意見書・声明
意見書 会長声明等

 大阪弁護士会ロールームに関する会長談話

 当会では、司法制度改革審議会の最終意見書において、法科大学院においては、(1)法曹に共通に必要な専門的資質・能力の習得、(2)豊かな人間性の涵養・向上、(3)専門的な法知識の確実な習得、(4)法知識を批判的に検討・発展させていく創造的な思考力と事実に即した具体的な問題解決に必要な法的な分析・議論能力の育成、(5)先端的な法領域についての基本的な理解、(6)法曹としての責任感・倫理観の涵養と社会貢献の機会の提供等の基本的理念を統合的に実現するもの、とされたことを受け、本来後進の育成は法曹一元の理念からしても弁護士・弁護士会が強い関心と情熱を傾けるべき課題であるとして、理論と実務を架橋する法科大学院に実務的な側面から積極的に協力してきた。そして、特に、複数の法科大学院の学生を対象とし、法曹実務に関する教育を法科大学院との協力・提携のもとで行うことを内容とするロールーム構想を推進してきた。

 法科大学院への設置認可申請が出そろった現段階で、当初当会が当初目指した多くの法科大学院の学生に門戸が開かれ、多数の科目を有するというロールーム構想が縮小し、ロールームが、子どもの権利、民事介入暴力および独占禁止法の3科目について、一部法科大学院が市内に開設するサテライトで行われる単位互換形態での授業にとどまったことは我々の力不足である。この原因としては、法科大学院が新たな制度化であることにもましてロールーム構想が各大学の枠を超えた大きな取り組みであることから、大学、文部科学省などに十分な理解が得られなかったことが大きいものと思われる。

 しかし、先に述べた法科大学院に期待される大きな役割からすれば、現段階で予定されている法科大学院の教育内容が学生に多用な選択を提供する点においてなお十分といえないと判断される。そのために、当会が構想し、具体化するロールームについて、まず現実化したロールームの授業内容を実務家養成の視点から充実したものにしていくことはもとより、ロールーム構想参加法科大学院およびロールーム科目が一層拡充され、より多くの学生により多くの実務的な科目への選択の機会が与えられなければならない。

 当会としては、引き続き大学及び文部科学省に積極的に働きかけ、協議を進めて今後もさらにロールームを拡充していくことに務める所存である。

2003年(平成15年)7月17日

大阪弁護士会
   会  長   高  階  貞  男

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