内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 その他 】

兄弟で相続したが、弟が相続税を支払わない。兄に支払い義務は?
遺産相続とそれに伴う相続税についてお聞きします。
昨年末に夫の父親が亡くなり、土地家屋やその他の財産を、私の夫と、夫の弟の2人が相続する事になりました。ところが夫の弟は定職を持たない遊び人で、あちこちに借金も抱えています。夫とも以前にお金の貸し借りでモメて以来仲も良くありません。すったもんだのあげく、夫が家と土地を相続し、弟はその他の財産を相続する事になり、ようやく落ち着きました。
ところが、最近になって税務署から連絡が入りました。弟が相続税を滞納しているので夫が代わりに払うように、と言うのです。びっくりして弟を捜したのですが、居場所不明で連絡も取れません。どうも借金に困っていた弟は、財産を処分して、借金を払ったものの相続税が払えなくて、姿を消してしまったようなのです。税を払うには、相続した土地を売却しなければならず、あんな弟のためにせっかく相続した財産を無駄にしてしまうのは、悔しくてなりません。こういう場合は、弟の代わりに相続税を払わなくてはならないのでしょうか。何か良い手だてはないのでしょうか。
相談者: 大阪府にお住まいの48才の女性
1.理屈でいえば、相続を受けた人が利益を受けるのであるから、相続を受けた分についてのみ相続税を支払えば良いのではないかという疑問が出ると思います。
しかし、相続税法は、連帯納付義務を定めています。
同法34条1項は、「同一の被相続人から相続又は遺贈に因り財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈に因り取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互に連帯納付の責に任ずる。」と定めておりますので、あなたのご主人の弟さんが負担すべき相続税について、あなたのご主人も連帯納付義務があることになります。
2.これについての実務の取り扱いを確認しましたところ、この規定は、極めて厳格に適用されているようです。
3.以上のとおり、まことにお気の毒ですが、税務署の言い分は理由があります。
4.なお、ご主人が支払った税金を弟さんに請求できるのはいうまでもありません。
出典: 土曜日の人生相談(1999年11月27日放送分)
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