先日、「この世界の片隅に」という映画を観ました。

 

 この映画は、戦時中の呉を舞台とした、同名のマンガを原作とするアニメーション映画であり、昨年の公開当初は上映館も少なかったのですが、口コミで人気が広がり、ロングランヒットとなっています。

この映画は、クラウドファンディングという、わかりやすく言うとインターネット上で賛同者から寄付を集めて製作資金とする新しい手法により、製作されており、その点でも、極めて異例なヒットでした。

 

 まだ上映中なこともあり、詳しい内容に触れるのは控えようと思いますが、太平洋戦争という難しい話題を扱う映画でありながら、明るい性格の主人公(浦野すず)の日常の描写を中心に、笑い話を交えながらストーリーが進み大変おもしろい作品でした。

 他方で、一見明るく日常生活が行われているなかで、徐々に戦争の惨禍が迫ってくる描写があちこちに挟まれており、やがてそのことに気づかされてハッという気持ちになるという、中々怖い作品でもありました。

 

2017年2月6日 (月)

哲学から法曹実務へ

絶対的真理や絶対的正義は存在するのか?

我々が考える真実は絶対なのか?

私たちが話す言説はどのような根拠を有しているのか?

こういった哲学的な問いは、法律家にとっても大切ではないかと思います。

 

私たち弁護士は、「基本的人権の擁護」「社会正義の実現」を理念としております。

それゆえ、ついつい、「基本的人権」や「社会正義」が前提として存在し、絶対的なものとしてあるようについつい感じることがあります。

 

しかしながら、「基本的人権」や「社会正義」は時代や社会状況、権力関係によって、その態様は変容しながら形成されていることを肌で感じております。

 

フランスの哲学者ミッシェル・フーコーは、「絶対的な真理」は存在するものではなく、それは言説の中で形成されてくるものだと説いております。そして、真理と称される用語や理念は、社会に遍在する権力の構造のなかで形成されてきたものであるからこそ、それがどのようにして発生し、展開してきたか調べ、その形成過程から本来あるべき人間像・社会像を探ることが重要であると説いております。

 

私が所属する子どもの権利委員会の中の

いじめ問題研究会が執筆者となって

書籍が出版される予定です。

 

タイトルは

「事例と対話で学ぶ『いじめ』の法的対応」

   (株式会社エイデル研究所 刊)

といいます。

 

私は、執筆とともに、事務局としても

関わらせて頂きました。

 

内容は、

平成25年に成立した「いじめ防止対策推進法」の基礎知識の説明から始まり、

保護者側から相談を受けた弁護士、学校側から相談を受けた弁護士、そして、子どもの権利の立場から総括する教授という3名による対話形式による具体的事例の対応に関する解説、

さらに

「いじめ防止対策推進法」の3年後の見直しに対する提言

というものになっています。

 

逐条的な解説ではありませんが、

経験豊富なベテラン委員から新進気鋭の若手委員までが一丸となって議論し、

前回に続き、私が法律監修をさせて頂いているドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」のお話です。

 

ドラマも本日8話まで進み、来週でいよいよ最終話という終盤です。

 

ということで、内容をここで書きたいのですが、それはできませんので、別の話題を。

 

今回は、このドラマにおいて、私がどんな関わり方をしていたのかについて、少し書いてみたいと思います。

 

今回、私は、台本作成前の打合せから台本完成段階まで、法律家の観点から、アイディアを出させて頂いたり、台本内容の検討をさせて頂きました。具体的には、1話ごとに、初稿作成までのアイディア段階の過程では、私の実務経験や知見、実務状況、裁判例等を出させて頂き、ディスカッション等を行っておりました。そして、次の台本という形になってからは、初稿から5~6稿・・・と台本の完成までは、何度も何度も台本を読ませて頂き、用語チェック、法律・裁判例・実務との整合性等について細かく検討して指摘させて頂いておりました。

まずは、熊本県、大分県等で震災被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げ、そして、一刻も早い復旧がなされることを心より願っております。私も一弁護士として、一個人として何ができるか、共助の精神に立ち返って考え、行動していきたいと思っております。

 

本日4月21日から放送される連続ドラマ『グッドパートナー 無敵の弁護士』(木曜21時~ 主演:竹野内豊さん、松雪泰子さん http://www.tv-asahi.co.jp/goodpartner/)の法律監修をさせていただいております。

 

ドラマの法律監修は『リーガルハイ』以来であり、ある程度の慣れがあるとはいえ、「リアル」と「リアルらしさ」の乖離と距離感を考えながらの法律監修作業はなかなか大変です。ただ、ドラマを通じて映る弁護士のあり方をスタッフの皆さんとお話をする中で、素朴に弁護士のあるべき姿とは何か、弁護士とは実社会で何を求められているのか、そんな原点を考えさせられる作業でもあり、しんどいながらも楽しく法律監修をさせていただいております。