意見書・声明
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 後藤国賠に関する会長声明

 本日、大阪高等裁判所は、当会の後藤貞人弁護士が原告となって起こしていた弁護人の秘密接見交通権・弁護権の侵害を理由とする国家賠償請求訴訟につき、国の控訴を棄却して後藤弁護士勝訴の判決を言い渡した。同判決は、拘置所の取扱いを違憲・違法であると判断した大阪地方裁判所の第1審判決を高等裁判所レベルでも確認した画期的な判決である。

 高裁判決は、拘置所において、弁護人が被告人等と接見に当たって持ち込もうとしている書類などを事前に検査することは許されない、捜査機関が獲得したビデオテープや弁護人が独自に収集したビデオテープ等を秘密交通権の保護から除外して収容施設側の事前検査の対象とすることはできない旨判示し、一審判決に続きこれまでの拘置所実務の現状に根本的な改革を迫る内容となっている。拘置所および法務当局においては、この判決を受け入れ、弁護人が被疑者・被告人とビデオテープを再生しながら接見することを認めるよう直ちに運用を改めなければならない。

 このような実務取扱の背景には、弁護権が充分に保障されていなかった明治憲法下に制定された監獄法が、現在も収容施設の根拠法とされていることに大きな原因がある。国は、監獄法・監獄法施行規則を日本国憲法の内容に沿ったものに早急に改めるべきである。

 当会としては、被疑者・被告人間の秘密接見交通権を完全に保障するシステムについてさらに提言を行い、今後とも弁護権を侵害する事態の発生を許さぬよう、全会を挙げて取り組む所存である。

以上

2005年(平成17年)1月25日
大阪弁護士会 
会長 宮崎 誠

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