弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16 ja 「私(たち)のことは私(たち)が決める」 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/2217 <p>公職選挙法の改正により、選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられました。</p> <p>&nbsp;</p> <p><a href="http://www.soumu.go.jp/18senkyo/index.html">総務省の「18歳選挙」のサイト</a>には、「私たちの将来は、私たちが決める。」とのコピーが踊っています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この国では1人1人が優劣なく平等に主役ですから、国政選挙等のレベルでいえば「私たちのことは私たちで決める」ことになり、個人のレベルでいえば「私のことは私が決める」ことになります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>「私のことは私が決める」</p> <p>&nbsp;</p> <p>当たり前のことのようでいて、その実現は簡単ではありません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>なぜならば、自分一人のことではなく、相手方にも関わることである場合、Aさんにとっての「私のことは私が決める」とBさんにとっての「私のことは私が決める」は、衝突・対立することがままあり得るからです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>例えば、Aさんが交通事故の加害者でBさんがその被害者である場合、Aさんが「Bさんに対する賠償はこうあるべき」と考えるところとBさんが「Aさんからの賠償はかくあるべき」と考えるところは時に衝突・対立し得るはずです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>Aさんにとっての「私のことは私が決める」はAさんにとっての正義、Bさんにとっての「私のことは私が決める」はBさんにとっての正義と言い換えることができるかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>AさんとBさんそれぞれが考える正義の衝突・対立が発生してしまった場合、そのぶつかり合いは、どのように調整され、また、いかに実現されるべきでしょうか。</p> <p>&nbsp;</p> <p>まずもって考えられるのは、AさんとBさんとのお話し合いで妥結点を見い出すことです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ここに弁護士が代理人として関わるのであれば、弁護士は、個人間の決定・ルール作りという立法行為を通じて「私のことは私が決める」の実現に一役買うことになります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>一方、AさんとBさんとのお話し合いでは解決できなかった場合、最後は裁判所(司法権)の出番です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ただ、裁判所は、当事者から持ち込まれた具体的な事件、当事者の主張、当事者が提出する証拠を通じてしかその考える正義を示せませんから、AさんかBさんのどちらかが訴訟等を提起して、AさんBさんそれぞれが自分の考える正義について適切に主張・立証するのでなければ、裁判所は三権の一翼たる司法権を行使することができません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ここに弁護士が代理人として関わるのであれば、弁護士は、適切な訴訟行為により裁判所の権限行使に協力することを通じて「私のことは私が決める」の実現に一役買うことになります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とします。</p> <p>&nbsp;</p> <p>一つ一つの事件を見れば、とりわけ相手方側に就いた弁護士のやっていることなど相手方の片棒を担いだ下劣な行為にしか見えないかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>しかし、それでも弁護士はAさんの考える正義とBさんの考える正義との衝突・対立の現場で依頼者の正義の実現を目指し、訴訟外で協議がまとまらなければ裁判所を通じて依頼者の正義を実現することを目指しているのであって、結果、裁判所の考える正義が依頼者の考える正義と異なるものであったとしても裁判所の考える正義がこの世に生み出されるに必須の営みに関わっているのですから、やはりその活動の一つ一つが最終的には正義の実現に資する、つながっているものなのだと信じます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>弁護士は、個々人の間での決定・ルール作りという立法行為を通じて、また、適切な訴訟行為により裁判所の権限行使に協力することを通じて「私のことは私が決める」という1人1人の思いの実現に一役買っているのではないかと思います。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/2217#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Thu, 16 Jun 2016 10:08:58 +0000 036844 2217 at http://www.osakaben.or.jp/blog 名は体を表す http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/2065 <p>先日、線路のポイントにカメが挟まって作動しなくなるという事故について、JR西日本がカメの生態に詳しい専門家のアドバイスのもと、ポイントの前にU字溝を埋め込みそこにカメを逃がす対策を講じ、効果を上げているとのニュースがありました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>その記事中に出ていたカメの専門家のお名前が亀崎直樹さん。</p> <p>&nbsp;</p> <p>須磨海浜水族園の学術研究統括でいらっしゃるとのことでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>電車の遅延もなくなり、カメの事故死も減らせるとのこと。</p> <p>&nbsp;</p> <p>まさにカメの神様のような亀崎さんです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>根拠はないけれども妙に納得してしまうお名前といえば、もう1件。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>今年9月の台風による鬼怒川の堤防の決壊。</p> <p>&nbsp;</p> <p>決壊したところに仮の堤防を作る作業を担当された国土交通省の現地対策本部長のお名前が堤盛良さんとおっしゃいました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>大きな浸水被害をもたらした災害に関するニュースであるため、神妙に見入っていましたが、そのお名前に妙な納得と安心を感じました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p>名は体を表す。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そんな言葉もありますが、名前であれ、字であれ、その意味合いに興味ひかれることもあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私の名前の一字に関することで恐縮ですが、「優」という漢字。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私は子どものころからこの漢字が不思議でした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>優秀とか、優勝とか、優しいとか、優れているとか、良い意味ばかりなのに、見れば人偏に憂いと書く。</p> <p>&nbsp;</p> <p>原典は忘れてしまいましたが、これについて、かの太宰治は「人の憂い、さびしさ、つらさに敏感であることがすなわち優しさであり、優れているということなのではないか」というようなことを言ったと書かれたものに触れ、このときもまた妙に納得したものでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ちなみに、弁護士の「弁」の字の旧字体は「辯」。</p> <p>&nbsp;</p> <p>「言」が「辛」に挟まれています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>さて、これをどう読み解くか。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実際の成り立ちやいわれを離れたこじつけ、妄想であるにしても、思いは巡ります。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/2065#comments あれこれ Thu, 26 Nov 2015 03:23:51 +0000 036844 2065 at http://www.osakaben.or.jp/blog 裁判傍聴から思いがけず見たもの http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1945 <p>先月、ふと思い立って刑事裁判の傍聴に行ってきました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>不意に仕事にひと段落ついた昼下がり。</p> <p>&nbsp;</p> <p>たまたまその後に当事務所の弁護士が担当する国選事件の公判期日が控えていたので、まだ裁判を見たことがないという事務員さんを連れだって、傍聴に行ってみることにしたのです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>担当弁護士は、どういうわけか僕らが傍聴に行くことを嫌がり、どこの法廷か頑として口を割りませんでしたので、僕と事務員さんは、傍聴をあきらめた素振りをみせつつ、彼の後をこっそり追いかけ、裁判所1階の開廷表で法廷を確認して傍聴に向かうことになりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>法廷の前で再会した担当弁護士はどういうわけか苦悶の表情を浮かべていましたが、自分の事件と関係なく裁判所に来ることがこんなにも気楽なものかと浮かれてしまっている僕の前に、彼の抵抗など全く意味を持ちませんでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>彼は、この公判期日を迎えるまで、忙しい合間を縫って遠方の警察署まで何度も何度も赴き、被告人と接見しています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そこで築き上げた被告人との信頼関係をベースとして、被告人としっかり準備してその日の公判を迎えたことがわかる、確かな弁護人活動が展開されていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そして、その帰り道。</p> <p>&nbsp;</p> <p>初めて裁判を傍聴した事務員さんにあれこれ感想を聞きながら歩いていると、事務員さんからは「反省ってあんなものなんですかね」という感想も漏れました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>どうやら被告人質問の中で被告人が述べる反省の言葉がどうも真実味に乏しく薄っぺらく聞こえたようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>僕の目から見た被告人の言動は特段その反省振りに疑念を抱かせるものではなかったので、事務員さんのこの感想は予想外のものでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>不意を突かれた僕は、今日のような時間も限られた中ではどうしても形式ばった儀式の中のやり取りのひとつのようになってしまうけど、彼があの場で反省を口にするまでには、逮捕後の警察官や検察官とのやり取りや弁護人との接見でのやり取りなど、何度も自分のしたことをいろんな角度から振り返る機会があって、そのうえでの一つの現れとして今日の言葉があったんだと思うとか何とか伝えたと思いますが、確かに法廷での一言、一場面だけを切り取ってみれば、それまでの経緯や背景までは見えづらいものだと気づかされました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>刑事裁判に限らず、弁護士の日々の活動やそれに伴う苦労は本当に日の当たらないもので、往々にして依頼者にも見えづらいものだろうと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そういったものは敢えて見せる必要はないという意見もあると思いますが、とかく一般人の目や顧客満足度という尺度が幅を利かせる世の中で弁護士の活動の成果はどうすれば伝わるのか、広報、アピールはどうあるべきか、思いがけずそんなことまで考えさせられる機会となりました。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1945#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Tue, 19 May 2015 01:17:43 +0000 036844 1945 at http://www.osakaben.or.jp/blog 因縁の地、縁の地 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1882 <p>2月28日から3月2日まで、事務所の営業活動の一環で鹿児島市へ行っていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>鹿児島といえば薩摩藩。</p> <p>我が会津藩にとって、薩摩藩は、江戸の末期のいざこざ以来の因縁の相手です。</p> <p>僕自身、一生涯その地を踏むことはないだろうと思っていましたが、思わぬご縁から今回の鹿児島訪問となりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>当地の方のアテンドの素晴らしさのせいかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>短時間のうちに見て触れたものがよかっただけの偶然かもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>せめてもの抵抗に、ついそんな言い訳を並べたくもなりますが、何を隠そう、僕は、今回の訪問で一気に鹿児島のファンになって帰ってきました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>鹿児島人の歩くスピードの遅さには驚きましたが、これも豊かな地ならではの余裕がなせる業なのでしょう。</p> <p>わずかな滞在時間であったにもかかわらず、鹿児島の人の好さ、その集積であろう街全体の温かみを感じました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p>おとうさん おかあさん へ</p> <p>お子様は散らかすことの名人です。</p> <p>私達も小さい頃はそうでした。</p> <p>テーブルの上や床の周りの汚れなど一切お気になさらないでください。</p> <p>私共店員が全て片付けます。</p> <p>当店にいらした時ぐらいゆっくり召し上がってください。</p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p>&nbsp;</p> <p>たまたま立ち寄った地元の焼肉屋さんにそんな掲示がありました。</p> <p>ご一緒した方と「子どもが小さいとなかなか焼肉にも行けませんね」などと話していた傍にこの掲示です。</p> <p>これを見るに先立って鹿児島人の優しさを感じていただけに、妙に納得のものでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>もう一方の因縁の相手である長州に対する思いはもともと薩摩とは比べ物になりませんが、さて、人生のどこかで長州と交錯するとき、僕は何を思うでしょうか。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1882#comments 旅行・出張 Wed, 04 Mar 2015 08:57:19 +0000 036844 1882 at http://www.osakaben.or.jp/blog テーブルの向こう側 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1853 <p>昨秋、2人目の子どもを授かりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>家族と事務所と、より多くのものを背負うプレッシャーは一入ですが、詰まるところそれが自分を強く突き動かしてくれているように感じます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>さてさて、現実は厳しく、通帳を見ても財布を見ても不景気なことこの上なく、受け取るものといえば請求書、増えるものといえば加除式図書くらいしかありませんが、家族が増えたり、上の子の進学なども近づけば、これも妖怪の仕業なのか、どうしても引っ越しや新居の購入などの夢にもとりつかれます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そんなこんながありまして、先日、新築マンションのモデルルームというものを思いつきでいくつか見て回りました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>複数のモデルルームを訪問されたご経験のある方はおわかりでしょうが、どこであってもおよそ同じような流れでことが進みます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>弁護士という職業柄、普段、どうしても&ldquo;お話を伺う側&rdquo;&ldquo;相談を受ける側&rdquo;に回ることが多くなりますが、これが、なかなかどうして、テーブルの向こう側に回って&ldquo;話を聞かれる側&rdquo;&ldquo;相談する側&rdquo;に来てみると、相談者の心理や目線にはたと気づき、思いがけず反省や勉強の機会となりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>相談者にしてみれば、モデルルームの外観や受付の応対、ブースの設えからもせっせと情報収集しています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>法律事務所だって外観・内装やスタッフの接遇にも気を抜けません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>また、そこで初めて顔を見る担当者の入り方、振る舞い、口上、緩急のつけ方、クロージング、別れ際。</p> <p>&nbsp;</p> <p>それは向こうさんもお商売ですので当たり前なのですが、そのどれもがわざとらしく意図的に見えてしまっていけません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>また、そんな余計なセンサーが働くせいか、どこまで話すべきか、心を開くべきか逡巡し、担当者やその場の状況を値踏みしてしまう良くない一面も&hellip;</p> <p>&nbsp;</p> <p>ついつい普段の自分の仕事振りを担当者に投影して、振り返りの機会としてしまいます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>もちろんどの方も誠心誠意ご説明くださいましたので、いずれも満足な時間を過ごさせていただきましたが、短期間に複数の方とお会いしたためか、それぞれ共通点と相違点がより鮮明になりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>気づいたことを分析する間もなく今日を迎えてしまいましたので、ただの言いっ放しになってしまいましたが、今回のモデルルームでの経験はきっと僕の普段の相談業務にも変化をもたらすはずです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>相談業務は、その根本に専門知識はもちろん人間愛や温かさに根差した誠意が必要なのは当然ですが、相談を受ける側にその場の雰囲気作りやお話を聞くに際しての一定のスキルも必要になりますし、反対に、相談する側にも相談するについての適当な向き合い方というのがあるのかなぁと、それが両方マッチして初めて充実した意味のある打ち合わせになるのではないかと思いました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>各モデルルームの皆様、コーヒーをいただきながらいろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>新居については&hellip;、またそのうち考える時が来るでしょう。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/16/entry/1853#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Thu, 22 Jan 2015 01:15:57 +0000 036844 1853 at http://www.osakaben.or.jp/blog