内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 ネットのトラブル 】

社用メールを私用に使って会社から注意
個人メールのプライバシー侵害のことで教えてください。
私が勤務する会社では、仕事で利用するために社員のひとりひとりに電子メールのアドレスが与えられ、使用しています。
私も仕事に使用しているのですが、この間、うっかり知人と私用のメールを交わしてしまいました。すると、会社のパソコンを管理している部署から「私用メールは慎むように」という注意メールが送られてきたのです。
私たちは知らなかったのですが、会社では社員の送ったメールの内容をチェックし、私用に使わないように管理しているようなのです。同僚にも、私用メールを出して同じように注意を受けた者がいたようです。
そこで、伺いたいのですが、確かに私用に使った私が悪いとは思うのですが、無断で社員のメールを読むことは、プライバシーの侵害にはならないのでしょうか?
相談者: 大阪府在住の男性(33才)
最近は、インターネットの普及により、E−mailを使って取引先と連絡を取ったり、社内の情報交換を行うため、社員各自にコンピューターやメール・アドレスを貸与している企業も多いようです。企業からすれば、仕事のためにコンピューターを貸与し、メールを使用させているわけですし、また、勤務時間中に私用メールを行っていて、時間を浪費されたのではたまらないと考えるでしょう。
一方、社員側からすれば、家族や恋人、友人との私的な内容のメールを会社が「のぞき見」することは許せない、プライバシーの侵害だ!と考えるはずです。
ところで、プライバシーとは、我が国の憲法上認められた個人の権利であり、簡単に言ってしまえば、私生活をみだりに公開されないという権利です。また、会社と社員といった私人同志の間でも一定の範囲で憲法の適用は認められています。
したがって、会社が社員に内緒で、その承諾なく、メールをチェックすることは、やはりプライバシーの侵害にあたります。
もっとも、会社が事前に、たとえば、コンピューター貸与の条件として、私用メールを禁止することは、雇用関係にある当事者間において、一定の合理性を有する以上、許されるものと考えられ、このような場合には、会社が社員の私用メールをチェックしたとしても、プライバシーの侵害にはあたりません。
ご質問のケースでは、会社が私用メールに関して、事前に明確に禁止していなかったにもかかわらず、勝手に社員の私用メールをチェックしていたということですから、結論として、会社によるプライバシーの侵害があったものと考えられるわけです。
出典: 土曜日の人生相談(2002年4月6日放送分)
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