弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/168 ja メンタルヘルスと「忠臣蔵」 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/168/entry/2305 <p> 今年,某広告代理店で起きた出来事を上げるまでもなく,職場でのメンタルヘルスに対する関心が高まっている。一人の女性の悲痛な死が,会社を,社会の意識を少なからず変えたことは否定できまい。</p> <p> </p> <p> ストレスのせいで個人がその能力を発揮できないことは,本人にとって不幸なだけでなく,組織としての戦力喪失・機能低下につながるという意味でも深刻だ。従業員一人ひとりが過大なストレスを感じる就労環境が続けば,安定的な事業の継続はおぼつかない。下手をすれば組織の存続も危うい。</p> <p> </p> <p> それにしても,何で我が国はこんなにストレスを抱える社会になってしまったのだろう。<br />  心理の専門家によれば,人間関係によるストレスをいやすのは,受容と共感を基礎とした人間関係でしかないとのことだ。しかし私たちは,ともすれば,そうした人間関係が希薄な社会に生きている。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 高度情報化社会になって,思考や感情を表現したり伝えたりするツールがどんどん発展し,便利になっていった。就寝前につぶやいた,たった一言が瞬く間に全国全世界に知れ渡る時代だ。その一方で,プライバシーや情報機密の必要性が強調され,「伝えることと伝えないこと」に,より一層深い注意を向けざるを得なくなった。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 道具の進化に伴って,私たちの「『素の人間』としての伝える力」「道具を使いこなす力」も発達しなければならないはずだが,「伝えること」が容易になって,安易に「伝えること」ができるようになった分,その力は逆に退化してきているのではなかろうか。いつでもどこでも「伝えること」ができる社会の中で,伝えるタイミング,場面,伝える言葉の使い方,感情表現の仕方について,私たちは知らず知らずのうちに「へたくそ」になってきてはいまいか。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 私たちのコミュニケーション能力が低下したことが原因で,精神的ストレスが増大しているのだとすれば,現代社会の病弊の原因もなんとなく見えてくるような気がする。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ところで,師走の14日と言えば「忠臣蔵」だが,浅野内匠頭が殿中で刃傷に及んだ原因については諸説あり,抑うつ状態による発作的な暴行だったのではないかという指摘もある。もともと不安定だった浅野の精神状態に,吉良との意思疎通不全が負荷となり,発作的行動を引き起こしたのだとすれば,その行動が結局赤穂藩300人の家臣の人生を激変させたことを考えると,改めてメンタルヘルスの重要性を思わざるを得ない。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/168/entry/2305#comments あれこれ Wed, 14 Dec 2016 00:18:28 +0000 031689 2305 at http://www.osakaben.or.jp/blog クールビズ http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/168/entry/2255 <p> 裁判官が法廷で着ている真っ黒な「法服」。絹でできているが,通気性がよくないので夏は暑い。書記官のそれはポリエステルでできていて,余計に重く,暑い。私が司法修習生だった13年前に書記官の方から聞いた話だ。</p> <p>&nbsp;</p> <p> そのころは夏に軽装で仕事をするという概念があまりなく,みんな暑いのを我慢してネクタイを締め,上着を着ていたのだが,ただでさえ風通しの悪い裁判所,ある日法廷に行ったら,あまりの暑さに書記官が,「こち亀」の両津勘吉よろしく法服ごと腕まくりして席に座っていた。法廷の権威も日本の猛暑の前には形無しである。</p> <p>&nbsp;</p> <p> みんなが限界を感じていたのだろう。当時環境大臣だった小池百合子氏が「クールビズ」を打ち出したのは2005年。昭和の「省エネルック」とは打って変わってすっかり定着し,もう10年以上が経つ。</p> <p>&nbsp;</p> <p> ひょっとすると小池さんは,夏がお得意なのかもしれない。10年たって真夏の首都で戦う小池さんは,夏の日差しを追い風にしたようになんだか元気だった。私もそうだが,暑さが苦手な人間にとっては,夏を味方にする人がうらやましく感じられる。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 4年後の夏のホスト・ホステスを決める都知事選が,昨日投開票された。この原稿は昨日午後8時以前に出稿しているので,結果は知らない。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 越後の冬を熟知していた田中角栄は,真冬の選挙も難なくこなし,ライバル候補に水をあけたという。桶狭間の信長もしかり。いつの世も,季節や天候を味方につけた者は勝利に近いようだ。2016年の東京の夏を援軍にし,戦いを制したのは,果たして誰だろうか。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 4年後を見据えた8月が,今日から始まる。くしくも80年前の今日は,ナチスの宣伝に利用されたベルリンオリンピックが開幕した日でもある。戦争の惨禍と平和の尊さを胸深く刻み,4年後の夏を平和と友好の祭典として花開かせることを誓うひと月としたい。</p> <p>&nbsp;</p> <p> 新都知事は今月中旬にもリオに立ち,五輪旗を受け取って帰国する。これからの4年間,準備を加速する中で様々な問題も出てこよう。新たな東京のかじ取りが,ビジーな都政をクールな顔で軽やかに乗り切ってくれることを願ってやまない。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/168/entry/2255#comments あれこれ Mon, 01 Aug 2016 00:30:28 +0000 031689 2255 at http://www.osakaben.or.jp/blog