弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130 ja 漂着ゴミ問題について http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2549 <p>あけましておめでとうございます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>本日は、昨年ニュースなどで話題に上ることが多かった海ゴミ問題を取り上げます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■海ゴミの、海洋のマイクロプラスチックについては、オランダのボヤン・スラット(Boyan Slat)氏が開発した除去装置など、様々な取り組みが進められていますが、現在、技術的に非常にハードルの高い問題として、海岸に漂着したゴミ(漂着ゴミ)問題があります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■まず、漂着ゴミは、海洋に漂うゴミと異なり、ことばどおり沿岸部に漂着したものであり、物理的に、収集が非常に困難です。</p> <p>また、漂着ゴミには、海水や砂が付着するため、仮に回収できたとしても、これを焼却する場合に、処理施設に大きな負荷をかけてしまいます。</p> <p>そして、以上の技術的困難も伴い、漂着ゴミの回収には莫大なコストがかかります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■では、漂着ゴミは、法律上、どのような取り扱いとなっているのでしょうか。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実は、漂着ゴミの取り扱いを定めたマニアックな法律が存在します!</p> <p>&nbsp;</p> <p>その名も、</p> <p>&nbsp;</p> <p>「<span>美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」。</span></p> <p>&nbsp;</p> <p><span>長い(笑)</span></p> <p>&nbsp;</p> <p>長すぎるので、海岸漂着物処理推進法と略すことにしますが、その17条において、海岸漂着物の処理責任が定められています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>(処理の責任等)</p> <p><strong>第十七条 </strong>海岸管理者等は、その管理する海岸の土地において、その清潔が保たれるよう海岸漂着物等(漂流ごみ等を除く。以下この条及び次条において同じ。)の処理のため必要な措置を講じなければならない。</p> <p>&nbsp;</p> <p>、、、で、「海岸管理者等」は誰かというと、2条4項、海岸法と、引用が続き、基本的に、都道府県、となっています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そして、17条3項によって、市町村が、都道府県に協力することとなっています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■しかし、素朴な問題として、どこの誰が流出させたか分からないゴミの処理責任を、沿岸自治体に負わせてよいのか?という議論があります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実際、漂着ゴミの処理には、膨大な費用が発生するため、多くの自治体では、十分に処理が進まず、放置されている実情があります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■以上のとおり、海ゴミ問題、とくに漂着ゴミ問題は、技術的にも、経済的にも、未解決の問題として残されています。法律は存在しますが、十分に機能していません。</p> <p>個人的には、漂着ゴミの処理責任を沿岸自治体にだけ負担させることは、経済的にみても、適切ではないと考えていますが、いかがでしょうか。</p> <p>なお、各都道府県が海岸漂着物処理推進法に基づき策定している海岸漂着物対策推進地域計画が、インターネットで閲覧できますので、興味を持たれた方は是非ご覧ください。上記の問題点を、より具体的に、地域ごとに確認することができます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2549#comments 法律問題 Mon, 06 Jan 2020 08:14:42 +0000 046690 2549 at http://www.osakaben.or.jp/blog 事前復興と持続可能なまちづくり~南海トラフ地震を見据えて~ http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2539 <p>小職が所属する大阪弁護士会公害対策・環境保全委員会の委員らその他近畿弁護士会連合会内の委員らが、下記のシンポジウムを企画しています(主催:近畿弁護士会連合会)。</p> <p>ご興味、ご関心あられる方は是非ご参加ください。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>・・・・・・・・・・・・・・・・・</p> <p>第34回近畿弁護士会連合会連合会大会シンポジウム第1分科会</p> <p>「事前復興と持続可能なまちづくり~南海トラフ地震を見据えて~」</p> <p>&nbsp;</p> <p>日時・場所:2019年11月29日(金)午前9時30分~午後0時30分</p> <p>ホテル日航奈良4階「羽衣」(〒630-8122 奈良県奈良市三条本町8-1)</p> <p>参加費用:無料[資料代1,000円]</p> <p>&nbsp;</p> <p> 大災害に見舞われたとき、持続可能なまちを再建できるか。その成否は住民の意見の反映にかかっています。</p> <p> 南海トラフ地震の発生確率は今後30年間に70~80%とされ、地震と津波による甚大な被害が予想されています。近畿地方も例外ではなく、官民問わずあらゆる場でその対策が喫緊の課題となっています。災害から逃れられない以上、速やかな復旧・復興に力点が置かれることは必然です。</p> <p> ところが、実際には自然災害が起きてから復旧事業を急ぐあまり、自然環境への配慮を欠き、あるいは住民の意思を取り入れずに復興事業計画が立てられ、東北沿岸部で建設された防潮堤のように後に深刻な課題を残す例が繰り返されています。被害発生後の限られた時間の中で、長期的な環境配慮や住民の意見反映を尽くした計画を立案することは困難です。</p> <p> そこで、災害が起きる前から、持続可能なまちづくりや地域社会のあるべき姿を素描し、それを実行することで災害に備える取り組み、いわゆる「事前復興」の中に住民の意見を反映するカギがあると考えます。</p> <p>本シンポジウムでは、事前復興の実践を探り、南海トラフ地震等に備える制度提言をしたいと考えています。ぜひご参加ください。</p> <p>&nbsp;</p> <p>基調報告 呉 明浩 (大阪弁護士会 弁護士)</p> <p>基調講演 牧 紀男 氏(京都大学防災研究所 教授)</p> <p>パネルディスカッション</p> <p>パネリスト </p> <p>牧 紀男 氏(京都大学防災研究所 教授)</p> <p>大星 好史 氏(和歌山県美浜町役場防災企画課課長)、</p> <p>田中 保三 氏(認定NPO法人まち・コミュニケーション理事、元御蔵通5・6・7丁目町づくり協議会 会長)</p> <p>津久井 進 氏(兵庫県弁護士会 弁護士)</p> <p>コーディネーター</p> <p>白倉典武(大阪弁護士会 弁護士)</p> <p>&nbsp;</p> <p>本イベントに関するお問合せ先</p> <p>大阪弁護士会 委員会部人権課(TEL 06-6364-1227 FAX 06-6364-7477)</p> <p>&nbsp;</p> <p>【大阪弁護士会ホームページ】</p> <p><a href="http://www.osakaben.or.jp/event/2019/2019_1129.php" title="http://www.osakaben.or.jp/event/2019/2019_1129.php">http://www.osakaben.or.jp/event/2019/2019_1129.php</a></p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2539#comments Mon, 07 Oct 2019 20:51:13 +0000 046690 2539 at http://www.osakaben.or.jp/blog 倒木被害と工作物責任について http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2485 <p>先日の台風21号、24号により被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■ 大阪では、特に21号の際に各地で倒木被害が発生し、高槻市北部の樫田地区(山間部)では100ヘクタール以上、1万数千本以上の被害が発生しているとの報道にも接しました。その他、未だに被害の全容が明らかではない地域があるようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>今回の倒木被害は、もちろん、台風の勢力それ自体が大きかったということが一因かと思われますが、今後、樹木自体の状態が影響して、台風時、大雨時などに、大規模な倒木被害が発生する可能性があります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>というのも、、、</p> <p>&nbsp;</p> <p>■ ご存知の方も多いかと思いますが、第二次世界大戦中の必要物資や戦後の復興資材を確保するために大量の木材が必要とされたことから、かつて我が国では大規模な森林伐採が行われ、これにより国土の多くの部分がはげ山になっていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>戦後は、その緑化のために、伐採跡地への植林が進められ、昭和20年代半ば(1950年代)から昭和40年代半ば(1970年代)にかけては、毎年30万ha以上の植林が行われ、ピーク時には、年間40万haを超える植林が実施されました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>特に、昭和30年代(1950年代半ば)以降には、石油、ガスへの燃料転換により薪炭需要が低下するとともに、高度経済成長の下で建築用材の需要が増大する中、薪炭林等の天然林を人工林に転換する「拡大造林」が進められました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>問題となるのは、この「拡大造林」のときに大量に植樹された、スギ、ヒノキといった針葉樹です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>もともと、これらの針葉樹は、建築用途に適し経済的価値が見込めるだろうということで、植樹されたようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>しかしながら、ご存知のとおり、国産のスギなどは、殆ど建築用途に使われていません。国内の建築用途の木材の殆どは、外国からの輸入材になっています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その結果、伐採適齢期をゆうに超えているにもかかわらず、放置された人工林が日本中に発生してしまいました(以上、拡大造林の歴史については、林野庁、平成22年度「森林・林業白書」等を参照。)。</p> <p>&nbsp;</p> <p>昨今の災害時の大規模な倒木被害は、この、拡大造林政策時に植樹された人工林で発生しているケースがあるようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>スギやヒノキは、根を深く張らない針葉樹であるうえ、人工林は挿し木から育てるため、根が浅く、密度も低いのです。さらに拡大造林時には相当に密集させて植樹をしたことで、より一層根が広がりにくくなっています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その結果、大規模な水害を受けると、一斉に倒木してしまうという機序があるようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>■ これを法律問題として見ると、将来的に、間伐などをせずに人工林を放置していた場合、工作物責任の問題が生じる恐れがあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実際、樹木の管理を怠ったことを理由として、樹木の所有者に工作物責任に基づく損害賠償義務を認めた裁判例は過去に多数存在します(直近で報道などされて有名になったものとして、2013年10月、台風26号の際の日光杉並木の倒木に関する民事裁判があります。)。</p> <p>&nbsp;</p> <p>拡大造林は、もともと国策で行われたものであり、その後始末を、誰の費用負担で、どのように行うかは、難しい問題ではありますが、この問題をこのまま放置すると、いざ損害が発生した場合に、先鋭な紛争が発生してしまうかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>(本記事の内容は、執筆者の個人的な見解に基づくものです)</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2485#comments 法律問題 Tue, 02 Oct 2018 04:56:56 +0000 046690 2485 at http://www.osakaben.or.jp/blog 証人尋問と当事者尋問 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2428 <p>訴訟事件の中で、弁護士がかなりエネルギーを使うのが、証人尋問(当事者尋問)です。当たり前ですが、普通に生活をしている人が、法廷で証言する(させられる)ことはまずありませんので、最初は、皆さん、かなり戸惑います(何を隠そう弁護士である私も、新人のころは随分緊張しました)</p> <p>&nbsp;</p> <p>今日はその中でも、よく依頼者から質問されることへの回答と、個人的な所感を少々、、、</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>■あるある質問① 「証人尋問で嘘をついたらどうなるんですか?!」</p> <p> 冒頭から微妙に言葉を使い分けていますが、実は、法廷の尋問は、「証人尋問」と、「当事者尋問」に分かれます。証人尋問は、訴訟当事者(原告、被告)以外の第三者の尋問、当事者尋問は、言葉通り、訴訟当事者の尋問です。ちなみに、法人が訴訟当事者になっている場合、その代表者は当事者として扱われます。</p> <p>&nbsp;</p> <p> なぜ、最初にこの違いに触れたかというと、当事者尋問と証人尋問は、法律上は、結構取り扱いが違うからです。</p> <p>&nbsp;</p> <p> まず、偽証をした場合、証人は、偽証罪に問われます。法定刑は3月以上10年以下の懲役で、罰金はなく、なかなかに重い罪です。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ところが、当事者が偽証をしても、偽証罪は適用されません。何が適用されるかというと「10万円以下の過料(かりょう。あやまちりょうともいう。)」です。聞きなれない言葉かと思いますが、過料とは、法律上は行政罰と呼ばれるもので、刑罰(犯罪)ではありません。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 普通の感覚だと、ウソつきは等しくウソつきなのに、なんでこんなに取り扱いが違うんだ?と思うでしょう。偽証の取り扱いがここまで異なる法律上の理由は、民事訴訟法の教科書に譲るとして、私も、一個人としては、おかしいなあと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ちなみに、当事者が虚偽の陳述をした後で、訴訟が終結する前に、虚偽の陳述をしたことを認めたときは、裁判所は、事情により、過料の決定を取り消すことができる、とされています(適用された事例を知りませんが、、、)。</p> <p> なんだか、優しいなあ、と思いますね。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>■あるある質問② 「証人or当事者が出頭しなかったらどうなるんですか?!」</p> <p> これも、当事者と、証人とで、結構違います。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 当事者が出頭しなかった場合や、宣誓、陳述を拒んだ場合は、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができます(民事訴訟法208条)。刑事事件でよく耳にする「黙秘権」は、民事訴訟では通用しないということですね。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 証人の場合は、いろいろと規定あります。まず、正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の過料or罰金、拘引に処される場合があります(民事訴訟法192条1項、193条)。</p> <p> さらに、正当な理由なく出頭しない証人は、勾引(強制的に裁判所に連れてくること。)されます。警察が、証人の身柄を拘束して、裁判所に連れてくるわけです。なかなか怖いですね。</p> <p>&nbsp;</p> <p> そんなわけで、当事者尋問と証人尋問は結構違います。裁判所も、この点明確にするため、尋問の冒頭で、証人についての取り扱いと、当事者についての取り扱いが違う旨、実は明確に述べていますので、注意して聞いてみてください。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>■ 尋問についてはまだまだ、あるある質問のネタがありますが、今日はこの辺で、、、</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2428#comments 法律問題 Tue, 30 Jan 2018 10:29:20 +0000 046690 2428 at http://www.osakaben.or.jp/blog 事前復興計画 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2371 <p>皆様は「事前復興計画」という言葉をご存知ですか。</p> <p>&nbsp;</p> <p>法律上の用語ではありませんが、これは、大規模な震災の発生を想定して、万が一震災が発生した後に、どのような形で被災地を復興するかを、事前に自治体や住民が話し合って青写真を決めておこう、というものです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>特に昨今、関西では、南海トラフ地震を想定して、事前復興計画に取り組んでいる自治体があります。特に和歌山県は、県をあげて、県内の沿岸19市町村と連携して、事前復興計画の策定に乗り出しているとのことです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>事前復興計画の必要性は、東日本大震災において、如実に明らかになりました。被災した沿岸部に、まったく海を見ることができない、巨大な防潮堤が、住民の意見を殆ど反映しないまま、次々と出来上がってしまったのです。私も現地に視察に行きましたが、本当に住民の方がこのような防潮堤を望んだのだろうか?ということについては疑問無しとしませんでした。震災時に働く行政の力学、殊に予算取りを鑑みると、致し方ない面もあるのかもしれませんし、現場で働く公務員の皆さんは勿論必死で復興に当たっておられることと思います。しかし、上記の防潮堤問題を考えると、やはり、冷静なときに、復興の姿を思い描いておくことは必要だと考えます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような問題意識も持ちながら、来る2017年7月29日(土)に、事前復興計画を主たるテーマとして、和歌山市内で、近畿弁護士連合会公害対策・環境保全委員会の夏期研修会が開催される予定です(大阪弁護士会の公害対策・環境保全委員会自然保護部会も参加しております)。未だ詳細は未定ですが、どなたでも参加できますので、ご興味のある方は是非ご連絡を頂ければと思います。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/130/entry/2371#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Wed, 07 Jun 2017 06:57:55 +0000 046690 2371 at http://www.osakaben.or.jp/blog