1.今すぐに返済してもらうのは、無理なようです。 2.ご相談のような場合の「念書」は、あなたがお金を貸したという事実を証明する証拠となるもので、その意味で大事な書面です。 3.ご質問の効力という点ですが、仮に「念書」がない場合でも、あなたが取引先の企業の社長にお金を貸したという契約、すなわち、返してもらえるという権利は生じています。従って「念書」がない場合でも、あなたはお金を返すようにと請求はできます。 但し、借りた相手方が、お金を借りたことを認めていれば問題はありませんが、もしも相手方が借りたことを認めない場合、裁判所でこちらの主張を認めてもらうために、苦労することになります。そこで、最初にお話ししたように、「念書」という書面は大事な意味をもつものといえます。 4.ところで、あなたが200万円を、取引先の企業の社長に貸して、「念書」を書いてもらったとのことですが、誰に貸したことになるのでしょうか。 ご相談の内容からすると、多分その社長個人に貸され、「念書」もその社長個人が署名・押印されたものと思われますが、そのことは、社長個人に請求できるのかどうかの重要な点となります。その社長が経営している会社に貸したというのであれば、社長個人には請求できないことになります。但し、「念書」に、社長個人もいわゆる「連帯保証人」として署名・押印しているのであれば、「連帯保証人」の責任として、社長個人に返済を求めることができます。 5.社長個人に対して、法的に請求ができるとしても、ご相談のように「無い袖は振れぬ」と言われれば、仮に裁判をされて勝訴しても、お金を取り戻すことは事実上、難しいことになります。 お金の返済という点の方法としては、 (1)少しずつでも良いと考え、分割での支払いの約束をし、その内容を書面にして、任意の履行を期待する。なお、社長とは20年来とのことですので、その奥さんともお知り合いでしょうし、分割返済について奥さんも責任をもってもらう(例えば、連帯保証人)方向での話をすることを考えられては。 この場合、分割返済が滞ったときには、その時点で裁判を出すかどうかを考えることになります。’ (2)現時点で裁判を出して、勝訴判決を得て、社長個人の再起をまって時間をかけて回収を図る。なお、裁判に相手方が来て、裁判所で分割返済の和解が成立する可能性もあり、この場合、分割返済が滞っても更に裁判を出す必要はありません。 ちなみに裁判の費用は、印紙・切手等の費用として約2万円、弁護士に依頼されると事件を開始する際に、着手金として金16万円(大阪弁護士会報酬規定の標準額)の費用が必要となります。
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出典:
土曜日の人生相談(1998年5月30日放送分)
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