弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/all/201907 ja 日本にも難民がいることを知っていますか? http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/215/entry/2525 <p>6月20日は、「世界難民の日」でした。国連の機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、「世界難民の日」は、もともと「OAU(アフリカ統一機構)難民条約の発効を記念する「アフリカ難民の日」(Africa Refugee Day)でした。難民の保護と援助に対する世界的な関心を高め、UNHCRをはじめとする国連機関やNGO(非政府組織)による活動に理解と支援を深める日にするため、「世界難民の日」として制定されたそうです。</p> <p>UNHCR駐日事務所URL参照<a href="https://www.unhcr.org/jp/wrd">https://www.unhcr.org/jp/wrd</a></p> <p>&nbsp;</p> <p>さて、難民という言葉を聞くと、多くの方は紛争国の難民キャンプに避難している人たちをイメージするのではないでしょうか。日本とは縁のない問題と感じる方も少なくないのではないでしょうか。実は、日本も国際難民条約に批准しており、難民を保護する義務を負っている国であること、そして、現に日本にも庇護を求めてくる難民がいるということをご存知でしょうか?</p> <p>&nbsp;</p> <p>難民条約第1条で、難民とは、「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義されています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>2018年の日本における難民認定申請数は10,493人で、審査請求数は9,021人です。申請数は1万人を超えているのです。そして、難民認定手続の結果、日本での在留を認めた外国人は82人で、その内訳は、難民と認定した外国人が42人、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が40人です。つまり、難民認定した割合はわずか0.4%です。これは、他の難民条約批准国と比較しても、極めて低い水準です。このような低い水準にとどまる要因として、日本の難民認定手続における難民立証基準が厳しいことや、立証責任を申請者本人に負わせていること等が、国内外のNGOから指摘されています。そのため、現行の難民認定手続の制度においては、弁護士が代理人となって難民申請手続を行う必要性が高いです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>2019年4月より、日本の難民認定手続を行っている出入国管理局(「入管」ないし「イミグレーション」と呼ばれることが多い。)は、出入国在留管理庁となり、より多くの外国人労働者を受け入れようという方針に舵を切る法律も施行されました。しかし、「世界難民の日」の直後の6月24日、入管の収容施設内で、収容されている外国人が死亡するといった痛ましい事件が起こりました(新聞等で報道されました。)。この事件はまだ調査中のようですが、この事件に限らず、近年、入管による人権侵害が国内外から問題視されています。そもそも、在留外国人の問題は決して新しい問題ではありません。国際的にも批判されている技能実習制度が今の制度に近い形で誕生したのは約30年前の1990年で、それ以前からいわゆるサンフランシスコ平和条約(1952年発効)に基づいて日本国籍を離脱させられた人々(韓国・朝鮮人など)の人権問題がありました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>このように難民の問題をはじめとした「外国人の人権問題」に対し、日本という国がどのような姿勢を取るのかが問われているのではないでしょうか。</p> <p>いま近くにいる人の人権問題です。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士(弁護士法1条1項)としては、日本の難民・外国人の受入れ方や在留外国人に対する処遇について、人権を守り、人道的配慮を重視した適切な措置がされるよう、時には法的措置も検討しながら入管等の行政を監視することが重要だと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そして、より強く思うのは、日本社会の皆さんに日本の難民問題や在留外国人の問題について私たちの社会の問題として関心を持ってもらいたいということです。「外国人の人権問題」などの人権問題、社会問題に関する取組みは、社会の皆さんの関心や理解があってはじめてより有意義な取組みへと発展するからです。NGO等の支援団体がさまざまな情報を発信していますので、ぜひ一度目を向けてみてはいかがでしょうか。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/215/entry/2525#comments Tue, 30 Jul 2019 01:23:26 +0000 052856 2525 at http://www.osakaben.or.jp/blog 弁護士のお仕事 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/98/entry/2523 <p>弁護士って何をしているのか・・・</p> <p>実はなかなか分かってもらえていないかもしれないなあと感じております。</p> <p>&nbsp;</p> <p>私は、弁護士さんは何をしているのですか?と聞かれると、</p> <p>1 紛争に関する相談、代理人</p> <p>2 刑事事件が起きた時の弁護人</p> <p>3 会社等関係の契約関係のチェック・相談・作成、顧問業務</p> <p>4 危機管理、コンプライアンス関係対応</p> <p>5 社外取締役・監査役等の外部対応</p> <p>6 その他(私がたまにしているドラマの法律監修等)</p> <p>と答えています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>が、このうちの3以下があまりピンと来ていない方が多いように感じます。確かに、1と2が主たる業務であることは間違いないのですが、今、様々な分野で法律や法律的観点が必要とされているように思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ダイレクトに法律が適用される場面ではないかもしれませんが、社会的影響等を考えて行う対応等について、弁護士がアドバイスをすることはよくあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>地味に見える仕事ではありますが、社会が円滑に進んでいく際に少しはお役にたてるお仕事を弁護士はしている、と思っていただければと思います。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/98/entry/2523#comments 大阪弁護士会、弁護士のこと Sun, 28 Jul 2019 15:00:00 +0000 041618 2523 at http://www.osakaben.or.jp/blog 平凡 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/111/entry/2522 <p>先日、両親が地域の広報誌に載ったようで、その広報誌を送ってくれました。</p> <p>その中で両親は「平凡が一番」とコメントをしていました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>そのコメントを読んで、高校の卒業式の日のことを思い出しました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>卒業式が終わったあと、教室に戻り、担任が卒業生である私たちに向けて、はなむけの言葉を贈ってくれました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>「平凡な生活っていうのは、自分が一生懸命努力して、その結果初めて周りから平凡な生活だと評価し、また自分も平凡な生活だと実感するものです。平凡な人生を送れるように一生懸命努力してください。」</p> <p>&nbsp;</p> <p>20年以上前のことなので、一言一句正確には覚えていないのですが、そんな内容だったと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>何をもって「平凡」とするかは人それぞれだと思うので、一義的に決めるのはとても難しい問題だと思います。</p> <p>ただ、ありがたいことに、私は私なりに精一杯努力して、また周りの人のご縁に恵まれて、平凡な生活を送ることができていると思っています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>しかし、この仕事をしていると、精一杯努力しても、平凡な生活が送ることが難しい方をお見かけします。努力したくてもできない方もお見かけします。</p> <p>弁護士として、平凡な生活が送れるようにお手伝いできるところはしますが、法律を使うだけではいかんともし難いことが多々あり、苦い思いをすることも数多くあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>人それぞれの「平凡」の形はあるにせよ、一生懸命生きている人が「平凡」な生活が送れるような、そんな世の中であってほしいと思います。</p> <p>&nbsp;</p> <p>7月21日は参議院議員選挙の投票日ですね。</p> <p>平凡な生活を送ることができるために一票投じてきたいと思います。</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/111/entry/2522#comments あれこれ Tue, 09 Jul 2019 15:50:31 +0000 039110 2522 at http://www.osakaben.or.jp/blog 大阪の中心と児童相談所 http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/114/entry/2521 <p>少しだけ私の法律事務所のお話をすることをお許しください。</p> <p>私の法律事務所は北浜一丁目の交差点(大阪市中央区)にあり,私は,大阪の中心は北浜一丁目で,大阪のメインストリートは北浜一丁目を通る堺筋であると少しだけ感じています。こういう感覚を誇大妄想と言います。おそらく,大阪の中心は梅田駅周辺(いわゆる「キタ」)であり北浜ではない,大阪のメインストリートは御堂筋であり堺筋ではない,というのが現代における正しい認識ではないかと思われます。しかし,少なくとも昭和初期まではあながち誇大妄想ともいえなかったようです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>現代の北浜一丁目の交差点は南北に走る堺筋と東西に走る土佐堀通の交差点であり,難波橋(いわゆる「ライオン橋」)の南詰になっていますが,大正4年までは,難波橋は堺筋の1つ西の筋(難波橋筋)に架かっていました。そして,当時,大阪のメインストリートの地位は堺筋とこの難波橋筋が2分していました。大正4年,難波橋が難波橋筋から堺筋へ架け替えられます。架け替えの理由は,大阪市電天神橋西筋線(現在の地下鉄堺筋線)が北浜へ延線された際に,難波橋に市電を通すことに対する反対運動を地元住民が行ったためだそうです。その結果,堺筋と難波橋筋の明暗は大きく分かれました。難波橋を失った難波橋筋は一気に凋落する一方,堺筋は三越(現在のThe Kitahama)・白木屋(現在の第二野村ビルディング)・松阪屋(現在の高島屋東別館)などの百貨店が次々と竣工し,「大大阪時代」における大阪の唯一無二のメインストリートになったそうです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>ところが,その堺筋も,昭和12年に梅田・難波間を結ぶ大阪市電御堂筋線が竣工すると,次第に,メインストリートの地位を御堂筋に奪われていきました。鉄道網の中心である梅田(大阪駅)・難波を結ぶ御堂筋と梅田・難波から外れた堺筋を比べたときに,どちらがメインストリートにふさわしいかは,火を見るよりも明らかです。反対にいえば,堺筋も鉄道網の中心・大阪駅と繋がっていればメインストリートの地位を失うことはなかったかもしれません。実は,明治7年に大阪駅が開業する前は,北浜一丁目に近い堂島付近が大阪駅の候補地だったそうです。ところが,これまた住民の反対により(ただし,反対説もあります。住民の反対が原因とする説を採用するものとして手近なところでは谷川彰英監修『地図に秘められた『大阪』歴史の謎』127頁(実業之日本社,平成28年)),大阪駅は,現在の大阪市北区梅田三丁目,当時は大阪市外であった西成郡曽根崎村に設置されることになりました。北浜に近いところに大阪駅が設置されていれば,北浜も,北浜を通る堺筋も,その地位が変わっていたかもしれません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>こうしてみると,難波橋筋も堺筋も,そして北浜一丁目も,住民の反対運動によって大阪の中心・大阪のメインストリートの地位を失ったように思われます。今から見れば,住民の反対運動は経済的には不合理であったことは明白です。鉄道駅や鉄道路線によって周辺住民が利益を受けること(判例の言葉を借りれば,「存在によってある程度利益を受け」,「その利益とこれによって被る前記の被害との間に,後者の増大に必然的に前者の増大が伴うというような彼此相補の関係」(最判平成7年7月7日・民集49巻7号1870頁(ただし,この判決は彼此相補の関係が否定された事案。)の存在)は,明らかでしょう。しかし,利益がある施設か,それともただの迷惑施設かの判断は,後から見れば明白であっても,その時には難しいのかもしれません。現に大正時代には,鉄道駅や鉄道路線は信玄公旗掛松事件(大判大正8年3月3日民録25輯356頁)のような公害の原因にもなっており,迷惑施設としての側面がありました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>昨年,東京の中心である(少なくとも大阪の人間はそう思っている。)東京都港区・南青山において児童相談所設置に対する住民の反対運動が行われている旨の報道に接しました。大阪の中心かどうかはともかく,北浜一丁目からそれほど遠くない場所にあるタワーマンションでも,児童相談所設置に対する住民の反対運動がありました。</p> <p>児童相談所によって周辺住民に経済的利益があるか,それともただの迷惑施設かの判断は,今は難しいと思います。だいたい,子どもの権利保護に尽力されている方からは,「児童相談所に経済的利益があるか」等と議論している時点でお叱りを受けそうです。ただ,児童相談所に経済的利益があるか否かの判断は後になってみなければわからない,ということは確かだと思います。そう考えると,経済的利益があるか否かだけで児童相談所設置に反対することはあまり合理的でないように思われます。</p> <p>&nbsp;</p> http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/114/entry/2521#comments あれこれ Mon, 01 Jul 2019 14:24:37 +0000 047907 2521 at http://www.osakaben.or.jp/blog