意見書・声明
意見書 会長声明等

 ヤミ金融被害の救済及びヤミ金融の撲滅のため、
 真に実効性のあるヤミ金融対策法の制定を求める声明

 最近、出資法違反の超高金利で違法な貸付を行うヤミ金融による被害が全国的に発生している。ヤミ金融は被害者に対し、年利に換算して数千パーセントにも及ぶ異常な高金利に相当する金員の支払を要求するほか、被害者のみならずその家族、親族、職場、近隣居住者などにまで脅迫的取立を行ってその生活を破壊しており、ヤミ金融被害の救済及びヤミ金融の撲滅は、早急に実現されるべき重大な社会問題となっている。

 大阪においても、平成15年6月14日未明、八尾市において、ヤミ金融による近隣を巻き込んだ脅迫的取立に追いつめられた3名の方が鉄道心中を図り、全員亡くなられるという極めて痛ましい事件が発生した。

 この事件は、ヤミ金融による被害の実態を如実に示すものである。

 今般、衆議院で可決された貸金業規正法改正法案では、年109・5%の契約は無効であるとのことであるが、これでは、その金利を下回る出資法違反の契約が有効との解釈の余地を残すものであり、ヤミ金業者の債権回収を助力するものになりかねない。ヤミ金融対策のための立法にあたっては、出資法違反の貸付契約は無効であり、ヤミ金融による金員の交付が不法原因給付(民法708条)であることを明らかにし、ヤミ金融には被害者に交付した金員を含めて一切の金員を受領する余地がないことを、法律の明文によって明らかにすべきである。

 日本弁護士連合会は、昨平成14年に開催された多重債務者救済に関する全国協議会において、ヤミ金融に対しては1円たりとも交付しないことをヤミ金融対策の指針として採択しており、また、平成14年11月22日、「ヤミ金融対策法の制定を求める意見書」において同様の提言を行っている。全国で多数の弁護士が上記指針にのっとって多くの被害者の救済に尽力しており、これは既に定着した実務となっている。さらに、平成15年6月27日、「ヤミ金融対策法案に対する声明」において、出資法の金利規制に違反する貸付契約は無効であり、元本の弁済は不要であることを法律上明記することを求めている。法律によりヤミ金融に対して不当な利益を与えることは決してあってはならない。

 当会は、上記心中事件までに発展したヤミ金融による被害実態を重く受け止め、ヤミ金融被害救済体制の確立及びヤミ金融撲滅のための取り組みを強化する必要性を改めて痛感するものである。

 そこで、当会は、参議院に対し、「出資法の金利規制に違反する貸付契約は無効であり、元本の弁済は不要であること」を貸金業規正法改正法案に明記することを強く求めるものである。

平成15年(2003年)7月25日

大阪弁護士会
   会  長   高  階  貞  男

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