなツッコミがよぎるかもしれませんが、この質問思考のポイントは、性格のよしあしや内面の強さ弱さとは無関係に、単に質問を置き換える技術として身につけることができ、そして、技術さえあれば、人は誰でも学習者になれるというところにあると思っています。

要するに、特に頑張らなくても、上記フローに従ってスイッチングクエスチョンと学習者の質問をルーティン的に実行しさえすれば、誰でも効果的な行動が起こせるわけです。もっと言えば、どんなネガティブな思想の持ち主でも、ポジティブな質問を創ることによって、脳みそを騙してポジティブな考えに持って行ってしまえるというわけです。

「人は楽しいから笑うのではなく、笑うことで楽しい感情を作り出している」とか、カールルイスはゴール前に意識的に笑顔を作ることで力を出し切っていたとかいうような話を聞いたことがありますが、フォームがマインドに影響するという意味で、似たようなことかなと思っています。

 

例えば、寝坊して遅刻しそうになったときの頭の中は、

「なんで昨日目覚ましをかけへんかったんや?」

「なんで妻は起こしてくれへんかったんや(それになにをまだねとんねん!)?」

「そもそも昨晩遅くまでおもしろない上司に付き合わされて飲んだから起きれへんかったんや、上司はなんで俺の邪魔ばっかりするねん…?」

とか、そんな感じでしょうか(だいぶダメな人を想定していますかね…)?

想像するだけでも、こういうときは目は充血し、心臓がバクバクし、息は荒れてるって感じですね。

 

と、ここでスイッチングクエスチョンを繰り出すのです。

「ちょっと待て、わて、批判者になってへんか?」と。

 

次に、深呼吸して、批判者の質問を学習者の質問に変えましょう。

「今できるベストなことって何やろう?」

「いつものルートより早く行ける方法はあれへんか?」

「遅刻を伝えるべき範囲は?連絡の優先順位は?」

などなど。

 

この質問を頭に浮かべた時点で、心臓の鼓動はスッと収まり、集中して準備に取り掛かれそうですよね。

 

このような思考を技術として身につけることで、問題解決モードに切り替えることができます。ぜひ、お試しください。

 

と…いうわけで、質問思考について、ちょっとご紹介させていただきました。

 

長くなりすぎたので「心の三角柱」については、さらっと触れる程度にします。

 

大ベストセラーとなったアドラー心理学の本「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)の続編となる、「幸せになる勇気」(同上)に、カウンセラーの使用する「心の三角柱」がでてきます。

 

三角柱の二面には、

「悪いあの人」

「かわいそうなわたし」

と書いてあり、最後の一面には、

「これからどうするか」

と書いてあります。

 

カウンセリングでお話を聴く際には、各面を見せながら今何の話をしているかを自覚してもらいながら聴くようなのですが、だいたいの場合は「悪いあの人」「かわいそうなわたし」の話に終始するようです。

 

これらの話をいくら聞いても一時のなぐさめにはなっても、明日からどう生きて行くかの答えにはならず、問題解決のためには「これからどうするか」を語り合うべきだというのです。

 

「悪いあの人」「かわいそうなわたし」は、まさに先ほど書いた批判者の考え方であって、一方「これからどうするか」はそれ自体が学習者の質問です。

 

私は、これを読んだときに、先ほど挙げた質問思考の考え方と相通じるところがあるなと感じ、コーチングとアドラー心理学に横串がささったように思いました。

根底に、人は過去に縛られず、いつでも自ら「選択」できるという思想があり、そこに自由さを感じ、勇気付けられたのです!

 

……ちょっと胡散臭い話っぽくなってしまったかもしれませんが、セルフマネジメントツールとしても、依頼者や相手方とお話をさせてもらうときの考え方としても、こうした考えは割と役に立つのではないかと思います。

 

私、コミュニケーションや心理学が割と好きなもので、今後も、このような話をちょいちょい紹介させていただけたらな、と思っています。

 

今後ともよろしくお願いします。

学習者たれ!

批判者と学習者の視点、自分でも取り入れたいと思いました。
「これからどうするか」というのは、確かに依頼者の相談を聞くうえで大切にしている質問ですね。また次回の記事も楽しみにしています!

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