意見書・声明
意見書 会長声明等

 行政立法手続法制化に関する緊急声明

 行政立法手続の法制化を強く求めるという立場から,現在検討中の行政手続法改正に関して特に緊急を要すると思われる以下の施策につき速やかに実現されることを要望する。

  1. 適用範囲
     行政手続法に定める手続の適用範囲については,国民の権利利益の保護並びに政策形成に民意を反映させる見地から,広く,すべての政令・府省令及び規則と,政省令以外の形式の規律(通達,告示等)で実質的に国民の権利義務に影響を与える一般的規律(審査基準・処分基準・行政指導の要綱・ガイドライン・指針・解釈基準等)を対象とすべきである。

  2. 意見募集の期間
     現行のパブリック・コメントは,募集期間が概ね1箇月とされているが,これではその案件の内容に通暁しない国民等が自らの意見をまとめ提出することが困難であるうえ,弁護士会をはじめとした団体でも団体内の意見を民主的手続を経て集約し発表することは事実上不可能である。そこで意見募集の期間は最低でも2箇月を確保すべきである。 また,募集期間の長短にかかわらず,案件公表・募集開始以前においても,パブリック・コメントの案件に関して検討の機会が得られるよう,その概要を公開すべきである。

  3. 制度利用者からのヒアリング
     法制化にむけ,すでに各省庁から個別に意見を聴取している。
     しかし,法制化にもっとも重大な利害関係を有するのは,当該法制度を利用する国民であり,また具体的な法の適用・執行にあたる法曹関係者である。
     しかるに,当該法制度の利用者たる国民等に対して過日実施された意見募集では,その募集期間も短く,単に主要な論点を列記してこれに対する意見を求めたにすぎない。その結果、意見提出者の数も101名にとどまり,十分に民意が反映しているとは到底いい難い。そこで,審議の公平性・透明性をはかり,制度利用者たる国民の声を同法の立法化に反映させるために,再度,相当な方法により,国民及び法曹関係者の意見を直接聴取するヒアリング手続を実施すべきである。

  4. 事後的な是正手続
     意見募集の過程に行政立法手続違反の瑕疵があった場合に備え,国民からの不服申立手続等の事後的な是正手続の整備を引き続き検討する場を設けるべきである。

2004(平成16)年11月26日

大阪弁護士会
会長 宮崎 誠

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