内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 通信販売 】

インターネットで通信販売を行う際の注意点
インターネットでの通信販売についてお聞きします。
世間ではインターネット・ビジネスが流行っているようで、私と妻も、趣味を生かしたアジアグッズの輸入雑貨店をインターネットのホームページ上に作って、サイドビジネスを始めたいと考えています。
東南アジア旅行が趣味の妻が現地で商品を買いつけ、その商品をホームページで紹介し、電子メールで注文を受け付けて、商品を発送、代金は銀行口座に振込み、という通信販売になるのですが、こういう場合は「訪問販売法」の適用を受けると聞きました。
そこで伺いたいのですが、ホームページを作る上で、どんなことを表示しなければならないのでしょうか。
また、輸入した食品を販売するには、どんな手続きがいるのでしょうか。
相談者: 大阪府にお住まいの男性(32才)
1.本件における表示の問題
訪問販売等に関する法律(訪問販売法)は、通信販売広告をする場合の表示義務を定めています。この通信販売広告というのは、販売業者等が通信手段により申し込みを受けて商品の販売等を行うことを意図していると認められる広告のことをいいますが、広告の方法の如何を問いません。したがって、新聞、雑誌に掲載される広告のみならず、ダイレクトメール、テレビ放映、折り込みチラシ、インターネット上のホームページ、パソコン通信、電子メール等において表示される広告も含まれます。
但し、訪問販売法の適用を受けるのは、販売されるのが「指定商品」である場合だけです。そして、「指定商品」とは国民の日常生活にかかる取引において販売される物品であって政令で定められています(別表)。もっとも、アジアグッズが具体的にどのようなものかがわかりませんが、指定商品はかなり広範に定められていますから、ほとんどが該当するのではないかと思われます。
そこで、販売品が指定商品に含まれるとして、表示が義務づけられているのは、以下の事柄です。
(1)商品等の販売価格(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)。…「送料実費」といった表示は許されません。
(2)商品等の代金の支払時期及び方法。
(3)商品の引渡時期もしくは権利の移転時期。…「O月O日まで」とか「O日以内」のように、明確に表示しなければなりません。
(4)商品の引渡もしくは権利の移転後におけるその引き取りもしくは返還についての特約に関する事項(その特約がないときは、その旨)。…返品特約は、必要的記載事項であり、返品できない旨の表示がない場合には、返品は可能です。
また、返品できない旨の表示がなされている場合でも、商品に欠陥がある場合などは返品出来ます。
(5)販売業者の氏名または名称、住所及び電話番号。
(6)販売業者が法人であって、通信機器または情報処理の用に供する機器を利用した広告(インターネット等)をする場合には、当該本場異業者の代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名。
(7)申し込みの有効期限があるときは、その期限。
(8)送料の他に負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額。
(9)商品に隠れた瑕疵(欠陥)がある場合の販売業者の責任についてその定めがあるときは、その内容。
(10)商品の販売数量の制限その他の特別の商品もしくは権利の販売条件があるときは、その内容。
(11)広告の表示事項の一部を表示しない場合であって、カタログや説明書の書面を請求した者に当該書面にかかる金銭を負担させるときは、その額。
但し、こんなにたくさんの情報をホームページに表示することは困難でしょうから、一部を表示させないことが出来ます。その場合は、消費者の請求により前記がすべて記載されたカタログや説明書を遅滞なく交付する旨の表示をしなければなりません。
なお、近年インターネットを利用してオンラインで通信販売を行う事業が増加し、これに伴い広告表示の不備等により消費者苦情も増加しています。そこで、通商産業省では、インターネット・サーフデイを実施し、インターネット上で通信販売を行っている事業者のホームページを、訪問販売法で定められている表示事項が表示されているかどうかをチェックし、表示事項がすベて満たされていない事業者に対し警告及び訪問販売法の省令改正により新たに表示事項が追加された旨を電子メールにより通知しています。
2.本件における輸入食品販売について
食品衛生法は、販売の用に供し、または営業上使用する食品、添加物等を輸入しようとする者は、厚生省令の定めるところにより、その都度厚生大臣に届け出なければならないと定めています。
そのほか、表示をしなければならないなど細かい規定がありますので、厚生省もしくは都道府県の担当部にお問い合わせをなさったほうがいいと思います。
出典: 土曜日の人生相談(2000年7月29日放送分)
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