意見書・声明
意見書 会長声明等

 自衛隊のイラクへの派遣再延長に反対する会長声明

 本年12月8日、政府は、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(以下「イラク特措法」という。)に基づく基本計画で定めた自衛隊の派遣期間が本年12月14日で満了する事態を受けて、基本計画を変更し、派遣期間をさらに1年間再延長することを閣議決定した。

 当会は、自衛隊派遣の根拠となるイラク特措法は、憲法上も問題であるばかりでなく、現実の自衛隊のイラク派遣は、「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇または武力行使にあたるものであってはならない」とのイラク特措法の基本原則にも反することを指摘して、これに反対し、その即時撤退を求め、また昨年の派遣期間延長にも反対してきた。

 イラクでは、未だに戦闘状態が継続しており、本年になっても、サマワでは、陸上自衛隊宿営地にロケット弾などが着弾し、陸上自衛隊車両が幹線道路走行中に爆弾で攻撃され、防衛庁は計画していた報道機関の取材を「不測の事態を排除できない」として中止している。また、航空自衛隊は、イラクにおいて武力行使を行っている多国籍軍のための輸送を行い、多国籍軍との一体化が顕著である。しかも、イラクをめぐる情勢は変化しつつあり、すでにサマワの治安維持を担当していたオランダ軍は撤退し、これを引き継いだ英・豪両軍も来年には撤退を開始しようとしており、今や自衛隊が戦闘に巻き込まれて武力行使に至る危険性がますます高まっていると言わざるを得ない。

 よって、当会は、このようなイラクの現状に鑑み、自衛隊のイラクからの即時撤退を強く求めるものであり、政府が自衛隊派遣期間の延長を行わないことを、改めて強く求めるものである。

2005年(平成17年)12月14日

大 阪 弁 護 士 会
会 長 益田 哲生

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