(1) 実施日時
平成18年1月26日(木)午前10時から午後4時
平成18年1月27日(金)午前10時から午後4時
(於 大阪弁護士会館)
(2) 電話番号(3台)
06―6364−8191
(3) 相談担当者
当会消費者保護委員会委員及び有志会員
(4) 実施責任者
消費者保護委員会副委員長 松本洋介
(TEL 06−6344−5198/FAX 06−6344−5197)
(5) 電話相談後の処理
法律相談又は弁護士の紹介を希望される相談者には、当会総合法律相談センターを紹介いたします。
(6) 問い合わせ先
大阪弁護士会委員会担当室 消費者保護委員会担当事務局(武田)
(TEL 06−6364−1227/FAX 06−6364−0252)
(7) 主催団体
大 阪 弁 護 士 会
(1) 先物取引被害について
1.) 従来より、ハイリスク・ハイリターンの投資商品・投機商品の代名詞として、先物取引が挙げられております。そして、先物取引業者は一般消費者に対して、先物取引のリスクについて明確に認識させることなく、あるいは、リスクについて誤認をさせ、あるいは、リターンのみを極端に強調することにより、投機商品としての危険性を認識させないまま取引をさせる問題が頻発しております。
特に、最近は高齢者が被害に遭うケースが多くなってきており、また、被害金額も数百万円から数千万円と高額で、場合によっては1億円を超える被害に遭ったといったケースも見受けられます。
そもそも、一般消費者は、先物取引の高額のリスクを負担することができない不適格者であるというべきであり、このような一般消費者に対して先物取引を勧誘すること自体が問題であるといわざるを得ません。しかも、最近では、新規商品の上場もなされており、取引の拡大に伴うトラブルの増大も懸念されるところです。
ちなみに、大阪弁護士会総合法律センターにおける先物取引の相談件数は、平成16年度が127件、平成17年度は平成17年12月末日現在で既に75件となっております。また、国民生活センターのデーターによれば、商品先物取引に関する相談は年々増え続け、2002年度は7582件と1993年度の4倍以上に達し、その後も2003年度は7810件に増加し、2004年度も7270件と多数の相談が寄せられ、さらに、下記のとおり法改正のなされた2005年度も12月15日現在で2695件(前年同期3923件)と引き続き多数の相談が寄せられています。
2.) 法改正の影響
商品先物取引の規制立法である商品取引所法が改正され、昨年5月1日から施行されております。この法改正により、適合性原則の明定、説明義務の法定及び違反した場合の損害賠償責任の法定、これまで省令で規定していた不当な勧誘行為等の禁止(例えば、委託を行わない旨の意思を表示した顧客に対する勧誘の禁止、両建取引の勧誘の禁止)の法定等がなされ、また、「商品先物取引の委託者の保護に関するガイドライン」が公表されるなどしましたが、未だ一般消費者の保護に十分なものとはいえません。
さらに、このような法改正が上記のような被害の減少に実効性のあるものとなっているのかどうかは検証を要するところです。
3.) 先物取引業者の撤退、倒産等
先物取引業界では、グローバリー株式会社が平成17年7月に商品取引所法違反の容疑で家宅捜索を受け、その後9月30日をもって商品先物取引業務を廃止、同様に、西友商事株式会社が同年11月30日をもって商品先物取引業務を廃止したり、株式会社新日本貴志、丸村株式会社が倒産したりするという動きもあり、これに伴う顧客保護という問題も看過することができないところです。
(2) 外国為替証拠金取引被害について
1.) さらに、先物取引会社の新種の取扱商品として、外国為替証拠金取引があります。
そもそも、外国為替証拠金取引とは、一定の保証金を預託すれば、それをはるかに超える米ドル、ユーロ等の外貨の売買を行うという取引であって、商品先物取引や株式の信用取引と極めて類似する構造を持っています。
2.) 外国為替証拠金取引については、従前何らの規制もされていませんでしたが、金融先物取引法の改正により平成17年7月1日から同法の規制を受けることとなりました。改正法は、外国為替証拠金取引業者に登録を義務付けており、平成18年1月以降は、原則として登録を受けた業者でなければ外国為替証拠金取引業を行うことができなくなりました。
また、改正法が不招請の勧誘を禁止したり、資産要件を法定したりした結果、財務基盤の脆弱ないわゆる独立系の業者が相次いで行政処分を受けたり、破産したりしており、この影響による被害救済の必要性が出てきています。
3.) 外国為替証拠金取引については、相対取引(つまり、インターバンク市場に取り次いでいない外国為替証拠金取引)であること等を理由として賭博である趣旨の判決が複数出るなど、取引そのものの違法性の問題のほか、商品先物取引と類似する構造、同様の被害発生の危険性があります。
(3) まとめ
これまで大阪弁護士会では、商品先物取引会社の不当・違法な販売方法により引き起こされた被害事件について適宜対応してきております。
上記のような被害の状況を把握し、また、改正された商品先物取引所法、金融先物取引法の実効性を検証し、具体的な被害救済及び今後の被害予防に役立てたいと考え、先物取引被害・外国為替証拠金取引被害110番を実施することを決めた次第です。なお、今回の110番は、大阪以外の全国各地においても、先物取引被害研究会等の主催により、実施される予定になっております。