彼女の誕生日に時計 別に彼氏が・・・請求可能? (2015年7月11日掲載)

Q. 友人男性が彼女に誕生日プレゼントに高級ブランド時計をあげました。誕生日は、彼女が仕事で出張ということで前日に贈ったようですが、実は彼女には別に彼氏がいて、誕生日は一緒に過ごしていたことが判明。友人は怒り、彼女に電話で「時計を返してくれ」と何度も伝えましたが、彼女は「もうあなたとは会わない。時計は返さない」と言うばかり。彼女は謝って、時計も返すべきだと思うのですが無理ですか。

■「贈与」に見返りなし 返還請求は困難

A. 残念ながら、時計は返してもらえないというのが原則です。誕生日プレゼントは、法律では「贈与」です。贈与は「無償で財産を譲渡する」契約なので、相手に見返りを求めることはできません。彼女が別の彼氏と誕生日を過ごしたとしても、解除することはできません。また、口約束の場合は撤回することができますが、履行(時計の場合は引き渡し)した後は撤回もできません。相談のケースは、履行した後なので、贈与を撤回して時計の返還を求めることはできません。
 友人は「だまされた!」との気持ちをお持ちでしょう。このような友人の気持ちをくみ、詐欺取り消しの主張を検討することはできます。「真剣に付き合ってくれていると信じていたのに、ウソをついてブランドの高級時計をだまし取られたので、贈与を取り消します」と主張し、返還を求めるのです。彼女の行動が詐欺と言えるかは交際期間、交際中の事情、結婚を前提とした交際だったか、時計を贈った理 由、贈った際の言動などを総合考慮して判断されることになりますが、単なる男女のトラブルでは詐欺に該当しません。
 例えば、友人と彼女が婚約していて、結納と誕生日プレゼントを兼ねて時計をプレゼントしたにもかかわらず彼女はもともと結婚する気がなく・本命の彼氏がいることを隠して時計を要求したような場合、詐欺取り消しが可能かもしれません。ただし、実際には詐欺の立証は難しいケースが多いでしょう。
 彼女は面会を拒否しているので、返還を求める際には慎重に対応する必要があります。無理に面会を求めると、彼女がストーカー規制法や強要罪などで警察に相談するなど、思わぬトラブルを招いてしまうリスクがあります。話し合いをすることが難しい場合、ご自身だけで解決しようとせず、弁護士にご相談ください。

<回答・岸野祐樹弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

ページトップへ
ページトップへ