内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 車両損害 】

高級外車に追突。同じクラスの代車を要求された。
「事故の補償」のことでご相談します。
先日私は車を運転中に事故を起こしてしまいました。うっかりよそ見をしていて、赤信号で停車中の前の車に追突してしまったのです。相手の方は自営業の男性で、高級外国車に乗っていました。
幸い私にも相手方にも怪我はありませんでしたが、相手の車に損傷を与えてしまいました。こちらが100パーセント悪い事故ですから、相手の車の修理費は、もちろん負担するうもりです。すると、相手は仕事で必要なので車の修理中に借りるレンタカーの費用も負担してほしい、と言うのです。これについても承諾するつもりなのですが、代車も同じ車種にしてほしいとのことなのです。高級外国車なので、レンタカー費用もずいぶん高くなってしまうのですが、この場合、代車の車種も相手の要求通りにしなければならないのでしょうか?
相談者: 大阪府にお住まいの32才の女性
事故の相手の仕事の性格上、高級外国車の使用が必要な場合には修理期間中の代車についても高級外国車のレンタカー費用を負担しなけれはならない場合がある。
貴方が事故によって相手方の車輌に損傷を与えた場合、その修理に必要な期間、相手方が代替車を使用する必要があり、かつ現実に代替車を使用した場合には、その使用料(レンタカーの費用)を相当な範囲内で弁償する必要があります。
事故の相手方が代替車の使用が認められるのは通常修理に必要な期間だけであり、それを超えて相手が代車を使用しても貴方はその代替車の使用料を負担する必要はありません。
また、事故の相手方が他に車輌を所有しているなど特に代替車を使用する必要がない場合には、現実に相手が代替車の使用をした場合でも貴方は代替車の費用を負担する必要はありません。
通常の事故の場合、相手方が代替車として使用できるのは、事故によって損傷の生じた事故車と同種、同年式といった同程度の車輌です。
しかし、貴方の事故の場合のように相手方の車が高級外国車のような場合については代車費用が高額になりますので、相手方が無条件に事故車と同様の高級外国車の代替車を利用できるものではありません。
判例も事故車と同様の高級外国車を代替車として使用しないと仕事の性格上、社会的信用を失う等の不都合が生じる等の事情がない限りは、高級外国車の代替車の使用を認めず、国産車の高級車の代替車使用しか認めなかった例がいくつかあります。
よって、貴方の場合には相手方の仕事が高級外国車に乗っていなければ仕事に支障が生じるような職種でない限り、高級外国車の代車費用を負担する必要はなく、国産車の高級車の代車費用程度を負担すれは足りると考えられます。
出典: 土曜日の人生相談(1999年6月19日放送分)
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