大阪弁護士会について

令和8年度 役員就任のご挨拶

役員集合写真

はじめに(スローガンに込めた思い)

 現在、法曹人口の増加やAIの台頭により、弁護士を取り巻く環境は激変しています。法科大学院の志願者は、2024年は1万3500人と減少の一途からは脱却していますが、2005年の4万1700人には遥かに及ばない状態のままです。
弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とされ、AIや他業種にはない崇高な使命があります。この使命を持った弁護士は、それ自体が社会インフラを形成し、その使命に見合った絶対的価値を確立しなければなりません。
この価値の確立は、会員の地位向上だけが目的ではありません。会員が疲弊し、法曹志願者が減少するなどの業界の弱体化は、将来的に弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現の責務を果たせなくなる危機に直結することになります。
そこで、もう一度、真正面から弁護士の社会的価値の確立を令和8年度の目標とし、社会における絶対的価値を「誇り」として胸に持ち、その「誇り」を持った弁護士が依頼者と共に問題の解決を図ることでその使命を実現すべく、これをスローガンとしました。

Introduction to the Officers

会長

会長

中井洋恵

Hiroe Nakai

副会長

宮下 幾久子

Ikuko Miyashita

副会長

豊島 ひろ江

Hiroe Toyoshima

副会長

坂川 雄一

Yuichi Sakakawa

副会長

小坂田 成宏

Narihiro Osakada

副会長

中森 俊久

Toshihisa Nakamori

副会長

尾島 史賢

Fumitaka Ojima

副会長

堀田 裕二

Yuji Hotta

公式キャラクター

リーガリュー

社会の羅針盤を使命に

 現在、日本は経験したことのない変化の中にあります。歴史上まれにみる速度で進む少子化の下、簡単には従来の右肩上がりの社会を望めなくなっています。国内が縮小する中、世界に目を向け展開していくグローバル化が進み、また、世論形成が、新聞、テレビ等の従来型メディアによらずSNSの中で行われています。
他方、世界に目を向けると、平和に関して、理性や話し合いによる解決ではなく、武力による紛争解決を選択する傾向にあります。
このように経験したことのない事態において、社会が指標を失っているとき、弁護士の絶対的価値を確立するためには、弁護士こそが社会の羅針盤としての使命を果たす必要があります。

女性活躍支援

 令和8年度は大阪弁護士会で初めての女性正副会長3名体制となります。
男女共同参画推進本部が掲げた役員における女性比率はひとまずクリアしたことになりますが、これを持続できるよう、また男女の収入格差の問題にも取り組み、弁護士会内にとどまらず、女性が活躍できる社会の羅針盤になるよう取り組んでまいります。

社会問題への積極的なコミット

 弁護士、弁護士会が社会の羅針盤としての役割を果たすため、以下の点において、時宜を得た迅速な社会への対応が必要となります。

①憲法の重要性の再認識 憲法は、言うまでもなく国家存立の基盤となる重要な法規です。その憲法の意義を再認識すると共に、その重要性を改めて社会に周知する必要があります。

②人質司法、再審法改正等の問題へのコミット 大川原化工機事件等の冤罪事件が起こらないよう、弁護士会を挙げて、この問題に取り組むべきです。これは市民社会の問題であって、決して他人事ではありません。

③改正家族法施行への対応の検討 令和8年4月1日に改正家族法が施行となります。この改正により、離婚後に父母双方を親権者に指定できることになるため、親権の共同行使についての実例の積み重ねとその分析・検討が必要となります。このほかにも養育費債権が先取特権として優先権が付与されたり、法定養育費制度が定められたりします。制度の変更や事件数の急増等により混乱しないような体制の構築を検討する必要があります。

④大規模消費者事件等被害発生時の対応 弁護士会において、大規模消費者事件等の被害発生時、即座に対応できる仕組の構築を考えています。

⑤行政連携 大阪弁護士会では、令和7年度に大阪市との包括連携協定を締結したほか、従前から空家対策・財産管理制度等に関するプロジェクトチームを設立するなどして行政連携に取り組んでまいりましたが、行政と連携することによる法的ニーズの掘り起こしはまだまだ可能であると思われ、令和8年度もこれまで以上に推し進めていく必要があると考えています。

⑥時事問題の法解釈の提供 日々発生する社会問題やニュースに対し、法律専門家としての法解釈を提供することが必要であると考えます。

社会の公正維持への貢献

 現在、大阪弁護士会において行っている第三者委員会組成支援事業に加えて、ハラスメント委員会、外部窓口担当弁護士等独立性・中立性を要する機関の設置を求める企業、団体等への紹介名簿を作成し、社会の公正を維持することへの貢献は必須です。また、これらの制度自身のあるべき姿を追求することも必要です。

市民に利用しやすい弁護士

①弁護士情報の開示 弁護士を市民にとって「利用しやすい存在」とするため、弁護士情報の開示の検討が必要です。また、弁護士情報の開示によって、弁護士自身も開示情報を充実させるために自己研鑽が求められることになります。その相乗効果を目指します。

②専門分野の習得とその支援 複雑化する社会において弁護士による専門分野の習得は市民のニーズに合致します。弁護士会としても専門分野の習得を推奨して支援を行い、他業種にない高いプロフェッショナルとしての地位の確立を求めていきます。

③総合法律相談センターの活性化 同センターは弁護士会が市民に対して直接提供する重要なサービスです。相談先が分からない市民に働きかけ、気軽に相談できて、満足度の高いものにしていきます。

委員会活動・人権擁護活動等の広報

 弁護士会の人権擁護活動は他に類を見ないものです。令和7年度の日弁連人権擁護大会でも、多数の会員が全国から一堂に会して熱心に人権擁護活動に取り組む姿は、弁護士でしかできないものであると感動しました。このような活動を社会に広報して、弁護士や弁護士会の活動への理解を深めていきたいと思っています。

災害発生時等に対する法的支援

 災害が発生した直後は支援物資が必要となりますが、それが落ち着くと、今後の生活が不安となり、その際に法律相談等の法的支援が必要となります。災害発生に備えて、いつでも法的支援が行えるような体制を整えます。

中小企業に対する法的支援の拡充

 中小企業・NPO法人等支援センターでは、法律相談、講師派遣に加え、「中小企業の健康診断」により、中小企業において潜在的に抱える法的課題やリスクをチェックシート形式で確認し、法的紛争を未然に予防するための活動を行っています。また、同センターでは、創業、事業承継、海外案件、知的財産権、事業再生といった分野に特化した弁護士紹介事業も行っています。こうした活動を中小企業の経営者等に幅広く認知してもらい、活用していただくことで、大阪を支える中小企業に対する法的支援をさらに充実させます。
また、昨今は「ビジネスと人権」が世界的なテーマとなり、企業において人権方針の策定や人権デュー・ディリジェンスの実施等の取り組みが求められていますが、こうした取り組みへの対応は、中小企業にも求められています。当会では、中小企業による「ビジネスと人権」への取り組みをサポートする体制をさらに充実させます。

国際化に対応した支援

 企業や市民の国境を越えたグローバルな取引や移動は年々増えており、日本に居住する在留外国人の数は令和7年には過去最高を更新しました。社会のグローバル化に伴い、国際的な紛争や国際家事の問題も増えており、適切な権利救済のためには弁護士の関与が求められます。こうした国際的なニーズに対応できる弁護士を紹介できる体制を拡充します。

法教育の充実

 法律を学ぶ者以外に法的なものの考え方などを教える法教育は、SNSなどにより世論が大きく動く世の中において、民主主義社会としての基本的な考え方を学ぶために必要であり、その重要性は増しています。また、弁護士が法教育活動を行うことにより、若い世代から弁護士に触れる機会が増えることで、法曹志願者の増加も期待できます。

弁護士の地位の安定化

 弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現の責務を果たすため、弁護士会の基盤及び弁護士の地位の安定化を図ります。

①弁護士会活動の安定化 現在、弁護士会活動の会員による偏在や継続性が問題となっています。
多くの会員が委員会をはじめとする弁護士会の活動に参加することの意義についての議論を、会全体で行う時が来ていると思われます。
委員会活動の成果を公表し、社会や会員に還元することも重要であり、それが活動の誇りになると思います。

②弁護士会の財務基盤の安定 弁護士会に求められる役割、社会的責任を果たしていけるよう、弁護士会の活動を支える財務基盤の安定に努めます。

③民事訴訟手続のデジタル化 令和8年5月21日に民事訴訟手続のデジタル化が全面施行されます。全ての会員がこれに対応できるよう弁護士会として必要なサポートの検討などに取り組んでいきたいと思います。

④弁護士の生活基盤の安定 昨今は、生活基盤が脆弱な弁護士も少なくありません。弁護士の価値の向上には生活基盤の安定も欠かすことができないものです。多数の会員の目に触れるよう情報提供を行い、安定した生活基盤を持つ業界を追求していきたいと思います。

⑤法テラスの報酬の増額等 令和8年度は法テラス設立から20年になります。現在の法テラス報酬は民事・刑事共に低廉であり、社会的にも、法的支援の拡充が求められているにもかかわらず、このままでは制度の維持が困難になるおそれもあります。よって、20年を迎えた機会に、民事・刑事の報酬の増額や貸与制から給付制へ制度の転換、および運用の改訂に向けた運動をすべきであると考えています。

おわりに

 私たちは、基本的人権の擁護と社会正義の実現のために、持続可能な弁護士、弁護士会の活動について、将来を見据えて考え、弁護士が社会において大きな信頼を得る存在であると共に、絶対的な価値を有する存在となるべく、その実現に向けて全力で会務に取り組んでまいりたいと思います。みなさまのご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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