内容の根拠になる法律は放送された時点のものであり、その後法律が改正されている場合があります。掲載内容はあくまでも、参考にとどめていただき、実際の対応については弁護士に相談されることをお勧めします。

 【 保証 】

保証人は辞められる?
保証人契約の解除についてお聞きします。
私は大阪市内の会社に勤めるサラリーマンですが、10年ほど前に、高校時代からの友人に頼まれて、彼の保証人になりました。彼は昔から仲の良い親友で、「事業を始めるので、ぜひ頼む」と言われて、断れなかったのです。
妻は以前から「保証人なんか危ないからやめさせてもらいなさい!」と言っていたのですが、この10年ほどは、彼の事業も順調だったので、私もさほど気にかけずに過ごしてきたのです。
ところが最近になって、彼が「資金繰りに苦しんでいるらしい」という噂が聞こえてくるようになり、私も不安を感じるようになりました。私も家族を抱えてリストラの不安におびえる日々を送っており、万が一彼の債務を肩代わりしろと言われるのではと不安です。
そこで伺いたいのですが、一度なった保証人の契約を解除することはできるのでしょうか。またその手続きはどうすればいいのでしょうか。
相談者: 大阪府在住の男性(37才)
保証人から保証契約を一方的に解除することができるか否かは、保証契約の内容によって結論が異なります。
1.まず、住宅ローン等のように、債務額や返済期限が定まった特定の債務について保証をした場合には、原則として、保証人から保証契約を一方的に解約することはできません。代わりの保証人を立てる等して、従来の保証人が保証契約から離脱することについて、債権者の承諾を得る必要があります。
2.これに対して、主債務者の現在負担する債務だけでなく、将来発生する債務についても包括的に保証をする場合があり、そのなかにも、保証期間や保証限度額を定めて保証する場合と定めない場合とがあります。このうち、保証期間、保証限度額の定めのない包括的保証については、保証契約締結後相当期間が経過した後であれば、その解約によって債権者が信義則上無視できないような損害を被るといった特別の事情がない限り、保証人から一方的に解約をすることができるとされています。保証人の主債務者に対する信頼関係が著しく害され、解約申し入れに相当の理由があると認められる場合も、一方的解約が可能であるとされています。
3.これは、特定債務の保証や、保証限度額・保証期間を定めた包括的保証の場合、保証人の責任が当初の予想を超えることがないのに対し、保証限度額も保証期間も定めない包括的保証の場合には、保証人の知らない所で主債務者が借入れ等を重ね、保証すべき債務の額が保証人の当初の予想を著しく超えてしまうことがある得るからです。当初の予想の範囲内であれば長期間経過後も保証責任を負うことはやむを得ないが、一旦保証契約を締結したとはいえ、時間的、金額的に無制限の保証責任を負わせ続けるのはあまりに酷だと考えられているのです。
したがって保証期間や保証限度額の定めのある包括的保証については原則として一方的解約はできません。しかし、保証期間が不当に長い、保証限度額が不当に大きいなど、保証期間、限度額の定めのない保証と実質的に変わりない場合には、相当期間経過後に保証人が一方的解約をすることは可能だと思われます。
4.解約は、保証人から債権者に対して保証契約解約を通知することです。口頭の通知も有効ですが、「申し入れた」「いや聞いていない」といった争いを避けるためには、内容証明郵便で通知することをお勧めします。
5.ただし包括的保証の解約の場合、全ての債務について保証責任がなくなるわけではありません。解約した時点で主債務者が既に負っている債務については、引き続き保証債務が残りますので、注意をして下さい。
出典: 土曜日の人生相談(2001年7月14日放送分)
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