主婦仲間に30万円 返済なく少額訴訟も (2014年6月14日掲載)

Q.  いつも公園に集まる主婦仲間がいます。その一人のA子が「夫に内緒で株を始めたら、30万円の損失を出してしまった。ばれたら離婚かも」と泣いて訴えるので、30万円貸しました。ところが、1年以上たっても返すそぶりもありません。裁判を起こそうと考えていますが、手続きが大変そう。少額訴訟なら簡単と聞いたのですが、どうすればできますか。

■まず相手と交渉、訴えは簡裁に

A. 少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる裁判手続きです。原則として1回の手続きで審理が終了し、判決まで時間がかかるということはありません。弁護士が関わらないことを念頭に置いていますので、法律に詳しくなくても利用しやすい手続きになっています。
訴えは簡易裁判所に起こします。各地の簡裁には、少額訴訟の書式や定型用紙が備え付けてありますので、まずは簡裁に連絡してみてください。書式には、訴えの相手方となる被告の氏名と住所、請求金額、紛争の要点などの記載例が書かれています。書式にのっとって定型用紙の空欄を埋めていくことで、訴状は完成します。訴訟費用としては、被告らに書類を送るための切手代と手数料が必要です。30万円の賃金を被告1人に請求する場合には、1万円程度の費用で申し立てができます。
先ほども申し上げたように審理は原則1回で終わりますので、最初の期日までに証拠をそろえておかなければいけません。書面による証拠としては、借用書や領収書が考えられます。それがなければ、貸し付けた時のメモなどを出しましょう。また、証人への尋問も証拠になります。A子さんが「お金なんて借りていない」などと貸し付けの事実を争うような場合には、事情を把握している友人に簡裁まで同行してもらい、証言してもらうのも有効な手段です。審理は、テレビドラマでイメージするような法廷ではなく、裁判官と共に丸いテーブルを囲んで進められます。当事者が緊張しすぎないようにとの配慮がなされているのです。
今回の事例は友人とのトラブルですので、A子さんと交渉するのが第一です。それでもだめなら、少額訴訟を検討していることをA子さんに伝えてみてください。返済を真剣に考えてくれる可能性があります。事例によっては、少額訴訟にそぐわないケースもありますので、弁護士に相談してみるのもいいかもしれません。

<回答・伊田真広弁護士(大阪弁護士会所属)>


※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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