弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102 ja 西日本最大 ワン・ワールド・フェスティバルにお越しください http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/2317 <p>私が、実行委員会委員長をさせて頂いております関係と、大阪弁護士会も今年から参加していることもあって、恐縮ですが、この場をお借りしてご案内をさせてください。</p> <p><a href="http://www.interpeople.or.jp/owf/" title="テキストエリア へ送る"><img alt="rogozheng_fang_xing__0.png" src="http://www.osakaben.or.jp/blog/sites/default/files/u102/rogozheng_fang_xing__0.png" /></a></p> <p>&nbsp;</p> <p>西日本最大!!の、世界につながる国際協力のお祭り、ワン・ワールド・フェスティバルが、今年も、2月4日(土)~5日(日)に、関テレ扇町スクエア、大阪市立北区民センター、扇町公園にて開催します。今年で24回目になるこの祭りには、多くのNGOや国際関係機関のブースが立ち並び、各国の音楽やワークショップも行われ、楽しみながら国際協力を学べるイベントです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>今年は大阪弁護士会も、カンテレ扇町スクエア1階にて、ブース出展をします。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この2日間には、ボビー・オロゴンさん、LiLiCoさん、ハマカーンさん、関純子さん(関西テレビアナウンサー)、山中章子さん(フジテレビアナウンサー)なども参加し、イベントを開催します。また、今回からは、天神橋筋商店街とのコラボや、扇町公園でのスポーツイベントなどの新たな展開もしています。</p> <p><a href="http://www.interpeople.or.jp/owf/">http://www.interpeople.or.jp/owf/</a></p> <p>&nbsp;</p> <p>●開催期間:2017年2月4日(土)~5日(日)</p> <p>●時間帯:両日とも10:00~17:00</p> <p>●場所: 関テレ扇町スクエア、大阪市立北区民センター、扇町公園(JR天満駅、地下鉄扇町駅すぐ)</p> <p>●主催:ワン・ワールド・フェスティバル実行委員会</p> <p>&nbsp;</p> <p><strong>●主なイベント</strong></p> <p>まず、「カンテレ扇町スクェア」内と、隣接する「北区民センター」内において、大阪弁護士会をはじめ、多数のNGO/NPO・国際機関・政府機関・教育機関・企業などの150近くの出展団体が、ブースを出して、国際協力活動や社会的課題解決の取り組みを幅広く紹介する活動紹介をしています。それ自体、圧巻です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>一部の例を言えば、国連UNHCR協会、国連WFP協会、JICA関西、なんとかしなきゃ!プロジェクト、日本国際飢餓対策機構、アジア協会アジア友の会、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、AMDA、アムネスティ・インターナショナル、一村一品マーケット、ウータン・森と生活を考える会、北朝鮮難民救援基金、JHP・学校をつくる会、シャプラニール=市民による海外協力の会セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MAC、プラン・インターナショナル・ジャパン、ボルネオ保全トラスト・ジャパン、南太平洋協会などなど、全てをご紹介したいのですが、約150もの団体が集結しています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>さらに、両日とも、カンテレ扇町スクエア1Fのステージで、各種の民族舞踊やダンス、音楽などが行われていて、これを見ているだけでも十分に楽しくなります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>4日(土)には、</p> <p>「なんでもアリーナステージ(カンテレ扇町スクエア1F)」で、ボビー・オロゴンさんを呼んで「ボビーと学ぶアフリカin大阪」や、ソーシャル映像祭@カンテレ(「映像の力でいい社会を!」をテーマに、高校、大学、NPOなど様々な団体が制作した渾身の映像祭。司会 関純子アナウンサー)などもしています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そのほかにも、カンテレ扇町スクエア3Fの「メビック扇町交流スペース」でも、上映会やトーク、「SDGsとフェアトレード」「報道における表現の自由」などを考えるシンポや、「インドネシアNGOが語る熱帯林の現状」、「教育格差について考える~日本とフランス、両国の現状と課題~」、CB/SB講座「地域課題解決の経営スタイル」&amp;事例紹介などのイベントが目白押しです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>5日(日)にも、</p> <p>「なんでもアリーナステージ(カンテレ扇町スクエア1F)」で、LiLiCoさんとハマカーンさんによる「外務省に聞いちゃうよ!国際協力って何のため!?」や、「FNSチャリティキャンペーン現地取材報告会~山中章子(フジテレビアナウンサー)が見たトーゴ共和国」などを開催します。</p> <p>また、カンテレ扇町スクエア3Fの「メビック扇町交流スペース」でも、前日に続いて、「休感!ボルネオの熱帯雨林で起きていること」、「13歳で結婚?世界の女の子の現状と可能性~支援の現場から~」などのセミナーや、「JlCA教師海外研修(ネパール)報告会」なども行っています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>北区民センターIFの会議室では、終日、ワンフェスドキュメンタリーとして、「クリオンディグニティ」「Brakeless」、「スマイル」、「ミニバンライダー」を上映しています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>さらに扇町公園でも、「Child is One Wortd!」として、 KID&#39;S BIKE ONEfes CUP(対象2歳~10歳)、フットサル・ワンフェスカツプ(対象5歳~大人)、タグラグビー・ワンフェスカップ(対象5歳~大人)、大縄跳び挑戦などを行い、5日(日)には、14時~16時に、何とプロレス観戦(全5試合のエンターテインメント無料観戦)を行います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ぜひ、4、5の両日、少しでも顔を覗かせてください。待っています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p><strong>第24回ワン・ワールド・フェスティバル実行委員会</strong></p> <p>★(公社)アジア協会アジア友の会 ★(公財)オイスカ関西支部 ★(認活)大阪NPOセンター ★(公財)大阪YMCA  ★(公財)大阪市都市型産業振興センタークリエイティブネットワークセンター大阪メビック扇町 ★NPO法人Colorbath ★キッズプラザ大阪 ★ghostqueen ★(独)国際協力機構 関西国際センター ★KJC(コリアジャパンセンター) ★事業推進センターkansai ★(特活)地域環境デザイン研究所ecotone ★なんとかしなきゃ!プロジェクト ★(一財)日本国際飢餓対策機構 ★FLAPZERO  ★(一社)南太平洋協会 ★みんなでつくる学校とれぶりんか ★(特活)みんなの未来かいたく団 ★(特活)関西NGO協議会 (オブザーバー) ★(特活)関西国際交流団体協議会 (事務局)</p> <p>&nbsp;</p> <p>●共催 (一財)大阪市コミュニティ協会北区支部協議会</p> <p>●協力 外務省、 関西テレビ放送(株)</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/2317#comments Wed, 01 Feb 2017 00:37:54 +0000 018830 2317 at http://www.osakaben.or.jp/blog 地域猫について http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1981 <p>地域猫活動というのがあります。特定の飼い主がおらず、住みつく地域の猫好きな複数の住民たちの協力によって世話され管理されている猫に、不妊去勢手術を施して、これ以上不幸な猫をつくらないようにしたうえで、地域で適正に管理し、野良猫の数と被害を減らしていく活動です。徐々に全国で広がってきています。私は、市民活動の進め方の相談に乗ることがありますが、地域猫活動の相談もときどきあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この活動は、その地域の住民と地域猫活動に取り組むボランティア、そして行政の三者が協力しあって、野良猫の拡大を防ぎ、人と猫とが共生する地域づくりをしていくことを目的にしていると言えます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実は、早稲田大学に、大学公認の地域猫活動サークルがあったようです。「地域猫の会」(通称「わせねこ」)といい、今もあるのかどうかは、知りません。このサークルは、大学のキャンパス内に住む猫を対象に地域猫活動を行なっていました。そこでの活動が、正統派地域猫活動と言えそうで、そこで行っている活動の主な内容は、定期的な餌やり、構内の猫の不妊去勢手術、猫の餌場やその周辺の清掃、地域猫に関するシンポジウムへの参加、活動への理解を求める為の広報紙の発行、メンバーによる定例会等とのことのようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>こういった活動が、関西でも広がっていることは、7年ほど前の大阪日日新聞で、「野良猫を『街ねこ』に避妊去勢し地域で飼育」というタイトルで、紹介記事が出ていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その記事の概要ですが、ある大阪市内の自治会会長が、以前から、公園内に捨てられる子猫が増えたのを感じていたため、数年前から野良猫40匹に自費で避妊去勢手術を施してきていました。その活動の輪を広げようと、その方が区長に相談したところ、同区役所から、当時に大阪市が進めていた「大阪市街ねこモデル地区事業」を紹介されました。その後、その方はネコ愛護会を結成し、市の補助を受けながら活動を続けていることが書かれていました。その主な活動時間は夜間で、捕獲した猫は、協力獣医師の元で手術を実施し、以降は「街ねこ」として耳に印を付けて、他の猫と区別していました。餌やりの時間と場所を決め、健康管理なども行っていました。その方は「餌を与えるだけで満足している人は、あまりにも無責任。避妊去勢しなければ増えるだけ」と話していました。ネコ愛護会の活動が認知されて協力者が増えれば、もっと活動の幅を広げたいとの話をしていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ただ、この地域猫活動の課題は多くあると思います。そのひとつに、単に餌を与える活動としてしか見られずに、地域で理解されず、住民間でトラブルになるケースが相次ぐようになったことだろうと思います。中には、地域猫活動だと言って、実は安易に餌やりだけをしているケースもあるでしょうから、活動側に問題があるケースも多いと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実は、今から7年前に、有名な将棋棋士の方が、猫に餌付けをしていたために、猫のフン尿などで被害を受けたとして、同じ集合住宅に住む住民たちから「餌付けの中止」と慰謝料を求めた裁判がありました。その裁判では、東京地裁立川支部の裁判官が、餌付けの差し止めと204万円の損害賠償の支払いを命じています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この裁判の判決文の中で、裁判長が「地域猫」に言及しています。判決は、その棋士が、猫への不妊去勢手術やトイレ設置などの対策を取った点について、「動物愛護の精神に基づき、少しずつ地域猫活動の理念に沿うものになってきた」と評価したものの、他方で近隣住民との話し合いの場に出席せず、与え続ければ猫が寄ってくることを知りながら、なお餌やりを続けた点などを問題であるとして、これが「限度を超え、原告らの人格権を侵害する」とされたのでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その事例では、訴えた住民側は、「合意形成も無いのにやってよいわけが無い」と主張していました。裁判官は、その棋士が猫に避妊手術を受けさせていたことなどを指摘して「少しずつ地域猫活動の理念に沿うものになってきた」と評価しましたが、他方で近隣住民との話し合いの場に出席しなかったことや、地域対立が生じながらなお餌やりを続けた点が、違法と判断しました。結局は、その地域住民の理解が不可欠であることが活動の重要な要素だということになるかと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>地域猫でのトラブルのケースは、その多くに人間関係の紛糾が背景にあるようですが、地域猫活動とは、地元地域との有効な連携が無くてはできないことも事実です。できうれば、その活動を広げるためには、徐々にでも活動の理念を説明し、理解を広げていくしか道は無いように思います。大変なことですが、地域で受け入れられている活動は、みんな、その壁を乗り越えてこられたと思いますので、興味ある方はご参考にしてください。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1981#comments Thu, 02 Jul 2015 03:00:00 +0000 018830 1981 at http://www.osakaben.or.jp/blog 「休眠預金」の活用について http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1911 <p>休眠預金という言葉をご存知でしょうか?</p> <p>&nbsp;</p> <p>これは、金融機関に預金として預け入れたまま、長期間その口座へ預金者側から入出金などの取引が行われなくなり、金融機関から預金者への連絡も取れなくなった状態の預金口座のことをいいます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような「休眠預金」は、そのままでは銀行などの金融機関の利益になってしまいます。それでいいのか? むしろ、そのようなお金は、社会のために活用できないのか。このような疑問を、病児保育事業を通じて子供の貧困対策に取り組むNPO法人が提起し、他のNPOの関係者間で長く議論を重ねてきました。その発想の基礎には、2009年に韓国で行われたNPOのシンポジウムにおいて、韓国で「休眠口座基金」というものがあり、それを福祉支援目的で活用されているという報告にありました。その後、政府もその提案には興味を示し、東日本大震災の復興支援に使うための検討も含め話が広がってきています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>対象となる預金は、毎年500億以上と想定されていて、まさに眠る黄金預金です。これを公益的な活動をしているNPO法人などを通じて、貧困層支援、福祉事業、大規模災害復旧支援や、新産業育成などの幅広い分野に回して社会のために使おうというものです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>日本の銀行預金は、商法の消滅時効が適用され、5年間権利行使がなかった場合には時効消滅します(信用金庫の預金は民法の規定が適用され10年です。)。ただ、実務では、銀行側は慣例として時効後の預金も払い戻しに応じています。いつから休眠口座とするかについては、金融機関によって扱いが異なっていますが、各公式サイト上で明示していないところが大半です。何分、もともとは預金者の財産ですから、そのための法整備や払い戻し要求への迅速な対応など、高いハードルがありました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような中、つい先日に日経新聞が報じていましたが、超党派の議員連盟によって、この「休眠預金」を公的な使い道に回せるようにするための法案の骨格がまとまり、今国会への提出をめざすところまできました。金融機関の休眠預金を預金保険機構に移し、国が指定する活用団体を通じて新産業の育成や福祉事業を手がけるNPO法人などに助成したり貸し付けたりするのが柱のようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>海外では先行事例があります。アイルランドでは、2003年に「休眠預金基金」を設立し、貧困対策や障害者の支援などに活用しているとのことです。生命保険に関しても同様に対処されているようです。 イギリスでは、2012年に新たに創設された「ビッグソサエティキャピタル」基金というのがあり、銀行で15年以上使われていない「休眠口座」のお金を活用して、社会的企業の支援に乗り出し、日本円でおよそ500億円以上が確保される見通しとのことです。その基金は、政府から独立した機関で運用され、一般より低い金利で社会的企業を支援する団体に融資するなどし、それによって公共的な活動が活発になることが期待されています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この休眠預金活用案について、「国が国民のお金に手をつけるのはおかしい」といった批判があります。しかし、この案は、休眠預金を没収するものではなく、休眠預金になっても、預金者からの返還請求があればいつでも返すことを前提にしており、そういった預金者の権利を保護しながら、永久に活用されないまま銀行の資金になっていってしまう資金を、社会貢献のために有効に活用しようという話です。決して悪い話ではなく、有効な社会資源として活用が図られるべきだと思っています。新しい発想で行う民間活力を用いた社会的課題解決への新機軸として、弁護士会などもこれに注目して、有効に機能するように育てていきたいものです。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1911#comments Tue, 31 Mar 2015 03:00:12 +0000 018830 1911 at http://www.osakaben.or.jp/blog 思い出の親子丼 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1793 <p>昼食には、事務所近くのお店で取ることが多くあります。行きつけの蕎麦屋さんでは、よく親子丼を頂きます。この「親子丼」、私は、これを頂きながら、ときどき思い出す親子がいます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>どうして親子丼は、「親子」丼っていうのでしょうか。鶏肉と鶏の卵はいわば親子なので「親子丼」、豚肉と牛肉と卵だと他人ばかりだから「他人丼」だということですね。<br /> しかし、それに用いた鶏肉と卵は、正確に言うと、必ずしも真の親子かどうか分かりません。流通の現場から言うと他人(他鶏)同士であるのが事実でしょう。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実は、親子かどうかというのは、人間社会でも問題になることがあります。産み落とした母親ならば、病院での取り違えでもない限りは分かるでしょうが、父親となると「多分」という注釈つきになってしまいます。このため、日本では、社会生活での基本的なルールを定めた民法という法律で、一定の定めをしています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>少し難しい話ですが、結婚して役所に婚姻届け出をした夫婦において、妻が出産をした場合や、夫婦が離婚した後300日以内に妻が子を出産した場合、生まれてきた子どもは、婚姻中の夫婦の間にできた子(嫡出子)と推定されるという定めが民法にあります。これを「嫡出推定」といいます。つまりは、夫婦として戸籍上いた間に懐胎したのは、その夫婦間での行為によるのが通常だからという考えのもとで、とりあえずはその夫婦の子どもとして扱おうという決まりです。</p> <p>この嫡出推定のために、その妻が、仮に他の男性との間で授かった子どもであっても、役所にその子の出生届を出すと、役所では、子を産んだ妻の「戸籍上の夫」との間の子どもとして、戸籍に入籍されてしまいます。この場合、夫が、この子は自分の子ではないと思った場合は、原則として嫡出否認という手続きで訂正を行うことになります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>20年ほど前のことでした。ある日、工務店を営む中年で実直そうな社長さん夫婦と当時小学生であった男の子が事務所にやってきました。<br /> お話を聞きますと、その社長さんは、片田舎の出身でしたが大阪に縁があって出てきてから大工仕事を覚え、今は小さいながらも工務店を営んでいました。<br /> そして、その間に、同郷の女性と知り合って大阪で同居をはじめ、夫婦同然の生活をしていました。小学生の男の子はその間にできた子で、お父さん似の丸い顔をしていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ところが、さらに聞きますと、同居していたその女性には、かつて別の男性と結婚していたのですが、ある日、その夫が出稼ぎに行くと言って出たまま何年も行方が知れず困っていた際に、今回の相談者と知り合って同居に至り子までもうけたのです。ところが、その男の子の出生届を出すと、行方不明の夫との間の長男として戸籍に記載され、苗字もその夫の苗字になったのでした。これが、先に述べた「戸籍上の夫の子であるとの推定=嫡出推定」の定めからくる戸籍上のルールからでした。</p> <p>その後、大阪で親子3人の生活をしていたのですが、相談者である社長さんは、血は親子なのに戸籍上は苗字も異なる他人のような関係になっていることを不憫に思い、女性が病弱であることから今のうちに何とか戸籍上も父子の関係にしたいという希望を持っているのでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような場合、婚姻中に生まれた子どもであっても、夫が長期の海外出張や受刑、長期別居等で、妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には、夫の子であるとの推定を受けないことになるので、家庭裁判所に親子関係不存在確認の調停の申立てをすることができます。<br /> また、その調停で双方が夫婦の子ではないと合意でき、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば合意に従った審判がなされます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私は、戸籍の附表などを調べつつ、親族等に手紙を出しながら、懸命に行方不明になっていた戸籍上の父親を捜しました。大変な苦労をした結果、ようやく所在も分かって、ここでは詳細を省きますが、法的な段取りをいくつか経たうえで、最終的に戸籍上の親子関係も解消でき、何とか望みどおりの戸籍関係にすることができました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>家庭裁判所での手続きに父子と一緒に出向いた際に、一定の解決の目途がついてほっとしていたとき、依頼者であるその社長さんから、昼食を一緒にとのお誘いを受けて、子どもさんとも一緒に、裁判所近くの店に入りました。そのお父さまから、何になされますかと聞かれた際に、何気なくいつものように言ってしまったのが、「親子丼いただきます」でした。言ってから、親子関係の処理で来ているその親子の前で、なぜわざわざ親子丼を選んだのかなと思ってしまいましたが、そのときに父親と目があって、お互いに笑みが浮かび、互いに、あはは・・と、思わず笑い合ってしまいました。何となくほのぼのした思いで、3人全員で親子丼を食べました。</p> <p> 食べながら、我が子の食べ方に注意をする父親の姿を見ながら、そこに親子のきずなの深さを感じ強く感じました。ああ、よかったとも。</p> <p>最近、実は、そのときの子が、別の相談のために、実の父親と一緒に事務所にやってきました。あのとき小学生だった子が、素晴らしい青年になっていて驚嘆しました。聞くと、今は父親の工務店を手伝いながら大工仕事をしていると教えてくれました。<br /> お父さんも、戸籍上でも実の子となった息子が、自分の仕事を継がせることのできる安心感に満ちている感じを受けました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その日の昼食も、いつもの蕎麦屋で親子丼を食べながら、懐かしく思う親子のことでした。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1793#comments Wed, 08 Oct 2014 02:26:39 +0000 018830 1793 at http://www.osakaben.or.jp/blog 万引き犯の写真公開(私的刑罰) http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1756 <p>先日、あるアンティークショップで、商品を万引きしたとする男性について、その店を運営する会社が、「返さなければ顔写真をホームページで公開する」と警告していた問題が大きな話題になりました。結局、同社は公開中止を決めました。その後、この万引き事件の被疑者が逮捕されています。この件では、中井弁護士が、このブログで既に書かれていましたが、私も気になったので触れさせてください。</p> <p>&nbsp;</p> <p>今回の件は、ネット上で多くの書き込みがありました。私が見た限りでは、書き込まれた意見の多数派は公開賛成であったように見えました。内容もかなり過激で、「どんどん晒したったらええ」、「犯罪者に人権などは無い」、「ダメというのは犯罪者の人権を守りすぎ」、「悪いのは盗んだ犯人なのだから公開されて当たり前」などでした。</p> <p>他方で、反対意見は、「100%犯人ならいいけど、もし間違っていたらどうするんだよ?」、「こんなのがまかりとおったら、私刑で何やっても許されることになるわ」などでした。中井弁護士も反対のご意見でした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>小売販売業者の多くが万引きで困っていることは十分に理解ができます。私の実家も店をしていましたので、この痛みはよく分かります。ただ、それでも、この問題は、やはり中止したことは正しい選択であったと考えています。むしろ、公開するぞと脅した行為自体が問題であったと思います。「(盗品を返さなければ)モザイクを外して顔写真を出す」と警告する行為は、脅迫罪になると思われるからです。また、顔写真を公開した場合は、万引の事実を広く公表することであって、名誉毀損罪が成立する可能性もあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>こう言うと、「万引き犯を野放しにしていいのか」とか、「犯罪者の人権保護に重きを置きすぎ」などの反論を受けそうです。しかし、窃盗犯は、有罪となれば厳しい刑事処分だけではなく、賠償などの民事上の法的責任を負うことになるのは当然です。しかし、その犯罪に対して、犯罪で対抗する行為や、ネット上での顔さらし行為を自由に許していては、法秩序は成り立ちません。こういう行為は、法によらずに執行される「私刑(リンチ)」と言えます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>これに対しては、写真の人物が犯人である明らかな証拠があっても同じかという疑問を持たれるものと思います。特に、今回逮捕された人物と同一性があれば、この疑問意見を後押しするでしょう。この疑問を解くのはなかなか難しい点がありますが、成熟した市民社会ではこうあるべきだと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そもそも、今回、犯人と指摘されている人物が真犯人かどうかというのは、本当は誰も決めつけることはできません。写真の人物でない可能性もあるわけです。過去の経験からしても、被害者側が、「あいつが犯人だ」と声高に叫んだとしても、よくよく捜査を尽くせば人違いだったというケースは多くあります。今回の店側の対応に賛同する論理は、そもそも写真の人物を「犯人」と断定して議論をしているように思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私が、この問題で、特に危惧する点は、私的公開が広がることの怖さです。今回のケース自体は、店側にかなりの証拠があっての行動であったかもしれません。しかし、かかる行為が広がっていく中で、もし、あなたの顔が、ある日突然、身に覚えがないのに、ネット上で万引き犯として公開されていたらどうなるでしょうか。私的公開が横行した場合に、そこには特段のルールもないために、店側の一方的な思い込みで犯人と断定されてしまう可能性があるのです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>以前に、防犯カメラの画像を根拠に、盗んだカードでガソリンを入れていた容疑者として逮捕された会社員が、実は誤認逮捕であったことが分かり、起訴が取り消されたことが大きく報道されました。警察の慎重捜査でも、このようなミスを犯すのですから、ましてや、一般の店での判断で犯人だとされた場合に、間違いが起きることは大いにあり得ます。これは、想像するだけで恐ろしいことです。これがもしネット上で公開された場合、情報が駆け巡るとともに、あっという間に氏名や住所などのプライバシーが暴かれてしまいかねません。これが万一間違っていた場合、もはやネット上に広がった誤った情報は、ほぼ永久的に消えません。仮に精神的損害を賠償してもらっても、ネット社会におけるその後の人生はどうなるのでしょうか。その怖さは尋常ではありません。それでも「私的公開」に賛成されますか?</p> <p>&nbsp;</p> <p>(追記)被疑者・被告人の段階でメディアによる顔公表にも、本来問題はあるのですが、ここでは特に触れていません。)</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1756#comments Tue, 26 Aug 2014 15:00:00 +0000 018830 1756 at http://www.osakaben.or.jp/blog