1.「特別養子縁組」というのは、実の親との親族関係を終了する養子縁組のことです。 通常の養子縁組の場合、実の親子関係は存続します。つまり、通常の養子になった者には、実父と実母及び養父と養母と、親が4人できることになります。逆にいうと、養子になっても実の親との関係にはなんら変化はないのです。ですから、たとえば実父が亡くなった場合でも相続権はありますし、法的には実母の扶養義務もなくなりません。通常の養子縁組をすると、従来からの実の親との親族関係はそのままで、新たに養親との親族関係が追加されるというわけです。 2.しかし、それだと親族関係がややこしくなったり、養子の負担が大きくなりすぎたりといった弊害があるので、一定の要件があるときは、家庭裁判所の審判によって、実の親との親族関係を終了させて、以後は養親との親族関係だけにする養子縁組ができるようになりました。これが「特別養子縁組」です。もともと通常の養子でも、相続分や扶養義務の点では実子と全く同じ扱いですから、特別養子と通常の養子の違いは、実の親との関係を終了させるかさせないかといえるでしょう。 3.ただ、特別養子は血のつながった実の親子の関係を切断するのですから、厳格な要件が設けられており、その要件に該当するかどうかを必ず家庭裁判所が判断しなければなりません。その要件とは (1)養親は配偶者のあるもの(独身はダメ)であって、夫婦とも養親となること。 (2)養親の一方の年齢が25歳、他方は20歳に達していること。 (3)原則として、養子の年齢が申立時に6歳未満であること。 (4)原則として、養子の実父母の同意があること。 (5)実父母による監護が著しく困難または不適切であることその他特別な事情がある場合において、子の利益のため特に必要であると認める事情があること。 です。具体的な例では、実の親が事情があって育てられないので、乳児院に収容されている子を、子供のできない夫婦が里親として引き取る場合などがあります。 4.そこで、養親となりたい者は、養親となる者の住所地の家庭裁判所(徳島県にお住まいなら徳島家庭裁判所)に、養親となる者の戸籍謄本と住民票、養子となる者及びその実父母の戸籍謄本を持って行き、「特別養子縁組申立書」を出してください。申立費用は収入印紙(養子1名につき)600円と郵便切手代(1,000円弱)です。それにより、家庭裁判所が「縁組成立の審判」を開始します。審判というのは、簡単に言うと家庭裁判所が行う裁判のようなものですが、非公開です。家庭裁判所は、審判の期日に養父母になりたい人や養子の実父母等の話をよく聴いて、上述した要件にあてはまるかどうかを判断します。要件にあてはまると判断した場合は、「特別養子縁組を成立させる審判」(判決のようなもの)を出します。反対に要件にあてはまらないと判断した場合は「申立却下審判」を出します。 5.そして、「特別養子縁組を成立させる審判」が出て、確定した時は、確定した日から10日以内に役所の戸籍係に「特別養子縁組届」を出して、戸籍届出をしてください。
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出典:
土曜日の人生相談(2001年2月24日放送分)
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