民法207条では「土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ」としていますので、原則として所有権自体は上下無制限に及んでいます。 そして民法206条では「所有者は法令の制限内において自由にその所有物の使用、収益及び処分を為す権利を有す」と定めています。 それではこの法令の制限にはどのようなものがあるでしようか。本件のようなケースでは建築基準法・都市計画法がそれにあたります。 ご指摘のように、地上建物の高さ制限は都市計画法により用途指定に応じてそれぞれの高さ制限を設けることにしており、これを受けて各地の条例により具体的な制限を設定しています。 では地下の深さ制限はどうでしょうか。実は深さ制限は全くないのです。では相談者のように自由に地下室を設計できるのでしょうか。まずここにいう地下室ですが、床が地盤面より下にあり床面から地盤面までの高さが天井までの高さの3分の1以上のものを地階といいます。そして建築基準法29条では「住居の居室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」としていますので、防湿等の基準をクリアしなければなりません。またその他居室として認められる条件として、採光と換気があり、具体的には地下の居室の前にからぼり(ドライエリア)を設ける必要があるのです。従ってあまり地階を深くしすぎると、採光の点から居室とは認められなくなります。駐車場であれば採光・換気の点は考慮せずに設計できます。また土地にはその用途に応じて建ぺい率が定められており、建物の床面積にも限界がありますので地下ばかり広くすると地上部分が狭くなってきます。 以上から今回の相談の回答としては、住居の居室としての地下室は地下1階までが限界であり、実際にはいわゆる半地下構造にすることがよいと思われます。
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出典:
土曜日の人生相談(2001年3月10日放送分)
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