弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106 ja スキー http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2548 <p>忙しいのですが,先週末,ニセコひらふスキー場に行って来ました。札幌で生まれ育った私がここに最初に来たのは,50年前,小学校1年生のときです。私はここが日本一のスキー場と思っています。</p> <p><a href="http://www.osakaben.or.jp/blog/imce?app=nomatter|imceload@imceInlineImceLoad#" title="テキストエリア へ送る"><img alt="yang_ti_shan_.jpg" src="http://www.osakaben.or.jp/blog/sites/default/files/u106/yang_ti_shan_.jpg" /></a></p> <p>&nbsp;</p> <p>そう思う人が多いのでしょうか,インバウンドブーム以前から,ここは外国人で賑わっています。オーストリアやニュージーランド,シンガポールなどからの方が多いようです。クリスマス休暇だったからでしょう,先日は本当に外国の人ばかりでした。ニセコの飲食店で一冬バイトをして,スキーも英語もうまくなると思います。40才くらい若ければやってみたかったなと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>2年ほど前,スマホのGPSの速度計で何気なく滑っているときの速度を測定してみました。</p> <p>なんと,最高速度は時速71キロ!</p> <p>すいていて雪面のコンディションも良いときに,急斜面の中腹あたりから直滑降をして叩きだした数値です。びっくりしました。</p> <p>以後,これを上回ったことはありませんが,それでも時速65キロくらいは出ます。まずいなと思い,ヘルメットを買いました。外国の人はほとんどがスキーのときにはヘルメットをかぶっています。日本人にも着用者が増えています。 </p> <p><a href="http://www.osakaben.or.jp/blog/imce?app=nomatter|imceload@imceInlineImceLoad#" title="テキストエリア へ送る"><img alt="su_du_ji_.png" src="http://www.osakaben.or.jp/blog/sites/default/files/u106/su_du_ji_.png" /></a></p> <p>&nbsp;</p> <p>スキー場での事故については,平成7年3月10日の最高裁の判決があります。事故は,奇しくもこのニセコひらふで起きました。判例雑誌に,勝手知ったるこのスキー場の図が載っていて,びっくりしました。中腹あたりの斜面(判決では「急斜面ではなく」と認定されていますが,簡単な斜面とは言えない気がします)をパラレルで滑っていた主婦に,上からウェーデルン(懐かしいなー。今はウェーデルンとは言わず「小パラ」などといいます)で滑って来た大学生が衝突し,主婦が負傷した,という事故です。いずれも上級者だったようですが,学生は下方を滑る主婦に気づかなかったようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>一審や二審は,主婦の学生に対する損害賠償請求を否定しました。スキーには必然的に危険が伴い滑走者は危険があることを認識して滑降しているから,といったことが否定の理由のようです。しかし,最高裁は,「スキー場において上方から滑降する者は,前方を注視し,下方を滑降している者の動静に注意して,その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う」として,学生の損害賠償責任を肯定しました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ごく常識的な判決に思えますが,最高裁は「スポーツだから事故に遭っても仕方がない」という考え方をとりません,とはっきり言っているように思います。また,その後のスキー事故の裁判例を読みますと,裁判官は「上から滑って来る人」に厳しい気がします。交通事故の場合,動いている車同士の事故の場合はどちらにも落ち度があるとされることが多いのですが,スキーの場合,「下の人」の過失はゼロとした例もあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>スポーツは危ないから被害者は事故を受け入れなさい(損害賠償請求できない)という加害者の主張が認められないのは,スキーに限ったことではありません。平成30年9月12日の東京高裁の判決は,バドミントンのダブルスで後衛が振ったラケットが前衛の目に当たったという事故で,後衛の過失を認め,損賠賠償を命じています。この件でも,前衛の過失はゼロでした。賠償額は1300万円以上です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>スポーツをするときには賠償保険に入ること,そして十分に注意して楽しむことが必要だと思います。暴走しているお前が言うな,と言われそうですが。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2548#comments Thu, 26 Dec 2019 04:11:28 +0000 021268 2548 at http://www.osakaben.or.jp/blog 高校野球の優勝投手 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2527 <p> 高校野球の歴史が好きな高橋からの出題です。名球会会員のうち,夏の高校野球の優勝投手をあげてください。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 今年も49の出場校が頂点を目指して頑張っています。優勝校のエースとなると,頂点の中の頂点です。ただ,そこに立ったのに,プロでは投手としてあまり活躍できない例も多いようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>名球会加入資格は,投手なら200勝以上,野手なら2000本安打以上で,昭和生まれです。投手では,退会した金田正一(以下,敬称略)・堀内恒夫を入れても18人しかいません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>答えの前に,150~199勝のレンジを見ますと,桑田真澄(昭和58・60年),大正生まれの真田重蔵(昭和15年)の2人の優勝投手がいます。メジャーリーグの勝ち星を加えますと,松坂大輔(平成10年),田中将大(平成17年)という現役投手がここに加わります。30歳で170勝に達している田中は,200勝する可能性が大きいでしょう。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 冒頭のクイズは,「打者として柴田勲(昭和35年)がいるだけで,投手としてはいない」が正解です。春の選抜優勝投手では,平松政次(昭和40年),打者としての王貞治(昭和32年)がいます。大正生まれに広げると,戦争での中断がありながら実働12年間で237勝もあげた野口二郎(昭和12年夏・13年春)という怪物の例があります。極端な大投手ばかりを見ている感はありますが,通算勝星数100位(115勝以上)まで目を広げても,実はここまでに名前を挙げた以外には夏の優勝投手はいません。最近の優勝投手にも,プロで伸び悩んでいる例は少なくありません。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 野手としての才能を生かして活躍している選手も多くいます。高校野球とプロとでは投手としての才能は違うとか,そこまですごい投手がいなくても優勝できるとかいうことも事実と思います。ただ,多投・連投によって才能がある投手が潰れているのではないかということは一層考えていく必要があると思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 現在巨人でコーチをしている水野雄仁(昭和58年春)は,どこかで,1つ上の学年に畠山準さん(昭和57年夏)がいる池田高校でよかった,1年からフル回転している早実の荒木大輔さんを気の毒に思った,と話していました。桑田と話したけれど高校時代はそんなに全力投球しなかったという話で一致した,とも書いていました。特別な能力がある選手たちだから言えることでしょうが。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 駒大苫小牧の香田監督は,田中が1年のとき,彼をベンチにも入れず,3年生投手3人で初の全国制覇を達成しました。2年の優勝時は,他の2人の3年生投手と併用しています。3年の準優勝時は,2番手の投手との差が大きかったのですが,それでも大会の終盤でも,田中を休ませようと努力していました。才能がある投手を預かる監督は大変だろうな,と思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 大会も,休養日,延長戦の短縮など,選手の体調に配慮をした工夫をするようになってはいます。延長25回,延長18回引き分け再試合といった名勝負の話は私も大好きですが,選手の体調や将来を考えた場合,名勝負を見たいという私たちの欲求は後ろに引くべきと思っています。選手,監督,運営のそれぞれが,選手それぞれの将来を潰さないことを一層考えるべきと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 大船渡高校の佐々木投手を甲子園で見ることができなかったのはとても残念でした。しかし,地方大会決勝でのチーム(「監督」ではなく,あえて「チーム」と書きます)の決断を,彼を見たい,報道したいという欲求から責めているのではないかと思われる論があるのは残念です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私は,これからの佐々木投手を楽しみにしたいと思います。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2527#comments Fri, 09 Aug 2019 06:47:44 +0000 021268 2527 at http://www.osakaben.or.jp/blog 弁護士のバッチ http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2505 <p>弁護士のバッチについての◯&times;クイズです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>①弁護士バッチには菊の花がデザインされている</p> <p>②弁護士は弁護士バッチを借りている</p> <p>③金バッチと銀のバッチがあり,「金の弁護士」が金のバッチを,「銀の弁護士」が銀のバッチを着けている</p> <p>④なくした場合はメルカリで買う。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>①&times;</p> <p>&nbsp;</p> <p>弁護士バッチ(記章)には,菊ではなくひまわりがあしらわれ,真ん中には天秤が描かれています。いつも太陽を向くひまわりのように、常に正しい方を向く,という姿勢を示しています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>②◯&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>バッチの裏にはそれぞれの登録番号が書かれていますので,一人ひとりに「自分のバッチ」があります。しかし,所有物ではなく,日本弁護士連合会から貸与を受けています。死亡したときや弁護士をやめたときには返さなければなりません。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ③&times;。ただし前半は◯</p> <p>&nbsp;</p> <p>一般の弁護士バッチは銀製です。金メッキがされているため,最初は金色ですが,しばらくするとそれが剥がれて銀色になります。ただし,希望すれば代金を支払って純金のバッチにすることもできます。代金は金の相場に応じて変動することになっており,現在は7万円強のようです。純金のバッチの弁護士はあまりいません。</p> <p>とすると,金色のバッチは比較的経験の浅い弁護士という印象を与えることもあります。そう思われるのを嫌い,バッチを小銭入れに入れるなどして,早く銀色になるようにする弁護士もいるようです。</p> <p>私の事務所に所属していた弁護士が、若い頃,依頼者の方から「弁護士さんには金の弁護士さんと銀の弁護士さんがいるんですか」という質問を受けたことがありました。「そうですね」と答えた彼は,その後私から厳しく説教をされました。バッチの色で弁護士の種類が違うわけではありません。銀のバッチ5つと金のバッチ1つが同じ価値というわけでもありません。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ④もちろん&times;</p> <p>&nbsp;</p> <p>メルカリでは買えませんし,他のネットでも買えません。実はなくすと結構大変なのです。始末書を書かなければなりませんし,「官報」という政府が発行する新聞のようなものに名が載ります。裏面には再交付であることを示す「再」の字が入ります。2度目の紛失の場合は「再2」のようになります。弁護士は、バッチをなくさないよう,細心の注意を払っているのです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>親しい弁護士がいれば,頼めば外して見せてくれるでしょう。でも,くれぐれもなくさないようにして下さい。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2505#comments Wed, 22 May 2019 04:00:07 +0000 021268 2505 at http://www.osakaben.or.jp/blog 弁護士は「異議あり!」と言うか http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2497 <p> 「証人尋問で『異議あり!』って言いますか」という質問を,特にお子さんから受けることがあります。アニメ「逆転裁判」の影響でしょう。「『異議あり!』という言い方はあまりしない」「『異議』という言い方は実は正確ではない」という話を,民事事件の場合について,なるべく易しくしてみます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>尋問の最中の「異議」には,2種類あります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>1つは,「質問できる範囲を超えている」という「異議」です。証人尋問は,原告・被告のどちらかが,「この人からこのポイントについて話を聞いてほしい」と申請して行われ,その申請をした側の弁護士がまずは「主尋問」を行います。ところが,「ポイント」からひどく外れる質問がされることがあります。また,主尋問の後に行われる相手方弁護士の「反対尋問」でも,主尋問での話と全く関係ないことが質問されることがあります。こういう場合に,「異議」を言うことができます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>もう1つは,不適切な質問に対する「異議」です。①証人を侮辱したり困らせたりする質問,②誘導尋問(「はい」だけで答えられる質問),③同じ質問の繰り返し,④ポイントと関係ない質問,⑤証人の意見を求める質問,⑥証人が経験しなかったことを尋ねる質問などは,原則として不適切な質問です。そのほか,誤った前提の下に尋ねる「誤導尋問」などもあります。弁護士は,異議を出したうえで,どういう理由で不適当かを簡潔に述べる必要があります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>多くの弁護士は,「異議があります」とか,短く「異議」と言うと思います。「異議あり!」と言うと,ちょっとだけ笑われるかもしれません。指を指して異議を述べることもないと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>また,法律のうえでの用語では,裁判官の判断に対して「おかしい」と言うことが「異議」です。相手方弁護士の質問に対して「おかしい」と言うのは,正確には「異議」ではなく,裁判官に「質問をやめさせて下さい」と求めるものです。ただ,あまりよい言葉もないため,「異議」という語が使われています(「抗議」と呼ぶべきと書いた本もありますが,定着していません)。</p> <p>&nbsp;</p> <p>若い頃,相手方の弁護士に,「異議!」と言われますと,とても動揺しました。それが狙いだったのでしょう。そういう狙いの異議には負けず,反論して,あるいは少しだけ聞き方を変えて,尋問を続けるのが良い弁護士です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>一方,相手方の弁護士の尋問がおかしければ,良いタイミングで異議を言う必要があります。ただ,連発も考え物です。例えば自分の側の証人や本人が反対尋問で追及されているときに,異議ばかり言いますと,裁判官は,「質問されたくない点なのかなあ」と思うかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ドラマやアニメの裁判も面白いでしょうが,実際の法廷も,少し予習をしたうえで見ると興味深いものです。皆さんも傍聴にお越しになりませんか。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2497#comments Thu, 27 Dec 2018 10:08:49 +0000 021268 2497 at http://www.osakaben.or.jp/blog 冤罪 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2419 <p> 東住吉放火殺人冤罪事件をご存じでしょうか。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 1995年7月22日,大阪市東住吉区の住宅から出火し,入浴中だった11才の女の子が亡くなりました。後の再現実験などで,ガレージ内の自動車から漏れたガソリンに風呂の種火が引火した可能性が高いことがわかっています。</p> <p>&nbsp;</p> <p> しかし,1カ月半後,女の子の母親・青木惠子さんとその内縁の夫が,放火・殺人・保険金詐欺の疑いで逮捕されました。ガレージは施錠され外からの侵入が不可能であったことや,女の子に1500万円の保険金がかけられていたことなどから,疑いがかけられたものです。逮捕直後の「ガソリンを撒いてライターで火を付けた」という内縁の夫の「自白」,そしてその共謀を認める青木さんの「自白」を根拠に2人は起訴されました。検察官が主張する犯行動機は不自然であったうえ(例えば保険は勧誘されて入った学資保険でした),この状況でガソリンに火を着けることはほぼ不可能であり,「自白」は客観的・科学的事実に反していたにも関わらず,大阪地裁で2人は無期懲役の判決を言い渡され,2006年,その判決が最高裁で確定しました。「自白」が「放火」を裏付けるほとんど唯一の証拠でした。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 2人の冤罪が晴れたのは昨年です。2009年の再審の申立てについて,大阪地裁が2012年に再審開始を決定しました。検察官は不服を申し立てたましたが,2015年になって(遅い!),大阪高裁も大阪地裁の判断を支持したうえで,2人を仮に釈放しました(大阪地裁も2012年の仮の釈放を決定していたのですが,大阪高裁はこれを覆し,結局3年もの間,身体拘束を引っ張り続けたことになります)。検察官はこれらを受け入れ,2016年に開始された再審では,有罪の主張をしませんでした。2016年8月10日,ようやく改めて無罪判決が言い渡され,それが確定しています。再現実験で放火が不可能とされたことが決定的な証拠だったといえるでしょう。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 青木さんが仮に釈放されてから2年あまり,無罪が確定してから1年あまりになります。社会に戻ってくることができたことは喜ばしいことですが,普通の生活に戻ることは容易ではありません。20年という時間は,あまりに長いものです。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 12月18日(月)午後10時から放送のNHKスペシャル「時間が止まった私 冤罪が奪った7352日」は,裁判の問題点だけではなく,これまであまり焦点が当てられることがなかった,冤罪から復帰した後の生活にも注目した番組です。私もほんのちょっとだけこの番組に協力していますが,本当にほんのちょっとだけのことであり,むしろ「見たい」番組として挙げさせていただいた次第です。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/2419#comments Fri, 15 Dec 2017 09:27:19 +0000 021268 2419 at http://www.osakaben.or.jp/blog