内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 ペット 】

飼っているペットを管理しない人がいて困っている。
ペットの管理責任についてお尋ねします。
我が家の近所なのですが、犬を5匹も飼っている人がいます。
ペットとして可愛がっているなら問題ないのですが、その人は犬たちを散歩に連れて行くこともなく、餌も満足に与えていないようなのです。飢えた犬たちが騒ぐので近所迷惑なのですが、その人は犬に「うるさい!」と怒鳴るばかりで、一向にちゃんと世話をしようとしません。噂では捨てられた子犬を拾ってきては可愛がるものの、大きくなると邪険に扱ってしまうようで、餌を与えずに死なせてしまったこともあるそうです。
うるさいので近所迷惑でもあるのですが、何よりも犬たちが可哀相で仕方ありません。知人に聞いたところ、このたび動物保護管理法が改正されて、動物愛護法になるそうですが、こういった場合に対応方法はあるのでしょうか?
相談者: 奈良県に住む女性(46才)
1.大阪弁護士会に聞きました。
まず、動物愛護法について簡単に説明します。
正式名は「動物の愛護及び管理に関する法律」で略して動物愛護法となります。この法律の前身が「動物の保護及び管理に関する法律」で略して動物保護法でありました。表現だけを見れば保護と愛護の違いになります。さて動物愛護法は本年12月施行に向けて昨年12月に成立しました。この法律は動物の飼主責任を明確にし、愛護動物をみだりに殺したりすると「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられるという刑罰規定が強化されたことにあります。
ただ、現時点では改正前の動物保護法が適用されますので、注意して下さい。そして以下では愛護法が施行された後のこととしてお答えします。
2.さて、質問は、5匹の犬が可哀想で仕方ありませんということですが、餌を満足に与えないということまた餌を与えずに死なせたこともあるということですと、動物愛護法27条2項の問題となります。そこには「愛護動物に対し、みだりに給餌(きゅうじ)又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐侍を行った者は、30万円以下の罰金に処する」と定められていますので、餌をやらずに死なせたとすれば正にこの規定に触れることになります。そうしますと刑事事件となりますので、警察に通報して刑事事件として捜査をしてもらうことが可能となります。
したがって、一度最寄りの警察署に行かれてはどうでしょうか。餌を与えれば犬もおとなしくなるでしょう。
尚、現行の保護法においても保護動物を虐待すれば3万円以下の罰金又は科料に処せられますので警察暑への通報は可能です。
3.愛護動物という言葉が出てきましたが、法律は「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる。そして、これらを除くほか、人が占有している動物でほ乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」を愛護動物と定めました。爬虫類にまで拡大したことが特徴的です。
法律は愛護動物を遺棄した者に30万円以下の罰金を科していますので、公園の池に飼っていたワニを捨てに行くと罰せられることになるのです。
出典: 土曜日の人生相談(2000年7月15日放送分)
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