2016年10月20日 (木)

オーバーステイ

最近、オーバーステイで逮捕されてしまった方の接見に行くことがありました。

「不法滞在の外国人」というカテゴリーに日本人はすごく厳しい目を向けることが多くて、やれ退去だなんだとマスコミなんかも声を上げるわけですが、

今回私がお会いした方は、留学して、日本語を学んで、その後日本で就職もして働いて、都度ビザもきちんと更新して…と本当に本当に真面目に日本で暮らしてこられた方でした。

 

今回ほんの数週間のオーバーステイで逮捕され、勾留までされてしまったのです。しかもオーバーステイになった理由もとても気の毒な事情で。

 

今後は不起訴→入管または起訴→執行猶予→入管、という流れで近く本国に戻られることになるのだと思いますが、ごくごく軽微な違法状態があったからといってすぐに日本の中で一生懸命に仕事をして活躍していた人を追い出して、しかも今後何年間も日本には入らせません!!というのは何とも強権的な制度だなぁと残念な気持ちでなりません。(もちろん在留特別許可や仮放免の手続きなどはあるにはあるのですが。)

 

2016年8月23日 (火)

相続放棄と固定資産税

被相続人が多額の債務を残して亡くなった場合、相続人としては相続放棄の手続を執ることが考えられます。通常、相続放棄を行った場合、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」(民法939条)とされており、債務を支払う義務はさかのぼってなかったことになります。

しかし、固定資産税については、少し注意が必要です。

 

地方税法343条は、次のように規定しています。

1項:固定資産税は、固定資産の所有者・・・に課する。

2項:前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者・・・として登記又は登録されている者をいう。(略)

すなわち、被相続人の死後、相続放棄までに相続登記がされ、課税処分がされてしまうと、相続放棄と課税処分のどちらが優先するのか?という問題が出てきてしまうのです。

 

これについて、横浜地判平成12年2月21日(判例自治205号19頁)は、代位による相続登記により登記簿上所有者とされている者に対してなされた固定資産税の賦課処分は、その後登記名義人が相続放棄をしても適法である、と判示しました。

2016年6月21日 (火)

不倫問題

 最近ワイドショーでやたらと不倫問題が取り沙汰されています。もはや、ちょっとしたブームなのでは、と思うほど。仕事柄、不貞を原因とした損害賠償請求に関与することが多いものですから、芸能人のこととはいえ、奥様は不倫相手だけではなく(元)ダンナに対しても慰謝料を請求したのかしら、認知は請求されてしたのかしら…などなど、まったくの他人事ながらついつい真剣に考えてしまう今日この頃です。職業病ですね。

 

 ところで、私は法教育委員会に所属しており、明日は大阪府の大谷高校という女子高で授業を行うことになっているのですが、今回学校からご指示をいただいたテーマが丁度「男女間の法律問題」ということですので、DV問題などに加えて離婚・不倫についても触れる授業をしてこようと思っています。

 弁護士による法教育ですから、不倫をすると、法律上こんなことが起きますよ!まぁ大変!!という説明は最低限するとして、それを超えて高校生相手に不倫をどう伝えるか、というのは難しいものだなぁと悩んでいます。

2016年4月5日 (火)

外国人の相続放棄

以前、法律相談で外国人の方が来られることが多い、という記事を書いたのですが、その後もやはり一定数のご相談を受けることがあります。国際的裁判管轄や準拠法の問題が関係すると法律相談ではぱっと答えづらいものですが、今回は外国人の方が関係する相続放棄・限定承認の問題について書こうと思います。

 

相続の準拠法について、通則法36条は「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。

したがって、相続人が外国人でも、被相続人が日本国籍を有していれば、相続人は、日本法に従って相続放棄ができることになります。

 

他方、相続人が日本人でも、被相続人が外国人だと、日本法に従って相続放棄、というわけにはいきません。そもそも被相続人の本国法で相続放棄なる手続きが定められているのか、熟慮期間はどのくらいなのか、というところを確認する必要があります。

 

以上の点から、実体法上相続放棄が可能、ということになれば、次は管轄の問題です。この点について、被相続人の最後の住所地に管轄を認める学説が有力ですので、被相続人の国籍にかかわらず、被相続人が日本に長らく居住していたということであれば、日本の裁判所に管轄が認められるでしょう。

2015年12月17日 (木)

離婚訴訟について

 離婚訴訟で裁判離婚するという内容の和解をする際、代理人がついていても、本人が出頭しなければならないことを定めた規定はありませんが、裁判所は一般的に両当事者の同席を求めます。

 

「新人事訴訟法 要点解説とQ&A」(新日本法規 編著:石田敏明)には、「理論的には、身分行為に代理は許さないという原則はありますが、この点もいったん離婚の意思を固めてこれを使者に伝達してもらうことは可能であるから、代理人弁護士を使者として訴訟上の和解をすることは不可能ではない。」としつつ、「訴訟上の和解の成立により身分関係が形成されるのですから和解成立時の本人の意思の確認が重要であるところ、今回の新法の制定に当たっても、…書面和解、裁判所による和解案提示による和解の規定を準用しなかったこと、本人の離婚意思というものの時々刻々変わりうるもので、和解成立の時点での本人の意思の確認が重要であること、家庭裁判所の調停での実務慣行では本人の出頭を要求していることを総合的に考えると本人の出頭を要求すべき」との記述があります。

 

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