弁護士って?
大阪弁護士会 会長×学生 座談会(毎日新聞:5月3日掲載)
【 参加者 】
山口 健一さん(大阪弁護士会会長/66歳)
畑佐 小晴(はたさ こはる)さん(高校卒業/18歳)
飯塚 共生(ともき)さん(関西学院大学神学部1回生/19歳)
山口 晶子さん(神戸女学院大学2回生/20歳)
~ 前 半 ~
── まずは、自己紹介を簡単にお願いします。
- 山口
- 神戸女学院大学の2回生です。最近、安保法制や立憲主義に関心もつまでは、大学の授業とバイトばかりしていました。
- 飯塚
- 関西学院大学の1回生です。神学部で宗教を学ぶ学部に入っています。高校時代に政治に熱心な先生がいらっしゃったこともあり、少しずつ興味を持つようになりました。
- 畑佐
- 今年の3月に高校を卒業したばかりです。美術の勉強をするために京都嵯峨芸術大学に進学します。高校時代から、ツイッターとかSNSで憲法のことについて活動をしている人たちを知って自分も活動してみようかなと思いました。
── 最初に日本国憲法との出会いを教えてください。
- 会長
- 私は、昭和24年生まれです。戦争が終わって4年後に生まれました。中学校の頃は第二次世界大戦の跡が、たとえば防空壕なんかが自宅の周りにいっぱい残っていました。戦争で死んだ人たちの墓、フィリピンやレイテ島で戦死した人の墓がたくさんあって、戦争を引きずっていた時代に育ちました。
そんな中で憲法については中学校の先生から教えてもらったのが最初でした。憲法の中で何が一番好きかというと、憲法の前文を感動して読んだことがあります。先生が前文を写して印刷してみんなに配ってくれました。あんな悲惨な戦争は二度としないよね、国って国民が皆で作るものだよね、外国の人と一緒に信頼して世界の平和を作っていこうね、と書かれていました。今でもあの前文を読むと感動します。あそこに日本国憲法の良さというのが一番あると思います。学生のみなさんは憲法とどのように出会いましたか?
- 山口
- 最初の出会いは小学校で、9条とか大事やでとか習ったけど、全然それを自分のこととは受け止めていなくて、ただの国にある決まりという受け止めでした。でも、高校の時に台湾と韓国に平和学習で行くきっかけがあって、韓国に行って慰安婦の人に会ったり、台湾で日本兵として日本に来たり各地に行っていた人の話を聞いた時に、戦争が近くなったというか、それから憲法を読んだら、全然見え方が違うようになって、日本は過去にこれだけの過ちを犯したからこの決まりができたんだな、主権は国民なんだな、ということがわかった気がしました。
- 飯塚
- 最初は教科書に載っている法律の一つで、法律の中で一番大事な法律、みたいなイメージを持っていましたが、自分からはすごくほど遠いものでした。その後、僕は実家が茨城県で中学2年生の時に東日本大震災を経験したんです。僕の家は震度5強も揺れて、福島からは距離としては遠かったけれども、近所の交差点がしばらく通行止めになったり、実家が幼稚園を経営しているのですけれど、そこで遊ばせることができなくなったりしたわけですが、何でこんなことが起きているんだろうということがずっとわかりませんでした。高校に入って政治や憲法に熱心な先生がいて、その頃に特定秘密保護法が持ち上がってきて、先生が興味がある人を集めて勉強会を開いてくださって、初めて憲法というものが自分たちに直接関わるもので、自分たちを守るものであり、自分たちが守っていかなければならないだというふうに変わっていったと思います。
- 畑佐
- 私も小学校の時に簡単に9条とかを習ったんですけど、どれだけ大切なことなのかなということはあまりわからなかったんです。最近それがすごく大切だなと思ったのは、やっぱり震災があって、震災以降から政治がどんどん変わっていって、憲法改正という声も出てきて、なぜ戦争をしないということや、私たちが主権者で基本的人権が守られるという憲法を変えるのだろう、と疑問に思い始めました。
- 会長
- 憲法に興味を持つきっかけが、僕は前の戦争だし、あなた方は福島原発や東日本大震災の話なんですね。やはり大きなことが起こった時に、人は政治のあり方や国のあり方を考えきっかけになるんですね。
── ではそんな日本国憲法と出会ってどのように評価されていますか。
- 会長
- 今年は日本国憲法ができて70年ということなんですが、憲法の前文に、3つの基本的な考え方、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重がきちんと書いてあるし、どう考えようかということも書いてあるんですね。日本の憲法、あんなふうに前文でこの国をどんなふうに作っていきたいと書いてある憲法は、他の国に比べても優れた憲法だと思っています。
この憲法ができた時、日本国民は絶対にもう二度と戦争しないと思ったし、人が人として扱われないような時代に戻りたくないと思った。だから政治にちゃんと関わり合っていこうねと思ったんです。ところが最近その意識がだんだん薄れてきている気がしますが、だからこそこの憲法は今輝きを増している気がします。憲法ができてすぐに文部省が『あたらしい憲法のはなし』という読み物を作ったんです。読んだことはありますか?あれを読むと今でも僕は泣きそうになります。
- 山口
- 私も、その『憲法のはなし』がすごく好きです。いつもスピーチを考える時に読み返す本です。憲法前文も家のトイレにも貼っています。日本国憲法を守っていかなければならないというのは実感としてすごくあって、集団的自衛権の行使を容認してしまったのは明らかに憲法違反だと思うし、福島の原発事故のこととか、今の政治家の発言とかを聞くたびに、憲法を読んでほしいなと思っています。
- 会長
- 憲法で好きな条文はありますか?
- 山口
- 私が一番好きなのは前文で日本のことだけではなくて他国のこともちゃんと気にかけているところがいいなと思います。
- 会長
- 前文を最初に見られた時にどんなことが書いてあるかというのはすぐにわかりましたか?
- 飯塚
- 難しかったです。だから授業の中で懇切丁寧に説明してくれる先生がいたことがきっと良かったのではないかと思います。そういう先生との出会いがあるかどうかも大きかったですね。僕は、時代遅れという言い方は好きじゃないけど、憲法にも変えていかなければならない部分はあると思っていて、例えば、男性同士、女性同士の恋愛だっておかしなことじゃないんだというのが広がってきた時にそういうところで少しずつ変えていかなきゃいけないところってあると思っています。全く同じ文言のままこれから先も守らなきゃいけないというのは違うと思います。でもやはり憲法にも絶対に変えちゃいけないものというのがあると思っています。
- 会長
- その大切なものというのはどんなものだと思いますか。
- 飯塚
- 僕は憲法13条の「個人の尊厳の原理」が一番好きです。僕ら一人ひとりが性別や仕事、年齢とか、能力に一切関係無く、ただ生きているという、それだけのことで一人ひとりが大切にされなきゃいけないんだというふうに語っている、この条文がすごく好きで、憲法の根底にあるべき考え方だと思います。
- 畑佐
- 私は、憲法があるから自分の意見が言えると思いますし、今笑って過ごせているのも憲法があるからだと思います。そう思えるのは、周りの環境が良かったのかなと思います。
── ところで最近になって「立憲主義」というのが話題になって、高校生や大学生も「立憲主義」ということを意識して使うようになっていますが、どうしてなんでしょう。
- 会長
- 実は以前は、憲法でも「立憲主義」ということはあまり意識的に議論しませんでした。当然の前提となっていて、むしろ立憲主義ということが意識的に使われてきたのは戦前の議会政治や大正デモクラシーのころでした。
憲法って一番上にある国の決まりで、その中でしかいろんな法律もつくれないし、政治もできないのは、戦後は当たり前にされてきました。ところが今、最上位の憲法の外に出て法律が制定され、政治がなされようとしているために、それは違うだろと言うことで「立憲主義」という言葉が意識されてきたんですね。戦後これまでは、憲法で追求しようとしている権利、あるいは憲法が目指そうとしている社会を、どう作っていくのかと考えていたのに、それを破り捨てて外にはみ出そうということに対して対抗する考え方として出てきたのだと思うんです。
- 山口
- 私は今の日本のことを考えた時に、少なくとも憲法に書いてあるところまでもっていきたい。今は憲法以下のスタートという感じです。憲法以上のものを求めるよりも、今ある憲法をまずは守ろうという考え方なんです。だから立憲主義って、民主主義以上に自分たちにとってできるだけ近いものに感じます。
- 飯塚
- やっぱり国とか政府とかって、本当に大きな力を持っていると思っていて、それを間違えた方向に行きかけた時に止める城壁みたいな役割ができるように、というのが立憲主義だと思っています。
- 畑佐
- 国民から政治家に向けて出しているものだと思いますし、意見を言う権利が守られているものだと思います。憲法ってすごく良いことを書いているのに、社会はそれに近づいていないなと私自身は思うので、立憲主義はそのためのものだと思います。
~ 後 半 ~
── さて、ここからは、そういう憲法や政治に関心を持つようになった未成年の皆さんが、今回、18歳から選挙権が認められることになって、初めての国政選挙があるわけですね。どう受け止めておられるんでしょうか。
- 山口
- 私は、これまでも家族が朝から晩まで働いていて、政治のニュースとかに目を向ける暇がないので、中学の時から私が選挙のたびどういう公約を言っているかとか、どういう過去があるかをずっと調べて家族3人に提供するという変わったことをしてきたので、自分が投票用紙に書けるという以外はあまり変わらないような気がします。
- 飯塚
- 僕はこの法律が無ければ今回の参院選の時点ではまだ選挙権が無かったんですね。だから僕にとってものすごく大きいです。17歳の時、「自分は選挙に行けなくて、この国の政治に関わる資格が無いのに、そこで決まったことには、どんなに嫌でも絶対に従わなきゃいけないという、この状況がすごく嫌だ」というふうに書いていたんです。きっと同じように思っている人たちがいっぱいいたと思うんですよ。同年代にこの波を広げていくということがすごく大事だなと思っています。
- 畑佐
- 18歳に選挙権が引き下げられたということに、周りのみんなも「何で引き下げたんやろ?」「高校生で政治なんて考えへんわ」という人がすごく多いです。でも私は、18歳も政治のことを考えられるし、その責任があると思っています。政治って日常や生活にも関わるし、自分の生活に反することがあったら、やっぱり私自身も嫌なので、絶対に投票には行きたいと思っています。でも周りの友だちが変わるかな?みたいな不安はすごく感じています。学校でも18歳選挙権の授業があったのですけど、授業の内容は、選挙活動で何をしたら違反かということしかやらなくて、全然おもしろくなかったんです。こんな授業では誰も選挙に行かへんわと感じました。
- 山口
- 私の周りは、「選挙行けるやん、ヤバイやん」という感じですね。自分にはその責任が伴っていないという自覚があるんだと思います。どこに入れたらいいのかもわからないし。でも「だから行かへん」じゃなくて、行ってほしい。最初から、自分で考えて、その政治家がどういうことをするかというところまで入れてから目を光らせて見ることはできないというのはわかっていても、選挙に行くことから始めていこうというのを伝えたいとは思います。
- 飯塚
- 私の周りは両極端です。一方では、大学で個人レベルの集まりで、毎週1、2回、10人ぐらいで集まって、政治のことだったり司法のことだったりいろんなことをシェアし合う会みたいなのがあって、そういうところではやっと待ってたという思いがすごく強いんですね。一方で、普段遊んでいる友達のところでは、選挙も政治もまず興味が無いんです。例えば、ニュースで「SMAP解散」とかってなったら、しばらくはその話題でもちきりになる。でも、政治関連で何かすごく大きなことがあった時に、友達と一緒にお昼ご飯を食べながら、例えば「あんな法案が通っちゃったね」という話をしても、誰もそれに対して興味を持ってくれない人もやっぱり多い。だからといって、そういう興味が無い人たちが20歳になったとたんに「20歳だ。よし、政治のことを考えよう」となるかといったら、ならないと思うんです。むしろ高校生とかという教育を受けられる立場にある時から、政治に関して関心を持って、選挙という一番手軽にできる政治への参加の方法を積極的にやっていくことが大事なんじゃないかなと思います。少しでも早い段階から興味を持ってもらうという意味で、高校生が選挙権を持つというのはすごく良い影響があるんじゃないかなと思っています。
── そんな不安もいろいろある中、18歳選挙権となったことを生かしていくにはどうしたらいいでしょう。
- 会長
- たしかに18歳になって急に選挙権が与えられたのでどうしようという戸惑いはあると思います。いきなり政治に関心を持つと言われても、投票に行こうと言われても、投票に行って何が変わるのよ、と。私が心配しているのは、今、選挙に行く人がどんどん少なくなっていることです。選挙権を持っている人の半分も投票に行っていないんですね。どうなってもいいの?とか聞くと、そんなことは思っていないのだけど、行っても仕方がないよねと言って、だんだんと飲み込まれていく。僕はやっぱり、中学校や高校の時に社会に起こっていることをみんなで議論しようよとか、最近の話でいうとベルギーのテロって、なんであんなことになるの?とかについて、みんなが関心を持てる時期は高校生だと思います。中学生・高校生の時って、まだ進路も決まらないし、自分に対する悩みもあるし、そんなことを抱えながら世の中のことも考えられる時期なので、その頃から政治を考えられる環境をつくるのが大人の責任だと思っています。
今、主権者教育という難しい言葉を文科省が言っているんだけど、要するに中学生や高校生に、世の中に関心を持ってもらうためにどうしたらいいの?ということがもっともっとあっていいと思います。そういう意味で、私たちは弁護士として、これまで「法教育活動」といって、中学や高校に行って、弁護士はこんな仕事をしているんですよとか、消費者被害に遭わないためにどうするか、DV被害に遭わないために、ということを、学校の授業に入れてもらってやってきました。これからは、その教材の一つとして、主権者とはどういうことか、立憲主義は、憲法で大切なことはという話にも、広げられないかなと思います。
- 山口
- 私は、選挙に行かない人は、主権者なのにこの国のことを考えていないんじゃないか、責任を持てよ、と思いがちですが、そうじゃなくて、生活の中で憲法が守られていなくて、みんなの権利が守られていないからこそ忙しすぎて、政治に関心を持つ暇もなくて、自分の数少ない休日に選挙に行くことができないという現状があると思っているんです。大学生も派遣等の仕事をしている人もみんなすごく忙しいんです。だから私は選挙に行かないと言ってこの国に責任を持っていないなんて批判できないんです、忙しい現状を知っているから。だから選挙に行こうというのも大事だけど、その人がどういう状況にあるかというのを寄り添って共感したいなというのがまず大前提にあります。奨学金を返すために一生懸命働いているアルバイトが忙しさの原因だったりするんですけど、なんでそんなに働かなきゃいけないのかというのが全部政治に直結していますよね。そう考えると、実は政治のことなんか考えられない余裕のない人が一番政治に近いんだなということを思っています。
- 飯塚
- 僕もこの夏、自分が選挙に行こうが行くまいが、僕のたった一票、小さな一票で結果が左右されるなんていうことはありえないというのはよくわかっています。でも、その人が選挙に行くことによって、その人が変わるというふうに思っています。政治に興味が無かった人が、とりあえず投票に行って誰かに投票してみた。で、後日、ニュースで見た時にその人が当選していて、政治をしていた、となった時に、この人、俺が投票した人だ、俺が選んだ人だ、ということで少し興味がでる。そこからその人がどういう活動をしているかを知るようになる。というところからどんどん広がっていくと思うんです。結果、それで国が変わらなかったとしても、自分が変わると。一人ひとりがそうやって変わっていけば、結果として国が変わるなというふうに思っているんです。
- 畑佐
- 投票に行っても意味が無いというのは諦めていることだと思いますし、私自身も、一人が行っただけでは変わらないと思っているんですよ。でも、たくさんの人が行けば変わると思いますし、どうすれば「意味がある」ことになるかを自分の生活に戻って何なんだろうということを考えてほしいです。やっぱり私たちには力があるということを一人ひとりが自覚していくということが求められているんじゃないかなと感じています。
- 会長
- みなさんの話をお聞きしていると、中学や高校の時からいろいろ考えてここまできた感じがするんですけど、振り返るとどんなことから社会や政治に関心を持つようになっていきましたか。
- 山口
- 私は、戦争を体験した人に会ったというのが大きいかなと思います。そこから憲法がわかって、そして政治が見えたという感じなんです。社会に興味があって憲法が見えたんじゃなくて、憲法に興味が持てたから、社会とか政治のあり方に目を向けられたという感じです。それと高校生活が寮生活だったんですけど、パソコンも携帯も無くて、読むものが新聞と本しか無くて、新聞って難しいじゃないですか。読んでいたら、政治・経済の先生が来て、これはわからないですと言ったら、それをすごくわかりやすく毎日説明してくれて、その3年間が私にすごく良かったのかなと思っています。みんなが集える廊下みたいなのがあって、そこに新聞が4社ぐらい置いてあって、それを見比べてみたりとか、いろんな記事を読んでみたりして、なんで書き方が違うんだろう?とか、いろんな疑問が新聞を読んでいると出てきて、ちょうど先生が通りかかって教えてくれる。先生は、考え方を教えてくれることはなくて、新聞の記事を簡単にわかりやすく要約してくれた感じです。
- 飯塚
- 僕の場合は、高校に入って、毎月一つの時事ネタをテーマにして、必ずレポートを書いてくるという授業があったからいろんなことに目を向けることができました。それから、高校の先輩が大学に行って国会議事堂の前でデモをしていたり、というのがラインとかで回ってきて身近に感じたこともあります。それを見て自分にとっても当たり前に思えました。
- 畑佐
- 私は公立高校だったからか、学校の中では何も教えてもらえなかったです。私の場合は、親が勤めていたのが障がい者の福祉現場だったので、小学校の頃から障害を持った人たちと関わるボランティアみたいなものに参加していて、そこにいる方たちから、福祉にかけるお金がどんどん削られていくという現実とか、そういう話を直接聞いていたので、今の社会はこれで良いのかなと考えるようになったのが大きいかなと思います。
高校では日本史とかの授業でも、そこは大事だろうということを詳しく教えてくれませんね。
- 飯塚
- 僕が私立の高校で一番大きかったと思うのは、先生がそれはちょっと過激な意見だろうという人もいたり、それちょっと違うんじゃないということを平気で言う先生がいたとしても、政治に関して自分の考えを言ってくれる人がいっぱいいるところにいると、その中から自分で考えることができたと思います。
- 畑佐
- でもそれができるというのは、すごく良いことだなと思います。
- 山口
- 私の学校は、授業は本当に普通でつまらなかった思い出しかないんですけど、何が良かったかというと、ご飯も三食一緒に先生と食べるんですよね。だから先生の個人としての人間性がすごく見えるから、先生の考え方がわかる。うちの学校には、過激すぎる先生はいなかったんですけど、わからないことに対しては真摯に向き合ってくれる先生だったのかなと思います。
── では最後に今日の話を聞かれてのまとめを会長にお願いしましょう。
- 会長
- 政治って、実は何かまとまったものがあるわけじゃないんですよね。高校生が社会の出来事に関心を持って考えてみたり、先生といろんな議論をしてみたり、あるいは外に出て行って何か行動をしてみたり、みたいなことが大事なんですね。
自分が何を考えているかということについて誰にも束縛されないのは当たり前だし、自分が何かを思った時に、それを表現するというか外に出して表すというか、そんな時に例えばデモがしたいという時には、それでやってみて当然のことなのだと思います。だから、18歳に選挙権を認めながら、外に出て行ってデモするのは規制するとかはおかしいですね。僕は、どう考えるのか、どう行動するのか、それをどう表現するのかって、全部授業でやっていいと思う。18歳や19歳、まだ大人になりきっていないから、何かちょっとそっちに行っちゃうと危ないからねと大人は説明するんですけど、けっしてそんなことはないはずなんですよね。私は、そんな高校生活であってほしいし、そこから政治に関心が生まれそうな気がするので、そんなことに関わり合いが持てる弁護士会だったり弁護士だったりでありたいです。さっきも言ったように、中学や高校で、憲法の話をしてみたいなと思うし、社会の様々な現実を見て、そこから憲法を読んでこんなことだったんだというふうに感じるような体験をしてもらえるようなことを、学校の先生とも協力して、弁護士会としてやっていきたいなと思います。
今日はいろんな話をどうもありがとうございました。