家賃を3カ月分滞納 鍵交換、入居できず (2014年2月8日掲載)

Q. ある日、住んでいるアパートに帰ったら、部屋の玄関の鍵が変わっていました。僕が家賃を3カ月分滞納したままなので、大家さんと契約している家賃保証会社が鍵を交換してしまったそうです。部屋に入れないので、今は友達の家に居候しています。家賃を滞納したのは確かに僕が悪いですが、こんなことって許されるんですか?

■違法追い出し行為、相談を

A. 家賃を滞納したからといって、部屋の鍵を勝手に変えることは、決して許されません。これは違法な追い出し行為です。なぜなら、民事では原則、実力行使で権利を回復する行為「自力救済」は認められていないからです。つまり、大家さんが強制執行などの法的手続きをしない限り、あなたは自分の意思に反して住まいを奪われることはありません。
このため、大家さんや家賃保証会社に対して、直ちに違法状態を解消し、部屋に入れるようにすることを要求できます。更に、慰謝料などの損害賠償を求めることができる場合もあります。
もし、賃貸保証契約書や保証委託契約書に「家賃を滞納した場合は、鍵の交換など施錠されても異議は述べない」との条項があっても同じですので、安心してください。個人で事業用として借りる場合でなければ、不動産の借り主も消費者ですので、消費者契約法で保護されます。先ほどの条項は、同法10条で無効とされる「消費者の利益を一方的に害するもの」に該当すると考えられますので、鍵交換を正当化する根拠はありません。
長引く不況を背景に家賃を滞納する人が増えたこともあり、ここ最近、家賃保証会社の中に「追い出し屋」と呼ばれる悪質な業者が入り込み、社会問題となっています。政府は2010年、こうした業者を規制するため、強引な家賃の取り立て行為に刑事罰を科すことなどを盛り込んだ法案を国会に提出しました。同年4月に参院で全会一致で可決しましたが、衆院で継続審議になり、残念ながら廃案になってしまいました。しかし、追い出し屋による違法行為は依然として後を絶たず、法律の整備が待たれるところです。
追い出し行為の被言に遭った場合は、決して泣き寝入りせず、弁護士会や消費生活センターに相談してください。

 <回答・岩佐賢次弁護士(大阪弁護士会所属)>


※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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