内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 保証人 】

連帯保証をはずす方法はありますか?
借金の保証人のことで相談があります。
私は、ある飲食店の店主をしています。阪神・淡路大震災で、同業の店の多くも壊滅的な打撃を受けました。
当時、同業で仲良くしていた店主のA氏が、被災者の生活再建を目的に設定された「災害援護資金」を借り入れようとして、私に保証人になるよう要請してきました。
「震災前にあった店を一旦売り、その入金があるまで一時的に借りる予定だから、すぐ返済できるし、迷惑は絶対にかけない」というA氏からの説明があり、震災時の混乱を気の毒に思う気持ちもあって、保証人を受け入れました。
しかし蓋をあけてみると、A氏は借り入れたお金を別の借金の返済に充ててしまっており、「災害援護資金」の返済メドが全く立っていないようです。一生懸命働いている様子もなく、そんな状況なら、私も迷惑をかけられたくありません。
こういった場合、A氏の保証人をはずしてもらうことはできないでしょうか?
また被害が私に及ばない、良い方法があれば教えてください。
相談者: 大阪府在住・匿名希望の男性(43歳)
お気の毒ですが、ご相談のような事情であっても保証人をはずしてもらうことは出来ません。保証人とのことですが、実際は連帯保証人だと思いますので、以下、連帯保証としてお答えします。
いずれにしても、災害援護資金を貸し付けた公共団体が同意してくれれば可能ですが、同意することはあり得ないでしょう。
もともと保証人というのはお金を借りた人(これを主たる債務者と言います、今回の場合はA氏)が支払えない場合の担保ですから、お金を貸すほうとしては、借りた人に返済のメドが全く立っていない今回のような場合に備えて保証人を立てているわけです。
ですから、迷惑をかけられたくない気持ちはわかりますが、一方的に保証人をはずしてもらうことはできないのです。
次に被害が及ばない方法ですが、これもそんな方法は原則としてないと考えたほうがいいでしょう。お金を借りたA氏が弁済期をすぎても返済しない場合は保証人に請求が来ます。今回の場合はA氏には返済の意思がなさそうなので、あなたに請求が来るでしょう。
そして普通はあなたが返済した後で、そのお金をA氏に返還するよう請求することになります(これを求償と言います)。
ただ、あなたはA氏の依頼を受けて保証人になったわけですから、このような場合は、あなたは災害援護資金を貸し付けた公共団体に返済する前に、予めA氏に対して返済した場合のお金を請求できます(これを事前求償と言います)。もしA氏が応じない場合は裁判をして、まだA氏の震災前からあった店が売られていない場合にはこの店を、売られてしまった後は、その代金を差し押さえることも可能です。
災害援護資金の貸付は低利ですし、貸主は公共団体ですので、弁済期を過ぎても、それほど利息は増えないし、厳しい取立てもされないでしょうから、あなたとしては、まず災害援護資金の返済をする前に、A氏に事前の求償(返済した場合のお金の請求)を求める方法がいいと考えます。ただこの方法をとる場合には、あなたも災害援護資金の返済金の準備はしておく必要があります。
詳しくは弁護士に相談してください。
出典: 土曜日の人生相談(2003年1月11日放送分)
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