内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 新法解説 】

家電リサイクル法について
家電リサイクル法について教えてください。
4月1日(明日)から新しく家電リサイクル法が施行されると聞きました。ご近所で「早い方が得や」と言って、テレビを買い替えた人もいました。新聞やテレビなどで、いろいろ報道されているのですが、もうひとつよくわからないのでわかりやすく教えてください。
また近所には空き地があって、そこには古いテレビや、洗濯機などがよく捨てられているのです。今後はそういう粗大ゴミ捨てが増えるようで心配なのですが、不法投棄などの罰則は変わらないのでしょうか?
相談者: 兵庫県在住の女性(46才)
1.マスコミ報道ですでにご存じの方が多いと思いますが、明日4月1日から、新しく家電リサイクル制度がスタートします。
これによって、目に見えて変わってしまうのが、一定の家庭電化製品については、粗大ゴミの収集場所に出しても、持って行って貰えなくなる、すなわち、粗大ゴミに出せなくなることです。
消費者が、古くなった一定の電化製品を処分するためには、リサイクル料金と収集運搬料金を負担する義務を負担することになったのです。
2.今までは、家庭から出てくる、古くなった家電製品は、一般廃棄物として市町村が処理してくれておりました。市町村による廃棄物処理が、これまでの大量生産、大量消費を支えてきた一面がありました。
しかし、ご存知のとおり、わが国・日本は、資源に乏しい国です。古くなった製品の中に存在する資源を有効利用する必要が叫ばれてきました。また、大量のごみ処理には「処理場の確保」が大変ですし、フロン問題、ダイオキシン問題等、公害発生の問題も経験してきました。
このような「資源再利用の要請」と「廃棄物処理に伴う様々な問題の抑制」という観点から、廃棄物の発生を少なくする事が非常に重要だと考えられました。
そこで、一定の家電製品について、古くなった物をリサイクルする制度が作られた訳です。
3.「一定の家電製品」と言ってきましたが、具体的には、政令(政府が決めた規則)で、次の4つの物が決められています。
(1)エアコン(ウィンドー型エアコンや、室内ユニットが壁掛け型か床置き型のセパレート型エアコン)
(2)テレビ(ブラウン管方式の物)
(3)冷蔵庫
(4)洗濯機
これ以外の家電製品は、従来通り、粗大ゴミに出すことができます。
4.リサイクルの対象とされた、これら「4品目」についてはメーカー、小売業者、消費者が、夫々にリサイクルの為の負担を負わせられることになりました。
小売業者は、過去に自らが販売した対象商品(対象4品目の機器)の引取り業務と、買い替えの際に消費者から引取りを求められた対象商品にっいての引取り義務を負います。
メーカーや輸入業者は、これらの対象商品を小売り業者等から引き取って再商品化する義務を負います。
そして、私達消費者は、リサイクルの為の一定の費用を負担する義務が負わされることになったのです。
5.消費者が負担する事になる金額については、リサイクル・収集・運搬を効率よく行った場合の費用の原価を上回らない範囲で、抑え目に決められることになっていますが、現在までのところ大手メーカーが設定しているリサイクル料は、
エアコンが、・・・3500円
テレビが、・・・・2700円
冷蔵庫が、・・・・4600円
洗濯機が、・・・・2400円
程度のようです。これ以外に、1000円〜2000円の収集運搬費用の負担が消費者に掛かってきます。
6.このように、対象家電製品を廃棄するためには何千円かの費用が、消費者に掛かるようになったのですが、これは、これからは避けて通れない「循環型経済社会」の道を歩むための必要経費と考えて頂く必要があります。
ところが、残念なことに、相談の方がご指摘されるように、対象4品目の「不法投棄」が増えることも心配されます。
間違って不心得を起こさないよう、平成12年中に廃棄物の不法投棄に対する罰則が改正され、懲役刑が引き上げられました。すなわち、通称「廃棄物処理法」という法律が「みだりに廃棄物を捨てた者」に対する刑罰を、これまで「3年以下の懲役と1000万円以下の罰金」と決めていたのですが、これを「5年以下の懲役」と1000万円以下の罰金に改正されました。
7.消費生活の形態が確実に変化しつつあることを、国民全体が認識せざるをえない時期が来ているのですね。
出典: 土曜日の人生相談(2001年3月31日放送分)
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