特養老人ホーム建設で騒音など心配 (2015年9月19日掲載)

Q. 自宅隣の空き地にデイサービスもする特別養護老人ホームが建設されそうです。送迎の車が頻繁に通り、厨房や空調などの音が一日中聞こえそうで不安です。自宅も施設から丸見えになるでしょう。事業者からまだ説明はありません。法的に建設中止を求めるなど、よい解決方法はありますか。

■「受忍限度」超える被害ないとき 工事差し止め難しい

A. まだ説明がないとのことですが、工事現場の掲示板をご覧になって特別養護老人ホームができることが分かったのでしょうか。そうであれば、掲示板はいわゆる「まちづくり条例」に基づいて設置されたものであり、条例は事業者に近隣住民への説明を求めている場合が多いです。事業者に説明会の開催を求め、事業計画・工事計画の説明、図面などの提出を求めてください。
民事上、他人の行為の中止を求めるためには「受忍限度」を超える被害が生じること、または生じるおそれがあることが認められなければなりません。生命・身体・健康の直接的な侵害の可能性があることを立証しなければ「受忍限度」を超えると認められないため、工事などの差し止めを求めることは難しいと考えられます。
 行政法規上では、特別養護老人ホームは老人福祉法やバリアフリー法などに適合しなければなりません。
違反する場合は、具体的な被害発生の有無に関わらず、行政に施設の廃止を含む職権発動を促すことができます。
 民事上の受忍限度や行政法規上の違法を立証することが困難であったとしても、条例上の紛争調整手続や公害調停などの方法により、近隣住民の不安を除去するよう求めることができます。福祉事業者は地域との連携を求められているため、事業者としても被害防止措置をとることはやぶさかでないはずです。粘り強く交渉してみてください。弁護士への相談もご検討ください。

〈回答・喜多啓公弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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