このブログを前回書いたときは、法廷内の手錠・腰縄の取り扱いについて、欧州調査の準備に追われているという話を書きました。

そこで、今回は、その結果について、少し紹介したいと思います。

 

ヨーロッパ調査は、ドイツ、フランス、アイルランド、イギリスに行きました。フランスは、欧州人権裁判所の調査が主でしたので、ドイツ、アイルランド、イギリスの調査結果を少し、紹介します。

 

ドイツは、ケルン地方裁判所とハッティンゲン簡易裁判所に行きました。どちらも、同じ州内の裁判所ですが、二つの裁判所で運用が異なっていたことも驚きの一つでした。

ケルン地方裁判所では、法廷内に手錠をしたまま被告人が入ってくることは原則ありません。例外的に、個別の被告人に暴行行為等の具体的なおそれがある場合には、裁判所が判断をして、手錠のまま入廷することもあるようですが、そのような事例は、ほぼないとのことでした。

ハッティンゲン簡易裁判所では、被告人が手錠のまま法廷に連れてこられる場合には、法廷に入る扉の陰で手錠を外すことが多く、手錠・腰縄姿のままで被告人席に来ることはほとんどないとのことでした。

 

イギリスは、100年以上も前から、法廷内に来る際に手錠をしていることは原則ないとのことで、それが「当たり前」の感覚になっていました。

 

アイルランドでも、被告人が法廷内で手錠をしていることは原則なく、それが「当たり前」であるとのことでした。

 

調査した3カ国では、日本のように、法廷内において、被告人に一律に手錠(日本の場合には、腰縄もしています。)をしている事例は、ありませんでした。

 

この法廷内での手錠・腰縄問題に関しては、今月1日に、近弁連で、被告人に逃亡・暴力行為等のおそれがない限り、法廷への入退廷時に手錠・腰縄を使用しないことを求める旨の決議がされ、問題の認識が広まりつつあります。

 

被告人の問題になると、日本ではまだまだ市民の間にその認識も理解も薄いです。罪を犯したのだから当然だとの、意見が多いようにも感じます。これには、起訴後の有罪率が99%を超えている事実があることが大きいと思います。

被告人には、無罪が推定されているという原則の意義を広めていければと思います。

 

と、なんだか、バリバリの刑事弁護弁護士みたいですね。

 

でも、私も含め、普通の弁護士の仕事は、民事事件が8~9割、刑事事件が1~2割です。刑事事件をやっていない弁護士さんも、実は多いんですよ。

 

刑事事件をやっていてもやっていなくても、少数者の人権を擁護することが、弁護士の使命だと私は思っています。

 

あー、なんだか、最後までまじめな話になってしまいました・・・。

今度書く機会があれば、もう少し、くだけた話を書きたいです。

法廷内の手錠・腰縄問題

他国と比較すると色々なものが見えてきますね。興味深いです。国民に広く理解を得る論理をどのように考えるかが重要だと思います。

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