イベント情報

全国一斉先物取引被害110番の実施について

2月15日(木)、16日(金)午前10時〜午後4時に標記電話相談を行います。

1 110番の実施概要

実施日時 平成19年2月15日(木)午前10時から午後4時
平成19年2月16日(金)午前10時から午後4時
(於  大阪弁護士会館)
電話番号(3台) 06―6363−1900
相談担当者 当会消費者保護委員会委員及び有志会員
電話相談後の処理 法律相談又は弁護士の紹介を希望される相談者には、当会総合法律相談センターを紹介いたします。
問い合わせ先 大阪弁護士会委員会担当室
消費者保護委員会担当事務局(武田)
(TEL 06−6364−1227)
主催団体 大 阪 弁 護 士 会

2 実施の理由

 (1) 先物取引被害について

商品先物取引は、金やガソリンなどの上場商品について、一定の証拠金を預けて、その何倍もの代金となる売買をし、差金の授受を行う取引ですが、非常に投機性が高く、多額の損失を被ることもまれではありません。また、無差別的な電話勧誘や訪問によって、会社員・自営業者だけでなく、高齢者や主婦、若者までもが強引な勧誘被害に遭うことが多く、過去長年にわたってトラブルが絶えません。

国民生活センターの発表によれば、商品先物に関する相談件数は、平成13年度に6026件、平成14年度に7584件、平成15年度に7810件、平成16年度に7368件もの相談が寄せられ、平成17年度は法改正の影響によって、4713件と大きく減少したものの、平成18年度は、平成19年1月18日現在3042件(前年同期3127件)と前年並みの相談件数となっており、相変わらず、非常に多くの相談が寄せられています。

日本商品先物取引協会の苦情・紛争受付件数は、平成18年12月現在、123件で前期より50件減少したとされますが、全体のうち不当勧誘の占める割合は56.1%と、昨年度より増加しています(商取ニュース19.1.26)。

昨年1月に実施した全国一斉先物取引被害・外国為替取引被害110番の相談件数は571件であり、相談件数は前回の実施件数(H16.10実施、426件)よりも大幅に増加していたほか、平成17年5月の商品取引所法の改正法施行以降のトラブルが大半を占めていました。

(2) 商品取引所法の改正と現状

このような先物取引被害が多発する中で、先物業者のアイコムの破綻(H15.12)、大手の東京ゼネラルの破綻(H16.1)等を契機として、平成16年に改正商品取引所法が成立しました(H16.5)。改正法は、適合性原則の明記、説明義務の法定、不当な勧誘等の禁止など行為規制を強化し、クリアリングハウス導入など、委託者資産の保全を強化するものとして、平成17年5月から施行されています。同時に、経産省・農水省は、委託者保護を強化するため、先物業者に対して、「商品先物取引の委託者保護に関するガイドライン」を制定しています。

しかし、平成17年も、グローバリーの業務停止処分(H17.4)、コーワフューチャーズ、西友商事の業務停止処分(H17.5)、ハーベストフューチャーズの業務停止処分(H17.8)、日本アイビックの業務停止処分(H17.12)などが相次ぎ、新日本貴志、丸村の破産、グローバリーの廃業など、行政処分や破綻業者が増え、グローバリーの架空口座問題での強制捜査(H17.7)、グローバリー役員及び従業員の逮捕(H17.11)などの刑事事件に発展するケースも出ています。

一方、平成18年6月、金融商品取引法が成立し、その国会審議において先物取引のトラブル多発が問題となり、参議院では「今後トラブルが解消していかない場合には、不招請勧誘の禁止導入(電話勧誘、訪問勧誘の原則禁止)を検討する。」旨の附帯決議がなされました。

しかし、これ以降もクレボの業務停止処分、岡地の業務停止処分(H18.8)がなされたほか、コーワフューチャーズが被害者による破産申立によって破産手続が開始されています(H18.10)。

また、朝日新聞の記事では、商品取引所法改正以降も、断っても執拗に勧誘する苦情が続いていると報じられ(H18.11.28)、他方、農水省・経産省の法令遵守体制に関する一斉点検結果の公表によれば(H18.12.15)、22社で法令遵守体制の不備があったほか、オムニコ・コムテックス・日本交易の3社について、「委託を行わない」旨の意思を表示した顧客との勧誘についての苦情が多発しているとして、再発防止を求める業務改善命令が出されています(H18.12)。

(3) 外国為替証拠金取引の被害減少

外国為替証拠金取引は、一定の証拠金を預け、その額の何倍もの外国通貨を売買するという取引で、平成10年4月の外為法改正による外貨取扱の自由化を契機に広まりました。従前はこれを規制する法律がなかったことから、零細な多数の業者が生じ、「金利がつく」「外貨預金のようなもの」などと、無差別的に一般消費者を勧誘し、トラブルが多発しました。

業者の中には、破綻したまま証拠金さえ返還しない業者が出たり、刑事摘発を受ける業者が出たりしたほか、損害賠償を求める訴訟も多数提起され、不当勧誘や賭博行為性を認める判決なども出る中で、ようやく平成16年12月に改正金融先物取引法が成立し、平成17年7月から施行されています。

改正法は、外国為替証拠金業者を登録制としたほか、自己資本規制比率の導入によって不健全な会社を排除し、また不招請勧誘も禁止しました。金融庁は、法改正後、積極的に行政処分を発動した結果、従前の独立系業者は大半が廃業・破産等に至っています。

そして、国民生活センターの発表によれば、相談件数は、平成14年度393件、平成15年度1423件、平成16年度2910件、平成17年度3155件と急増していましたが、平成18年度は、平成19年1月19日現在262件(前年同期2456件)と大幅に減少しました。

(4) 海外オプション被害の多発、現物まがい取引の被害

しかし、外国為替証拠金取引が登録制となり、厳しく規制されて、多くの独立系業者が破綻・廃業し、苦情・相談が大幅に減少したのと裏腹に、未公開株の勧誘被害のほか、海外先物取引や海外オプション被害が急増しています。

相談事例では、投機取引の経験もなく、取引の仕組みを理解したり、投資判断したりする能力も乏しい高齢者に、強引に海外オプション取引を勧誘する事例が数多く見られます。

海外先物取引では、許可や登録が不要であるばかりか、海外オプション取引は海外先物規制法の規制対象にさえなっておらず、勧誘規制がないために、業者の勧誘はまったく野放しの状態です。

国民生活センターでは、「海外商品先物取引、海外商品先物オプション取引の被害に注意!」と題する注意喚起を行っています(H18.7.6)。

また、最近では、「ロコ・ロンドン貴金属取引」「ロコ・ロンドン保証金取引」などと称して、「今がチャンス」「年6%の金利がつく」と言われ、「ロンドン市場の金への投資」を勧誘され、多額の損失を被る事例が出ています。これらの取引では、金の現物を購入しているのではなく、証拠金を預けてその何倍もの取引を行うため、実質的には金の先物取引に類似し、非常に投機性も高いのに、現物取引であるとして、何らの許可も登録もない業者が消費者を勧誘しているものと思われます。

国民生活センターでは、「新手の投資話『ロコ・ロンドン金』に注意!」との注意喚起を行っています(H19.1.12)。

(5) 全国一斉先物取引被害110番の実施について

以上のとおり、改正された商品取引所法が平成17年5月に施行されたものの、先物取引被害は相変わらず多発しており、金融商品取引法が成立した平成18年6月以降も、電話や訪問を断っている消費者に対し、なおも勧誘を続ける苦情・トラブルが生じています。そして、廃業や破綻する先物業者が増える中で、悪質な被害や強引な勧誘による先物被害が懸念されます。

また、外国為替証拠金取引の被害に替わって、規制の緩やかな海外先物や、規制の全くない海外オプション被害、現物まがい取引被害は急増しています。

これら改正商品取引所法の実効性が十分確保され、被害抑制に役立っているのか、金融商品取引法の国会審議で議論されたように、不当勧誘によるトラブルの多発が解消されているのか、不招請勧誘禁止を導入する必要がないのか、など被害実態を調査するため、全国で一斉に「先物取引被害110番」を実施するものです。

以 上

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