「保険金不当不払い110番」の実施について
110番の実施概要
実施日時 |
平成18年11月9日(木)午前10時から午後4時 |
電話番号(4台) |
06―6364−0271 |
相談担当者 |
当会消費者保護委員会委員及び有志会員 |
電話相談後の処理 |
法律相談又は弁護士の紹介を希望される相談者には、当会総合法律相談センターを紹介いたします。また、必要に応じて追跡調査を行います。 |
問い合わせ先 |
大阪弁護士会委員会担当室
消費者保護委員会担当事務局(武田)
(TEL 06−6364−1227/FAX 06−6364−0252) |
主催団体 |
大 阪 弁 護 士 会 |
実施の理由
(1) 不払事件の多発
万が一のために保険料を営々と支払ってきたのに、肝心なときに保険金が支払ってもらえない・・・。このような事件が近時頻発しています。
下記のような近時の保険会社に対する金融庁の処分から、保険会社による保険金不払いが、莫大な件数・金額に上っていることが分かります。
ア. 平成17年10月28日 明治安田生命に対する合計2500件の保険金不払い等を理由とする業務停止命令
同時期に、他の保険会社でも合計435件、20億円の保険金不払いが判明。
イ. 平成17年11月25日 損害保険26社に対して、18万件、84億円の車両保険金特約の不払い等を理由とする業務改善命令
ウ. 平成18年5月25日 損保ジャパンに対して、27000件、9億円の付随的保険金支払漏れを理由として業務停止命令
エ. 平成18年6月21日 三井住友海上火災に対して、900件、1.6億円の医療保険不払い等を理由として、業務停止命令
オ. 平成18年7月26日 日本生命に対して、不正な契約解除等を理由とする業務改善命令
カ. 平成18年9月以降 損保会社23社が、付随的支払漏れがさらに13万件、100億円判明したと発表
(2) 免責事由の拡大解釈
保険契約では、契約者が故意に事故を起こした場合は、保険会社は免責されます。
近年、この条項を不当に拡大解釈して、些細な言い分の食い違いや、不正確な調査を基にして、契約者が故意に起こした事故であると決めつけ、保険会社が免責を主張する事例が増加しています。
契約者は、例えば自動車盗難にあって経済的損害を受け、その上に保険会社からも保険金詐欺犯扱いを受けて、いわば二重の被害を受けることになります。
(3) 保険契約者保護への流れ
保険契約をめぐる保険会社の不当な不払いに対し、金融庁は、上記のとおり、厳しい行政処分を相次いで下しています。
また、最高裁も、前記の免責事由の立証責任が保険会社側にあることを明言しています。
保険会社の不当な不払いは、保険制度に対する信頼そのものを揺るがしかねないという危機感がその底流にあるものと思われます。
(4) 被害の実態は依然不明である。
保険契約は、その契約内容を保険会社が一方的に決定し、契約の具体的解釈・適用も、ほとんど保険会社の立場において行われてきました。
従って、保険契約者が、自分が契約上どのような権利を有しているのかを分かっていない場合もしばしばあります。
従って、近年判明している不払い事件は膨大な件数ですが、他の不当な不払いがあるかどうか、依然として不明な状態です。
(5) 近畿弁護士会連合会の取り組み
以上の状況を踏まえ、近畿弁護士会連合会では、平成19年11月30日、大阪市内において「保険契約における消費者主権の確立(仮称)」をテーマにしたシンポジウムを開催することを決定しました。
弁護士会としては、このシンポジウムにおいて、保険法の改正が、真に消費者の権利確立のためになされるような提言を行う予定です。
本110番は、上記近畿弁護士会連合会シンポジウム開催準備の第一弾として、昨年来多数報道されている保険金の不当な不払い問題の実態を調査するために、主として医療・傷害・車両・火災保険等について、被害者からの電話聴取りを行うべく実施するものです。
なお、交通事故の損害賠償交渉に関する相談は対象としていませんので、ご留意ください。
以 上
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