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民事介入暴力(ミンボー)とは何ですか |
民事介入暴力(ミンボー、民暴)とは、もともとは警察庁が暴力団取締対策を進める過程において定めた用語で、警察庁は、1979年(昭和54年)に暴力団関係者による民事事件に対する介入というような定義をしました(注1)。
一方日本弁護士連合会(日弁連)は、1980年(昭和55年)に民事事件における暴力等の行使による被害者救済の見地から、特に暴力団関係者に限らず、民事事件における暴行・脅迫等いっさいの不相当な行為と定義をしました(注2)。
以上のように、警察庁の定義は、暴力団取締のためになされたものですが、日弁連の定義は、民事事件における暴力等の行使による被害者救済のためになされたものです。その結果、日弁連の定義は警察庁の定義と比較してより広く民暴というものをとらえています。
民暴の態様としては様々なものがあげられます。例えば、暴力的な債権取立、いわゆる手形のパクリあるいはサルベージ行為(手形を騙し取ったり、法外な手数料で手形金を回収するような行為)、交通事故の示談介入、企業倒産の場合に整理屋として介入する行為、金融機関に対する融資強要、不動産賃借人に対する暴力的立退き要求、不動産所有者に対するいわゆる地上げ行為、総会屋として会社経営に干渉する行為、社会運動や政治運動を標榜して企業等に金銭を要求する行為(いわゆるえせ同和活動、えせ右翼活動等)、その他商品売買や男女関係等日常生活に絡んで不当な損害賠償請求をする行為等があげられます。
注1(警察庁の定義)
「暴力団又はその周辺にある者が、暴力団の威嚇力を背景にこれを利用し、一般市民の日常生活又は経済取引について司法的救済が十分に機能していない面に付け込み、民事上の権利者や一方の当事者・関係者の形をとって介入、関与するもの」
注2(日弁連の定義)
「民事執行事件・倒産事件・債権取立事件その他の民事紛争事件において当事者又は当事者代理人若しくは利害関係人が他の事件関係人に対して行使する暴行・脅迫その他の迷惑行為及び暴行・脅迫・迷惑行為の行使を示唆又は暗示する一切の言動並びに社会通念上権利の行使又は実現の限度を超える一切の不相当な行為」
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民暴に対して弁護士あるいは弁護士会はどのように取り組んでいますか |
弁護士あるいは弁護士会は民暴被害の救済に積極的に取り組んできました。
日弁連は、1980年(昭和55年)に民暴対策特別委員会(後に民事介入暴力対策委員会に改組)を設置し、現在に至るまで様々な民暴対策を実施してきました。 そして、大阪弁護士会も1980年(昭和55年)から民暴被害者対策業務を実施し、
1990年(平成2年)には、非弁護士活動取締委員会を改組して民事介入暴力対策及び非弁護士活動対策委員会(民暴非弁委員会)を設置するなど民暴被害の根絶を目指して積極的に活動してきました。
大阪弁護士会は、民暴非弁委員会発足と同時に、民事介入暴力対策運営準則を制定し、大阪弁護士会会員が民暴の被害者になった場合及び会員が民暴被害者救済にあたる場合にこれを援助、指導する活動を開始しました。
これは、民暴支援要請制度と呼ばれており、弁護士自身が民暴の被害者になった場合や弁護士が民暴被害救済にあたっている場合に、その弁護士だけでは被害救済が困難なときは、民暴非弁委員会に支援を要請し、同委員会が支援相当と認めたときは、諸対策についての助言、情報の開示、さらには支援のための要員(同委員会委員の弁護士)を派遣するなど方法によって援助や指導を行うという制度です。
この制度は、民暴被害救済活動に対して弁護士会として組織的に援助や指導を行うという画期的な制度であり、制度発足以来数々の民暴事件の解決に寄与してきました。
また、大阪弁護士会総合法律相談センターにおいては、民暴法律相談や民暴事件についての弁護士紹介等を実施しており、この点については総合法律相談センターのページをご参照下さい。
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民暴被害を受けたときはどうすればよいのでしょうか |
弁護士あるいは弁護士会、警察、暴力追放運動推進センターにできるだけ早い段階で相談を持ちかけて下さい。
前述のように、現在弁護士あるいは弁護士会は民暴被害救済に積極的に取り組んでいます。また、警察も、1979年(昭和54年)に警察庁に民事介入暴力対策センターを設置し、各都道府県警察に民事介入暴力団担当官や暴力相談室あるいは暴力相談所を設置するなど民暴被害救済に積極的に取り組んでいます。さらに、1991年(平成3年)に制定されたいわゆる暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)に基づいて各都道府県に暴力追放運動推進センターが設置され、暴力団員による不当な行為に関する相談を受け付けています(大阪府には大阪府暴力追放推進センターが設置されています。)。
自分だけで解決しようとすると相手のペースにはまってますます被害が深刻になっていくだけです。多少自分の側に落ち度がある場合でも何はさておき弁護士あるいは弁護士会、警察、暴力追放運動推進センターに一度相談してみて下さい。
なお、暴力団に対する訴訟費用については、暴力追放推進センターによる訴訟費用貸付制度や暴力団被害救済基金(事務局は大阪市北区西天満3-13-8浅田法律事務所内、電話06-6365-3256)による訴訟費用援助制度があります。
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