弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/all/201503 ja 「休眠預金」の活用について http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1911 <p>休眠預金という言葉をご存知でしょうか?</p> <p>&nbsp;</p> <p>これは、金融機関に預金として預け入れたまま、長期間その口座へ預金者側から入出金などの取引が行われなくなり、金融機関から預金者への連絡も取れなくなった状態の預金口座のことをいいます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような「休眠預金」は、そのままでは銀行などの金融機関の利益になってしまいます。それでいいのか? むしろ、そのようなお金は、社会のために活用できないのか。このような疑問を、病児保育事業を通じて子供の貧困対策に取り組むNPO法人が提起し、他のNPOの関係者間で長く議論を重ねてきました。その発想の基礎には、2009年に韓国で行われたNPOのシンポジウムにおいて、韓国で「休眠口座基金」というものがあり、それを福祉支援目的で活用されているという報告にありました。その後、政府もその提案には興味を示し、東日本大震災の復興支援に使うための検討も含め話が広がってきています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>対象となる預金は、毎年500億以上と想定されていて、まさに眠る黄金預金です。これを公益的な活動をしているNPO法人などを通じて、貧困層支援、福祉事業、大規模災害復旧支援や、新産業育成などの幅広い分野に回して社会のために使おうというものです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>日本の銀行預金は、商法の消滅時効が適用され、5年間権利行使がなかった場合には時効消滅します(信用金庫の預金は民法の規定が適用され10年です。)。ただ、実務では、銀行側は慣例として時効後の預金も払い戻しに応じています。いつから休眠口座とするかについては、金融機関によって扱いが異なっていますが、各公式サイト上で明示していないところが大半です。何分、もともとは預金者の財産ですから、そのための法整備や払い戻し要求への迅速な対応など、高いハードルがありました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このような中、つい先日に日経新聞が報じていましたが、超党派の議員連盟によって、この「休眠預金」を公的な使い道に回せるようにするための法案の骨格がまとまり、今国会への提出をめざすところまできました。金融機関の休眠預金を預金保険機構に移し、国が指定する活用団体を通じて新産業の育成や福祉事業を手がけるNPO法人などに助成したり貸し付けたりするのが柱のようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>海外では先行事例があります。アイルランドでは、2003年に「休眠預金基金」を設立し、貧困対策や障害者の支援などに活用しているとのことです。生命保険に関しても同様に対処されているようです。 イギリスでは、2012年に新たに創設された「ビッグソサエティキャピタル」基金というのがあり、銀行で15年以上使われていない「休眠口座」のお金を活用して、社会的企業の支援に乗り出し、日本円でおよそ500億円以上が確保される見通しとのことです。その基金は、政府から独立した機関で運用され、一般より低い金利で社会的企業を支援する団体に融資するなどし、それによって公共的な活動が活発になることが期待されています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この休眠預金活用案について、「国が国民のお金に手をつけるのはおかしい」といった批判があります。しかし、この案は、休眠預金を没収するものではなく、休眠預金になっても、預金者からの返還請求があればいつでも返すことを前提にしており、そういった預金者の権利を保護しながら、永久に活用されないまま銀行の資金になっていってしまう資金を、社会貢献のために有効に活用しようという話です。決して悪い話ではなく、有効な社会資源として活用が図られるべきだと思っています。新しい発想で行う民間活力を用いた社会的課題解決への新機軸として、弁護士会などもこれに注目して、有効に機能するように育てていきたいものです。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/102/entry/1911#comments Tue, 31 Mar 2015 03:00:12 +0000 018830 1911 at http://www.osakaben.or.jp/blog 労働時間規制を大幅に緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/60/entry/1909 <p>3月27日、労働時間規制を大幅に緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明を発表しました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>【労働時間規制を大幅に緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明】</p> <p>&nbsp;</p> <p> 現在、政府は、「労働基準法等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)を閣議決定し、第189回国会に提出しようとしている。</p> <p> 本法案は、高度専門的知識を要する業務に従事し、年収が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る等の要件を満たす労働者について、労働時間規制の適用を除外する「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」を創設することや、企画業務型裁量労働制を拡大する等、労働時間規制を大きく緩和するものとなっている。</p> <p> 現行の労働基準法では、1日8時間1週40時間の法定労働時間規制(同法32条)、6時間超で45分・8時間超で60分の休憩付与義務(同法34条)、4週4日以上の休日付与義務(同法35条)、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金支払義務(同法37条)といった労働時間規制が定められている。</p> <p> ところが、本法案が創設しようとする特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)は、その対象労働者について、これら労働時間規制をいずれも一切適用しないものとするものである。すなわち、対象となる労働者が休日・休憩を取らずにどれだけ時間外・深夜・休日労働をしたとしても、使用者は割増賃金の支払いを免れ、その結果、 長時間労働に歯止めをかけることができなくなるおそれがある。</p> <p> また、本法案では、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし労働時間によって行うことを認める裁量労働制のうち、企画業務型裁量労働制の対象業務の範囲を拡大することや、制度導入のための手続の簡素化が予定されている。しかし、現状においても、みなし労働時間と実労働時間が大きく乖離し、裁量労働制下の労働者に長時間労働の傾向が見られるところ、対象範囲の拡大や手続の簡素化は、長時間労働にさらに拍車をかけることになる。</p> <p> 長時間労働は労働者の健康に悪影響を及ぼす。我が国では、長時間労働を原因とする過労死・過労自殺が深刻な社会問題となっている。労働者の生命と健康を保持するためにも、労働者の家族的・社会的・文化的な生活(ワーク・ライフ・バランス)を確保するためにも、さらには、ワークシェアリングによる雇用創出のためにも、長時間労働を抑制することは喫緊の課題である。</p> <p> しかし、長時間労働を抑制する実効的な規制を欠いたまま、労働時間規制を大幅に緩和する本法案は、更なる長時間労働を助長しかねない危険性を有する。</p> <p> よって、当会は、労働時間規制を大幅に緩和する本法案に反対する。</p> <p>&nbsp;</p> <p>                                              2015年(平成27年)3月27日 </p> <p>                                                  大阪弁護士会</p> <p>                                                    会長 石 田 法 子</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/60/entry/1909#comments Fri, 27 Mar 2015 08:43:50 +0000 027409 1909 at http://www.osakaben.or.jp/blog 夢を叶えること/今を生きること http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/98/entry/1908 <p>ある会合での席のこと。</p> <p>「あなたが子どもの頃、憧れていた夢の職業は何ですか?」と聞かれた方が、「弁護士になりたかったです。今は全く違う職業ですが。」と答えられている場面に遭遇しました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>申し訳ございません、私、今は弁護士をしておりますが、思春期・青春期に弁護士になりたいとは露とも思っておりませんでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>思春期・青春期の頃、ひっそりと私が温めていた夢がありました。</p> <p>それは、「物書き」になることです。</p> <p>小説家、脚本家などなど。</p> <p>クリエイティブな文才がないにも関わらず、憧れておりました。</p> <p>あまりにも無謀なので、誰にも言わず、ひっそりと、ノートに作品を書いては、懸賞に出し、落選をする。そんな繰り返しをしておりました。</p> <p>たった一度ですが、佳作を頂戴して有頂天になったりもしておりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そして、「リーガルハイ」法律監修の際には、クリエイティブな世界との間接的な関わりを通して、昔の夢を思い出したりもしておりました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>で、そんな私の周りに「本物の」「物書き」が現れました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>まずは、万城目学さん。中学校・高校時の同級生ですが、「鴨川ホルモー」「プリンセストヨトミ」などの著書で、一躍、今や売れっ子小説家になられております。ただただ驚嘆するばかりです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そして、最近、またもや現れました。</p> <p>顧問先の会社の部長さんが小説をお書きになられて、なんと、出版までされました。</p> <p>近藤五郎さんです。時代小説をお書きになられました。</p> <p>「なにわ万華鏡-堂島商人控え書」(富士見新時代小説文庫)</p> <p><a href="http://www.kadokawa.co.jp/product/321411000025/">http://www.kadokawa.co.jp/product/321411000025/</a></p> <p>幕末の動乱期の大坂を舞台に、大鳥圭介、福沢諭吉などの歴史上の人物も登場させながら、大坂商人の矜持を描いている小説です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>内容もとても惹きつけられるものとなっており、仕事をしながら、ここまで書かれたことに本当に感嘆するばかりです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>さて、思春期・青春期に憧れていた職業ではありませんが(クライアントの皆さん、先ほどの会合でお答えになられた方、ごめんなさい)、夢を叶えられている方々との交流の中で、私は、そんな方々に恥ずかしくないよう、弁護士として、しっかりと精進せねばならないなと思う日々です。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/98/entry/1908#comments 本・映画・テレビ Thu, 26 Mar 2015 15:00:00 +0000 041618 1908 at http://www.osakaben.or.jp/blog なおす http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/1902 <p>たぶん小学校4年生くらいのころ,毎月楽しみにしていた学研の「学習」に,こんな話が載っていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>娘「おかあちゃん,しょう油がないで」</p> <p>母「そうか,隣の田中さんところ行ってかってきて」 </p> <p>  </p> <p>田中さんのところで</p> <p>    </p> <p>娘「田中のおばちゃん,おしょう油ください。いくらですか?」</p> <p>田中「うちはお店じゃないからおしょう油は売ってないよ。でも,貸してあげるから,テーブルの上にあるのを持って行き。」</p> <p>&nbsp;</p> <p>方言についての話です。ポイントは,お母さんが言った「かってきて」というのが,関西弁では「借りてきて」という意味であるという点です。ちなみに,「買ってきて」は,「こうてきて」ということになります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>関西以外で生まれた私は,へえそうか,と思いました。「買って」を「こうて」というのは知っていましたが,「借りて」を「かって」というのは,このときに初めて知りました。しかし,大学生になって関西に住み始めても,この意味の「かって」を耳にすることはなかなかありませんでした。</p> <p>&nbsp;</p> <p>弁護士になってしばらくして,依頼者の方が,「マンションをかって」言い,「『購入する』ということですか」と聞き返して,「ちゃいます。賃借ですわ」と言われたのが最初で,最後かもしれません。正確にはわかりませんが,この「かって」という語を使うのは,大阪市内の一部が主であり,しかもかなり年配の人に限られるようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>むしろ要注意なのは,「なおす」です。「そのカメラ,なおしといて」と言われて修理に出したという笑い話がありますが,関西,特に大阪では,「なおす」には,「しまっておく」の意味があります。カメラは壊れていたわけではなく,棚の中の所定の場所に戻しておいて,という意味だったわけです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>しばしばどちらともとれる状況で使われるうえ,関西人以外はこの方言を知らないこと,そして何よりも多くの関西人がこれを全く方言と思っていないため,結構やっかいです。</p> <p>10年以上前ですが,東京地方裁判所での尋問で,証人が,「〇〇をなおしました」と言いました。</p> <p>私はすぐに「しまいました」という意味とわかりましたが,裁判官や書記官,先方の代理人は,「修理して」と思ったでしょう。</p> <p>急ぎ,「いま『なおしました』とおっしゃったのは,関西弁で,「しまいました」という意味ですね」と聞き足しましたが,それをしなければ,できあがってきた調書には,「直しました」となっていたでしょう。</p> <p> </p> <p>沖縄や東北地方の一部では,ご年配の方の証言のために,通訳が入っていたと聞いたこともあります(裁判官や弁護士が話していることは証人の方にわかっていただけるのですが,逆に証人が話していることを裁判官などが皆目わからないらしいのです)。</p> <p>関西弁はメジャーですので聞き取れないことはないでしょうが,例えば「アホ!」といったニュアンスが伝わるかというと,難しいところがあるかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>法律自体がそうですが,特に裁判にとって,言葉がとても重要です。ちょっとしたことで全く違う意味となり,全く違う結論になることにもなりかねません。</p> <p>そこを適切に伝えるのも法律家の仕事だと思っています。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/106/entry/1902#comments Thu, 26 Mar 2015 00:00:29 +0000 021268 1902 at http://www.osakaben.or.jp/blog 4/18 シンポジウム「高齢者の貧困と孤立」 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/60/entry/1901 <p>大阪弁護士会広報室の小島です。</p> <p>&nbsp;</p> <p>4月18日(土)、大阪弁護士会館において、シンポジウム「高齢者の貧困と孤立」~ソーシャルワーカーと法律家のコラボ~が開催されます。</p> <p>&nbsp;</p> <p>子ども・若者・女性の貧困に比べ、高齢者の貧困はあまり議論されていません。</p> <p>確かに、資産や所得の多い方がいる一方で、わずかな年金で細々と暮らしている方、社会とのつながりの乏しい高齢者が膨大に存在します。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このシンポでは、現場の実態を踏まえ、高齢者の権利を守り、生活を支えるために何をすべきかを考えます。</p> <p>参加費は無料です。是非多数ご参加ください。</p> <p>&nbsp;</p> <p>日時:2015年 4月18日(土) 午後1時~午後4時</p> <p>場所:大阪弁護士会館</p> <p>主催:大阪弁護士会、大阪医療ソーシャルワーカー協会、大阪社会福祉士会、大阪精神保健福祉士協会</p> <p>&nbsp;</p> <p>詳しくは大阪弁護士会HPをご覧ください。</p> <p><a href="http://www.osakaben.or.jp/event/2015/2015_0418.php">http://www.osakaben.or.jp/event/2015/2015_0418.php</a></p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/60/entry/1901#comments Wed, 25 Mar 2015 00:43:22 +0000 027409 1901 at http://www.osakaben.or.jp/blog