弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9 ja 覚醒剤事件のあれこれ http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/2203 <p>昨日、覚醒剤自己使用罪などに問われている著名な元プロ野球選手の被告に、懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>覚醒剤自己使用罪は、起訴される犯罪の中では数が多く、比較的単純な事案が多いため、多くの弁護士が若いうちに弁護を経験しますし、それぞれに、さまざまなノウハウや思い出を持っています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私も、司法修習生時代に、外国人男性の公判廷を傍聴したことがあります。この男性は所持していたパスポートの氏名で起訴されたのですが、覚醒剤の影響からやせ細っていて、パスポートの写真とは似ても似つかない風貌でした。法律家の卵としては、「もしパスポートの本人と違っていたら、判決の効力はどうなるのだろう?」と心配だったのですが、逮捕されて覚醒剤断ちしたことや、拘置所の食事がよかったのでしょう。公判を重ねるにつれ、みるみる太っていき、判決言い渡しのころには、写真そっくりになっていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>覚醒剤の常習者は、痩せるだけでなく、幻視や幻覚を体験するようになります。おびえて自首する人もいますが、そうでなくても、挙動不審で職務質問を受け、任意同行から逮捕に至る人が多数です。任意同行された警察署では、尿の提出を求められ、応じない場合には、強制採尿すると言われます。強制採尿は、下半身を裸にされ、押さえつけられて尿道から膀胱に管を差し込まれるという屈辱的な手続です。</p> <p>尿から覚醒剤の成分が検出されれば逮捕です。もっとも、採尿手続の不備によって、本人の尿と特定できず、無罪になる例もあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>有罪確実な場合、弁護人としては、保釈と執行猶予判決を取ることに全力を注ぎます。初犯で罪を認め、身元引受先がある場合には、保釈が認められる可能性は高いといえますが、保釈保証金として、一般に150万円から300万円が必要です。逃亡など、保釈条件に違反しなければ戻ってくるお金ですが、それでも、工面するのは大変です。全国弁護士協同組合が保釈保証書発行事業を行っていますので、こちらに依頼することも一案です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>覚醒剤自己使用罪では、初犯で罪を認めている場合、執行猶予のつく可能性は高いといえます。それでも、使用量が多かったり、使用年数が長く、他人と一緒に使用したりするなど、犯情が悪質な場合には、実刑になる可能性も否定できません。今回の事件では、弁護人が「保護観察つき執行猶予判決」を求めた、と報じられていますが、弁護人から「保護観察」を求めるというのは、比較的珍しいといえます。もし、実刑判決が予想されるのであれば、弁護人は判決言渡日に、控訴状と再保釈申請書を用意して出頭します。用意せず、判決をもらってから慌てる弁護人は、かなりウデが悪いとみてよいでしょうね。</p> <p>&nbsp;</p> <p>実刑が言い渡されると、保釈の効力は直ちに失効します。そのため、判決言い渡しと同時に、被告人の身柄が拘束されてしまいます。現実には、いかにも警察出身という体格のよい人が二人、法廷の傍聴席で待機していることが多いので、判決言い渡し前に「実刑だな」と予想がつきます。傍聴席に誰もいなければ、執行猶予の可能性大です。弁護人にとって、法廷に入るその瞬間が、一番緊張するときであったりします。</p> <p>&nbsp;</p> <p>執行猶予判決が言い渡された場合、保釈されている被告人は、そのまま法廷を出て帰れます。ただし、保護観察処分つき執行猶予判決の場合には、法廷から別室に案内され、保護観察の説明を受けることになります。このときは、案内役の裁判所職員が待機していることが多いのですが、多くの場合、体格が明らかに違うので、「実刑ではなく保護観察つき執行猶予」と分かります。覚醒剤事件の保護観察では、定期的な保護司との面接や、尿の提供、再犯防止のための教育の受講などを求められ、守らなければ、執行猶予を取り消されることもあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私も、覚醒剤事件の弁護を多く担当しました。被告人の中には、更生しましたと感謝のご挨拶に来られた方もいましたが、「きっとまた覚醒剤に手を出すだろうなあ」と思って別れた人も少なくありません。覚醒剤事案は再犯率が高く、更生のための社会のありかたが問われています。一度覚醒剤に手を染めたからといって疎外するのではなく、見守りながら受け入れる家庭や社会の必要性を痛感します。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/2203#comments Wed, 01 Jun 2016 00:52:27 +0000 022664 2203 at http://www.osakaben.or.jp/blog 11歳に「こじき」をさせた父親逮捕 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/1073 <p> 10月19日の<a href="http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111019-OYO1T00212.htm?from=main1">読売新聞</a>ほかによれば、大阪府警吹田署は、11歳の長男に物ごいさせたとして、33歳の父親を<a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO164.html">児童福祉法</a>34条1項2号「児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為」違反として逮捕した。児童は「お父さんから『財布を落としたと言えば、知らない人でもお金をくれる』と言われてやった」と話しているという。ちなみに、罰則は「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科」(60条)である。</p> <p> ひどい親もいるものだが、法律論としてはどうだろう。児童がなんと言ってお金を貰ったか、明らかでないが、「財布を落としたのでお金を下さい」と言ったと仮定すると、これは「こじき」なのだろうか。</p> <p> 法令上、「こじき」の定義規定はないようだ。広辞苑によると、食物や金銭を恵んで貰って生活する者とある。「右や左の旦那様&hellip;」というのが典型例であり、子どもにこれをやらせれば明白な児童福祉法違反だが、本件はこれに当たるだろうか。また、「児童を利用してこじきをする行為」というのは、大人が自分でこじきをする際、哀れみを買うため児童を隣に座らせるような行為や、「お父さんが病気で仕事できないからお金を恵んで下さい」と児童に言わせる行為ではなかろうか。もしそうだとするなら、本件は児童福祉法違反にはならないことになる。</p> <p> むしろ、「財布を落としたので」云々というのは、こじきというより、大人がやれば寸借詐欺だ。つまり本件は、子どもを利用した詐欺ではないだろうか。</p> <p> 14歳未満の子どもは、刑事未成年(<a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html">刑法</a>41条)とされ、罰せられない。しかし、刑事未成年者を道具として利用して犯罪を行った者は「間接正犯」として処罰される(学説上は異論もある)。本件は、刑事未成年者を道具として利用し、「財布を落とした」という虚偽の事実を告げさせて人を欺き金員を詐取したものとして、詐欺罪(刑法246条1項)に当たるとも考えられる。罰則は10年以下の懲役であり、児童福祉法違反34条1項2号違反より重い。</p> <p> ちなみに、10月4日に長野県で、10歳代の娘に売春をさせた母親が逮捕され7日に佐賀県で、中学生の娘に売春をさせた母親が逮捕された。9月には、小学校6年生から娘に売春をさせていた母親が北海道警に逮捕された。児童福祉法上、「児童に淫行をさせる行為」(34条1項6号)にあたる場合は10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれの併科になる(60条1項)。なお、他罪との競合の問題もあるが、ここでは触れない。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/1073#comments 法律問題 Wed, 19 Oct 2011 03:20:42 +0000 022664 1073 at http://www.osakaben.or.jp/blog 仙台七夕in大阪―復興の願いよ届け! 大阪弁護士会に仙台七夕祭りがやってきた―ご案内 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/956 <p> 大阪弁護士会広報室よりお知らせです。いつもこのブログを読んでくださり、ありがとうございます。</p> <p> 仙台七夕は、8月6,7,8日に仙台市繁華街を中心に行われます。きれいに飾り付けられた多数の吹き流しを見に、全国から毎年200万人もの観光客が訪れる「東北三大祭り」のひとつです。こんな感じです。</p> <p> &nbsp;</p> <p> <img alt="仙台七夕飾り" src="/blog/sites/default/files/u9/clip_image002.jpg" style="width: 246px; height: 165px" /></p> <p> &nbsp;</p> <p> <img alt="仙台七夕飾り" src="/blog/sites/default/files/u9/clip_image003.jpg" style="width: 248px; height: 165px" /></p> <p> &nbsp;</p> <p> 今年、大阪には、東北地方から避難され、ふるさとの夏祭りをご覧になれない方も多くいらっしゃると思います。そこで、大阪弁護士会では、仙台の鳴海屋紙商事様から七夕飾り16基を借り受けて大阪弁護士会館1階に飾り付け、7月25日から8月26日までの約1ヶ月間(日曜日を除く)、公開します。ミニコンサートや、ブロガーが出張先で買い集めた全国お土産のチャリティー販売等を行い、収益を被災地に寄付します。</p> <p> 東北ご出身の方はもちろん、大阪の方も、この機会に<a href="http://www.osakaben.or.jp/web/02_access/index.php#01">大阪弁護士会館</a>にお越しください!</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/956#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Mon, 25 Jul 2011 00:44:55 +0000 022664 956 at http://www.osakaben.or.jp/blog 小浜ひまわり基金法律事務所のブログが始まりました! http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/919 <p> 上原千可子弁護士は、もと大阪弁護士会に所属し、当ブログのメンバーでもあり、昨年度の大阪弁護士会ホームページのトップを飾っていた若手弁護士です。</p> <p> 小柄なのに、とてもガッツのある方で、弁護士登録後最初の1年を大阪パブリック法律事務所で修行され、本年5月より、福井県の小浜ひまわり基金法律事務所に配属されました。</p> <p> 小浜ひまわり基金法律事務所は、「平成17年、弁護士のいなかった地元の要請に応え、日本弁護士連合会と福井弁護士会の援助を受けて開設された若狭湾内唯一の法律事務所」だそうです。</p> <p> このたび、小浜ひまわり基金法律事務所のブログが始まりました。上原弁護士が中心に作成したと思われますが、うさぎの写真が飾られ、とても可愛らしいブログです。</p> <p> 小浜の方はもちろん、大阪の方も、ぜひアクセスしてみてください!</p> <p> &nbsp;</p> <p> <a href="http://ameblo.jp/obama-law">【小浜ひまわり基金法律事務所 ブログ】</a></p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/919#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Thu, 23 Jun 2011 02:06:52 +0000 022664 919 at http://www.osakaben.or.jp/blog 夫の浮気、妻の浮気 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/411 <p> <object height="344" width="425"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/kFpWjLXXXEU&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1" /><param name="allowFullScreen" value="true" /><param name="allowscriptaccess" value="always" /><embed allowfullscreen="true" allowscriptaccess="always" height="344" src="http://www.youtube.com/v/kFpWjLXXXEU&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" width="425"></embed></object></p> <p> &nbsp;</p> <p> 夫の浮気は、ほぼ100%、妻に知られています。<br /> 一方、妻の浮気は、なかなか夫に気づかれません。</p> <p> <br /> この違いが、男女の性の違いによるのか、生活環境の違いによるのか、分かりませんが、弁護士としての経験則上は、明らかにこういえます。</p> <p> <br /> 夫側からみて、妻に手を挙げたこともなければ、浮気をしたこともなく、給料も全部渡していたのに、妻から突然三行半(みくだりはん)を突きつけられた、なぜか分からない、というケースがあります。実は自分の落ち度に気づいていないだけ、ということも多いのですが、弁護士としては、職務上、妻の浮気を疑います。とはいえ、多くの夫は、「妻の浮気など、考えたこともありません」と答えます。</p> <p> <br /> 夫が浮気したケースでは、多くの場合、妻は、動かぬ証拠を握っています。これに対して、妻が浮気したケースでは、証拠がほとんどないので、裁判で証明することはとても困難です。しかし、可能性はゼロではありません。弁護士に相談すれば、妻の浮気を立証することが可能かもしれません。</p> <p> <br /> 私自身、夫の代理人として妻の浮気の証明に成功したことは数回あります。しかし、あらゆる証拠を突きつけられても、相手が浮気を認めたことは、ただの一度もありませんでした。こういう妻を相手にすると、つくづく、「女は強いなあ」と感心します。</p> <p> <br /> 離婚事件で浮気が立証されると、相当不利になります。詳しくは、トップの<a href="http://www.osakaben.or.jp/web/movie/index.php">動画</a>をご覧ください。「夫編」となってはいますが、妻であっても、身に覚えのある方は、是非ご覧ください。もちろん、配偶者に浮気をされた方も、必見です。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/9/entry/411#comments 法律問題 大阪弁護士会、弁護士のこと Tue, 20 Jul 2010 15:00:01 +0000 022664 411 at http://www.osakaben.or.jp/blog